久々に聴いたらかなりスカッとした。
という訳で、
ちょっと間が空きましたが旧譜レビューとしてBBQ CHICKENSの「INDIE ROCK STRIKES BACK」です。
もう10年も前の作品になります。
全然そんな感覚もないけれど。
リアルタイムで聴いた時の興奮がそのまま蘇って来ましたよ。ここ数日ね。
まず、全部で19曲入ってるんですが、トータルタイムは18分です。
19曲で18分・・・これはある意味凄いですよ。
これだけである程度の記名性があります。
ほぼ1分にも満たない曲ばかりで構成されていて。一曲来たらすぐ終わって、はい次!みたいな感じ。
一応バンドの説明をさせてもらうとハイスタンダードの横山健が中心になってるバンドなんですが
いくらパンクバンドとは言えこの短さはちょっと他に例を見ない。
しかも、それできちんとアルバム一枚分聴いた気分になれるんですよね。
きちんとバランスを考えた配分になっていて。
とはいえ、流石に全曲ほぼ1分切って収めるとなると
展開の似たり寄ったりが出てきてしまう訳ですが、これを恐ろしい方法でカバーしていて。
端的に、ボーカルを下手なヤツにする、って事です。
ボーカルの名前はホンゴリアンと言い、正直歌は全然上手くないです。元々デザイナーらしいですから。
でも、それがパンクのメロディとかテイストには非常に合ってるんですよね。
汚さが芸になっていると言うかね。
同じような曲調でも、後半の頃になってくると「またこれかよ!」みたいな感じで逆に笑えるんですが
その要因の一つとして、ホンゴリアンのパンキッシュな歌声が常に痛快、っていうのがあるかと。
下手は下手でも、ポップな下手さっていうか。
英語の発音は全然なんですけど、それも彼なら何か許せちゃう感じ。
もっと言うと絵が浮かんでくるんですよね。
ホンゴリアンが必死で歌ってる様が。
特に16曲目のラストの「ファックオフ」の部分とか。なんか切実さを感じる。切実なファックオフですよ。
そういういい意味での汚さ、乱雑さ、ガシャガシャ感が癖になるんですが
多分オリジナルアルバムはこれ一枚で終了だったと思う。
きっと一発ネタみたいなものだったと思うんだけど。
でも、逆に言えば凄く個性のある作品って表現してもいいと思う。一枚目で完全燃焼、みたいな。
で、パンクバンドらしく歌詞が攻撃的で批判的な内容が多いです。
後半の曲で示唆されてるように、これが真実ではもちろんなく、聴いて考えて欲しい、って要素強いと思うけど。
それを踏まえてその一部を紹介します。
「誰かがウチの窓を割って、オレが110番した時
奴らはやる気なく、話を聞こうともせず、知ろうともせず
青い服を着た使えない奴ら」 (I HATE THE COPS)
「奴らは質問し
オレたちは答える
でも話は何かねじまげられてる
奴らはそれを
ロックジャーナリズムと呼ぶ
でもそれは音楽産業の奴隷に過ぎねえ
買うな 買うな
間抜けな雑誌なんか」 (STUPID MAGAZINES)
もう一つ、かなりよく分かる詞を。
「オレは部屋で一人
電話をワキに置いてチンコをいじくるしかない
テレビをつけても
何もおもしろいものはやってない
何てこった 何てこった 誰かオレの言うコトが聞こえるか?
何てこった 何てこった 誰かいるか?
(中略)
俺は通りに出てみた
会いたい奴は一人もいなかった
オレが愛するあのコはどこだ?
彼女は他のクソ野郎とファックしてた」 (FUCK YOU)
更に、こういう曲に混じってくまのプーさんについての歌だったり、ポップコーンの歌だったり、
ビッグマックの歌だったり、サッカーの応援ソングがあったりと
展開こそ似通ってるものの、多種多様な曲がたっぷり詰まっています。
その展開についてもホンゴリアンの個性的なボーカルでカバー、と意外と隙が無くて。
結構に尖ってる作品だけど
ポップな面も往々にしてあるので、是非ロック好き、パンク好きには一度聴いてみて欲しいです。
多分、考える暇も無くヤラれると思う。
一気にガガーッって攻めてきて、ササーッと引いていく感じ。これほど擬音が似合うCDもない。
本気のパンク・アルバムだと思います。
ちなみに最後にはなんと1秒の曲が入ってます。
果たして曲と呼べるかどうかは疑問ですけど(笑)。
でもそのアイディアが既にパンク的。