アンティマキのいいかげん田舎暮らし

アンティマキは、愛知県北東部の山里にある、草木染めと焼き菓子の工房です。スローライフの忙しい日々を綴ります。

佐久島に行ってきました。

2021-06-14 11:37:24 | 小さな旅

   2週間前になりますが、愛知県で一番大きな島、佐久島に行ってきました。

   佐久島は、西尾市の一色港から船で約30分。三河湾に浮かぶ島です。佐久島を訪れた目的は、この秋に、島の人たちを対象に開く染め講習会の下見のため。主催者のMさんの案内で初めて島に上陸しました。

    Mさんは、20年前、この島を「アートの島」としてたちあげるために作られたプロジェクトの中心人物。自然豊かなこの島に、彼女たちの企画で次々に趣向を凝らしたアート作品を設置して、随所に島の魅力を発信する工夫を施しました。しだいに、島は活気を取り戻し、県内でも有名な観光スポットになりました。

   さて、最初に訪れたのは、大島。

    小さな公園になっていて、梅林が広がっています。春さきには水仙と梅の花が見事だそうです。樹木の大半は、肉厚の常緑樹っぽい葉の目立つ木ばかりです。

    島で行う染めなら、島にたくさんある草木で染めたい。そうおもって臨んだのですが、稲武で近辺では見かけない木ばかりのようで、名前がわかりません。Mさんがスマホで撮って検索すると、こちらはトベラ。初めて聞いた名前です。

     こちらはタブノキと、特定されました。タブノキだとしたら、染色の本にも載っていて、古くからある染め材料の一つです。黄八丈の織物の中に干し茶色っぽい色の柄がはいっているのですが、その茶色は、タブノキで煮だしたものだそう。

   山の植物を見るために出発。白い建造物は、大人気の「おひるねハウス」と向かい合うように造られた「イーストハウス」。なが~いベンチです。

    軽自動車で走った山道は、「弘法道」。もともとこの島には、88か所の祠が作られていたそうなのですが、ずいぶん前に朽ちたり壊れたりしていました。プロジェクトでは、残っている祠は整備し、なくなっている祠のあったらしい場所には、現代のアーティストたちに創作を依頼して、復活させました。

   弘法道の途中にしつらえてある、祠のお掃除道具。こんなのまでおしゃれです。

   森の中にある池。あたりはやはり常緑樹ばかりのよう。大島で見たのと同じ、トベラやタブノキらしい植物もたくさん見かけました。温帯というより、亜熱帯の植物がけっこうあるらしいとのことです。

   東側の丹梨海岸に出ました。いいところに、テーブルとベンチが。これも作品です。

   Mさんが「この音聞いて。私好きなの」というので、耳を澄ませると、波が引くときに、「ザザザー」と小さな音がします。こちらの海岸は、砂ではなく、小さな石ばかり。それで、耳に心地よい音が聞こえるのです。

   丸い小石。上流では見ることのないきれいな曲線です。

   見たことのない白い花。

   名前はわかりませんが、可憐です。

   こちらも祠。

   虫こぶのなでしょうか。模様みたい。森の雰囲気が違う。

   この花は、こちらでも見かけます。Mさんが調べたら芋カタバミとわかりました。

   山を下りたところの標高。600mのところに住んでいる私には、驚くほど低く感じますが、一色港あたりに比べたら、佐久島のほうがこれでも標高は高いのだそうです。

   観光客は増えましたが、島の人口はこの20年で半減。現在400人くらいの人口だそうです。空き家が目立ちます。

   右は、立派な門と塀のあるおうち。こちらも左も空き家のようです。

   途中で出会った地元の方が、「島ならではの植物を見たいのなら、マニラ麻はどうかな?」とおっしゃるので、その方のお宅に行き見せてもらいました。昔、地元の漁師さんたちは、その麻でロープを作って仕事に使っていた、というのです。

  ところが、見せていただいた植物は麻とはだいぶ違う姿です。Mさんが検索したら、こちらはマオラン。オーストラリア麻とかニュージーランド麻とか呼ばれているもので、マニラ麻同様に、漁業に使うロープなどを編むのに格好の材料なのだそうです。マニラ麻もロープに利用する植物なので、昔地元の人たちが混同してしまったのでしょう。

   南国っぽい細道。

   大浦海水浴場に植えられているデイゴの木。数年前、奄美群島の加計呂麻島を訪れたとき、デイゴの並木道は歩いたのですが、花の季節ではなかったので見られませんでした。花はこれからのようですが、赤いつぼみ?を見られただけでもうれしい。

    訪れたのは平日。緊急事態宣言中なので、島の飲食店、土産物店は一軒を除いてすべて休業。「稲武ではみな開いているのになぜ?」と聞いたら、「店が開いていると、観光客が増える。島には常設の病院がないので、何かあったとき対応ができないから」とのこと。それでも、船には観光客らしい若い人たちも結構乗っていました。彼らはレンタサイクルで島をめぐっているようです。

   島と本土の港の間には、フェリーの運航はありません。だから、島から本土に通う人達は、一色港に車を置いて、行き来しているのだそうです。島内の道は、どこも狭くて、軽自動車でないと走れそうもないところばかり。Mさんは、「島は自転車で回る人が多いけれど、わたしのおすすめは歩くこと。自転車では気づかない島の魅力に触れられます」と。

   こちらは島の北側にある小さな公園、ひだまり広場。もともとあった木造の東屋が朽ちかけていたので、アーティストがセメントを塗り、タイルを張り、ユニークな装飾を付けました。

   右真ん中あたりの茶色のものは、小動物のうんこらしい。

    踏み石は、ワークショップの参加者たちが飾ったもの。丹梨海岸で拾ってきたらしい小石も使われています。

    「王」とかかれた椅子。座りごこちがよかった。

    北のテーブルと名付けられたお休み場所。

   北側の海岸を走りました。非常に目立ったウドの親玉のような植物。ジャイアントなんとかと検索できましたが、忘れました。

    どこかから流れ着いた種なのかしら。

   島の体験施設、弁天サロン。古い木造家屋をリニューアルしたもの。染め講習はこちらで開く予定です。広い和室も中庭もあり、農家の昔の台所のような土間に業務用のコンロも設置してあるので、場所としてふさわしい。問題は、フェリーがでていないので、たくさんの道具類をどうやって運ぶか、なのですが、この施設で大鍋をいくつか貸してもらえることになったので、あとはなんとかなりそう。

    最後に訪れた海岸。地元の方に、海藻で昔染めをしたことがあると教わり、その海藻を見に行きました。たしかアマモとかいう海藻で、海岸近くに結構生息しているそうです。

    佐久島は、愛知県下で有数の野鳥の生息地であり、海の生物の種類も豊か。海岸からわずかにいったところで、タツノオトシゴが見つかったことがあり、専門家が驚いたこともあったそうです。

    ずっと前から行ってみたかった佐久島。やっと希望が実現しました。観光客が集うアート建造物はあまり見る時間はありませんでしたが、島を熟知しているMさんの案内のおかげで、面白くて惹かれる場所をいくつも訪れることができて、満足。またいつか、ぜひゆっくり歩いて島めぐりをしたい。

   ところで、この日の訪問の目的~染め材料を見つけること~に関しては、追って記事にいたします。

 

 

   

 


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