アンティマキのいいかげん田舎暮らし

アンティマキは、愛知県北東部の山里にある、草木染めと焼き菓子の工房です。スローライフの忙しい日々を綴ります。

「ビアードさんのパンの本」を参考に、全くこねないで黒パンを作りました!

2021-07-02 18:02:17 | アンティマキの焼き菓子とパン

  1998年に第一冊が出たパンの本「ビアードさんのパンの本」。たぶん刊行されたころに購入したと思うのですが、自分では全くパンを作っていない頃のことでした。

   ときどき眺めては、世界のいろいろなパンの紹介と、彼のユーモラスな解説が楽しくて読み物として面白がっていました。例えばその解説、どこかで、彼はこんなことを言っています。

「パン作りなんて簡単なことだ。粉が多すぎたら水を足し、水分が多すぎたら粉を足せばいいんだ」

  それではまるで、落語の「そばの殿様」。でも、おおらかな姿勢がパン作りの敷居をグンと低くしてくれました。その後、ちょっとこねるだけでできるパンや、まったくこねなくてもできるパンを知り、作って売ったり、人様に教えたり、という仕事を始めるに至りました。その原点には、この本の存在があると私は思っているのですが、実はまだこの本を参考に、一度も作ったことがありません。バターや卵を入れるパンが多いから、何となく敬遠していたのです。

   でも、先日パラパラめくっていたら、バターどころか油も使わない全粒粉100%のパンのレシピに目が留まりました。

   「マートル・アレンおばさんのブラウンブレッド」

   ビアードさんが初めて彼女のこのパンを食べたのは、アイルランドにある、彼女の経営する旅館でのこと。それから繰り返し作っている、と書いてあります。

   材料は、全粒粉、湯、ドライイースト、モラセス、塩。イーストをホシノ酵母に変え、モラセスを粗糖にして作ってみました。

   このパンは、材料がシンプルなだけでなく、作り方が極めてシンプルなのが特徴。なにせ、一回しか発酵させないのです。

    粉に酵母と塩と粗糖を混ぜ、酵母の元種をくわえてから、40度くらいの熱めのお湯を注ぎます。「水分の多い、べたべたした生地」とあるので、ヘラでまぜるだけ。それを食パン型、パウンド型に入れて発酵開始。わたしは30度~35度で4時間ほど発酵させました。

    ほぼ3割くらい膨らむ程度で焼きに入るとあるのですが、私はついうっかりして2倍にしてしまいました。あわてて、220度に熱したオーブンに投入。ビアードさんの本では230度で50分とあるのですが、わたしのオーブンではあまりに高すぎて焦げ付くこと必至なので、徐々に温度を下げてほぼ50分焼成しました。そのあと、型からだして、さらにオーブンの予熱であたため、表面の皮をかたくします。

    できました。当然ふわっとしたパンではありませんが、見た目はいい。プンパニッケル風です。薄く切って食べてみました。香りがいい。一回しか発酵していないせいか、複雑な味には欠けるように思いますが、さらっとしていて、全粒粉100%なのに重くない。

    「上質の無塩バターをたっぷりつけて」とありましたが、パンに入れる塩をレシピより減らしたせいか、有塩バターのほうがよりおいしく感じるなとおもいました。ともあれ、手間はいらず、時間はかからず、ちょっと本格的な食パンができました!

     明日食べると、どんな食感にかわっているのかいささか心配ですが、もう少し発酵温度や時間を調節したら、まずまずのパンになりそう。

    このビアードさん、1985年に亡くなっていますが、「幅広い活動で、アメリカの食生活に大きな影響を与え、アメリカ料理界の権威と言われた」人だそうです。他の著書も調べてみよう。

 

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