いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

市長の再挑戦。 rechallenge of mayor is the double jeopardy

2015-08-30 20:22:46 | 日記
 (1)維新の会を離党した橋下大阪市長が自ら任期満了による政界引退を表明して立候補しないと表明している11月の大阪市長、府知事のダブル選で「『大阪都構想』のバージョンアップを掲げて戦いたい」として、ダブル選で勝利した場合、再び住民投票で大阪都構想(本人のいうバージョンアップ版)の是非を問う考えを示した。

 橋下市長の掲げた大阪都構想の住民投票は5月に実施されてわずかの差で否決された。高年令層の慣れ親しんだ「大阪市」を残したい願望の反対投票が多く、否決につながったと見られている。
 また橋下市長の大阪都構想では二重行政の解消につながらない、経費負担も増えると主張する議会と対立して、市長に十分理解を得る説明責任がなされないまま、不安が先行して否決につながった。

 (2)大阪都構想の住民投票では戦略上の失敗もあった。市民の将来の行政機構、機能改革の影響を最も多く受ける改革志向の強い若い世代の意見をできるだけ多く取り入れるために、住民投票は20才以上ではなく条例で18才以上の住民とすべきであった。

 少子高年令化社会で人口比率の高い高年令層の意見に比較公平性(fairminded)を保障する投票年令を18才に引き下げることには正当性がある。国政選挙投票権も来年夏の参院選から18才に引き下げられるのも、日本の急速な少子高年令化社会を背景としたのもひとつの理由だ。

 (3)5月の住民投票でも高年令層の投票率が高く、大阪市ノスタルジー(nostalgia)が大阪都構想否決の大きな要因のひとつになったとの分析だ。18才以上の住民投票であれば改革に前向きな若者観から、わずかの差からみて違った結果が出る可能性はあった。

 5月の大阪市住民投票で否決された橋下市長提案の大阪都構想をどのようなバージョンアップ版を掲げるのかわからないが(否決からわずか数カ月でバージョンアップというのも、それなら最初からもっと精査した完全提案をすべきだろうが)、何度も住民投票にかけて賛否を問うのもおかしな話だ。

 (4)橋下市長が政治生命をかけて市民に賛否を問うた大阪都構想が否決されて政界引退の表明につながったものを、舌の根も乾かぬうちにバージョンアップ版を選挙の争点にするというのも独善的、一方的で理解のある政治手法とはいえない。

 一旦(または何度か)否決されたものを今度は賛成されたからといってそれだけをとらえて行政改革を推進することになれば、同一案件で一旦(または何度か)否決したそれまでの住民の判断は何だったのかということになる。

 (5)裁判にも一事不再理(double jeopardy)というのがあって、同一事件で一旦判決が確定したものは再び審判しない大原則がある。
 橋下市長の言うバージョンアップが何を指すのかわからないが、大阪都構想は大阪市民により否決されたのだからバージョンアップごときでは再び住民投票で決着をつけるのでは市民権(市民の判断)を尊重しないことになり、政治、行政のパラダイム(paradigm)が成り立たないことになる。
 
 (6)大阪都構想が主張した二重行政の解消、行政レベルの均質化、財政の効率化をはかることは政治の重要な課題ではあり、バージョンアップごときではないあたらしい行政改革の手順を提案して市民に判断を求めることが前提だ。

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