いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

苦海浄土・ノンフィクション力。nonfiction power

2018-02-11 15:42:11 | 日記
 (1)石牟礼道子さんの水俣病被害を告発したノンフィクション「苦海浄土」は、言葉から仏教用語に由来すると書いたものを読んだ(記憶はかなり不鮮明)気がするが、日本の四大公害(水俣病、新潟水俣病、富山イタイイタイ病、四日市ゼンソク)のひとつといわれるチッソ工場によるメチル水銀の水俣湾垂れ流し中毒汚染の魚介類を食べた人が全身けいれんの被害の水俣病で、国、チッソの公害責任が厳しく問われて司法から糾弾された社会事件を告発したノンフィクション(nonfiction)だ。

 (2)なかなか手にすることが出来ずに、作家石牟礼道子さんと代表作「苦海浄土」の名前、書名だけは印象深く残っている。10日に石牟礼道子さんが90才で亡くなった。

 パーキンソン病を患い、闘病生活15年、介護施設で90才で亡くなった経緯がそっくりそのまま近親者と重なっていることで、今日の紙面からの思いがとりわけ強く伝わってきた。

 (3)同公害事件発生当時は、チッソは水俣病の原因への関与を否定して予見不可能として裁判で争った。日本の高度経済成長が始まる重厚長大産業の時代背景に、化学工場が利益第一主義の中で周辺住民の安全生活、対策を顧(かえり)みない企業エゴイズムが厳しく糾弾された公害事件で、国も化学工場の安全対策の指導を怠ったとして被害者賠償責任を問われた。

 (4)社会は戦後復興の高度経済成長を目指して労働力を企業の歯車として酷使して、団塊世代の登場で使い捨て時代であり、その結果としての当時GNP(現在はGDP第3位)世界第2位の経済立国となり、その反省、負担、犠牲の大きさから今日的社会では環境、労働条件の改善、改革が大きく見直される時代を迎えている。

 国、企業の立場、存在価値が優先されて、国民、住民の身分、権利、利益、生活が犠牲にされていた時代に、水俣病被害を公害事件として国、チッソの責任として追及、告発した石牟礼道子さんの「苦海浄土」は、ノンフィクション力の存在感、価値を社会的に知らしめた文力、存在だった。

 (5)重厚長大産業から第3次、第4次産業革命による情報化時代、社会では工場汚染に代わって企業データの不正、ねつ造、隠蔽が横行して、日本の製造業の高い潜在能力(potentiality)の信頼を失墜させる企業の利益優先、第一主義は水俣病チッソ工場汚染と今も何も変わらないままだ。

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