(1)ガザ地区には支配するイスラム組織ハマスによる縦横に地下回廊が張り巡らせて「いる」というイスラエルの情報だ。ベトナム戦争でも北ベトナム側がゲリラ作戦行動のために地下通路を利用したとされ軍事力で勝る米軍が手こずる要因になったともいわれて、それから半世紀以上が過ぎてガザ地区地下に回廊が張り巡らされてもおかしくはない。
(2)たとえば社会インフラの病院や教会、学校など戦闘で攻撃しにくい、攻撃すれば国際社会から一斉批判、非難の的になるような場所にテロ組織、ゲリラが軍事拠点を置くことは国の正規軍と対峙するためには取る手段ともいえる。
今、イスラエル軍が包囲するガザ最大の病院に突入して、イスラエル軍は内部に放置されたハマスのものとみられる銃器、弾薬など軍備品の映像を公開しているが、イスラエルが「ある」と主張する地下深くのハマスの「司令部」については公開映像はみられない。
(3)ハマスの反撃を警戒して慎重な作戦行動、捜索を続けているのか、「現存」しないのかはまだわからない。かって米軍はイラクが大量破壊兵器(核兵器)を製造していることを理由に米軍によるイラク侵攻を進めたが、当時のイラク・サダト大統領は確保したが、大量破壊兵器は発見できずにイラクの大量破壊兵器の製造の根拠は口実(pretext)だったとの国際社会からの批判、非難を受けて、当時のブッシュ米大統領の情報操作によるイラク侵攻が問題となったことがある。
(4)当時ほどではないがバイデン大統領がイスラエル軍の病院攻撃に懸念を表明している中で、イスラエルがガザ病院地下深くにハマスの司令部があり人質が隠蔽されていると指摘してイスラエル軍が病院内に突入して、ハマス司令部、人質が発見できないという事態が起きれば米軍のイラク占拠の二の舞となり、イスラエル軍のガザ病院突入があまりに無謀で無益な作戦行動として批判、非難されイスラエルのガザ地区占拠の口実だったことになり、その行方が注目される。
(5)国連安保理ではようやくというか初めてこれまで拒否権を行使してきた米英露が棄権に回り、ガザ地区戦闘休止決議が賛成多数で採択(加盟国は遵守義務)されて、イスラエルにとっては逆に外堀が埋められたともいえる。
イスラエルはそれでも「必要なことは何でもやり続ける」(報道)と譲らない。