(1)ハマスがイスラエル領内に侵攻して住民を殺害して人質を取って撤収したことを受けて、米国はイスラエルの自衛権を保障してイスラエルはガザ地区を地上攻撃している。イスラエル軍はガザ地区最大の病院の地下にハマスの本部拠点があるとして、同病院を包囲して攻撃の準備をしていると報じられている。
(2)すでに病院の電気、水道は使用できずにインフラ機能停止状態といわれて、治療行為はできないとみられている。病院の地下深くトンネルが張り巡らされてハマス本部があるとの見方で、イスラエル軍が病院を包囲して病院は機能不全に陥っているとすれば、これはイスラエルの自衛権とは関係のない話だ。
(3)新聞のコラムでも病院の地下深く隠蔽されているとみられる人質救済のためであれば「病院にいる市民(医師、患者も含めたものだろうが)を安全に退避させてからにしてほしい」と書いている。せめて人道上の配慮を求めたものだろう。
ハマスは病院での避難住民を盾に抵抗するものとみられているので、コラムのような要請を受け入れるとは考えられないが、それでも病院に攻撃することはイスラエルの自衛権とは何ら関係のない話だ。
(4)米国もブリンケン国務長官がイスラエルのガザ地区地上攻撃が始まってから2度もイスラエル、周辺国を訪問して人道上の戦闘中断を提案しているが、イスラエルは応じずに最近になって1日4時間の作戦停止、人道回廊を設けていると報じられている。
しかしこれで病院施設、設備、医師、患者、避難市民を安全に移動させることは困難で、病院攻撃を目的としないと言っても始まらない。
(5)今、必要なのは国連を中心とした米国、それに敵対するイラン、レバノン(ヒズボラ)、中国も入っていい一時停戦による国際監視団の投入だ。ここでハマスの地下組織の構造解明(非公開でいい)と人質解放、医師、患者、避難住民の保護についてイスラエルとハマス双方と協議することが必要だ。
(6)かって米国もパレスチナ国家樹立についてイスラエルとの2国家論を支持したことがあり、イスラエルの自衛権擁護だけでなくパレスチナの生活権、生存権にも目配りした対応ができるはずで考えるべきだ。
(7)米国も理解しているはずで、イスラエルの自衛権とガザの病院攻撃は関係のない話で、それだけは回避するあらゆる手段、手立てを考え抜かなければならない。