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いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

甘い、政治に遠慮した判決。 loose judical decision under constraint for politics

2013-11-21 19:39:13 | 日記
 (1)そもそも人が人を裁く不条理(unreasonableness)の世界が裁判だ。裁判官も人の子だということだ。昨年末の衆院選の1票の格差最大2.43倍を巡る選挙無効裁判で、最高裁はこれを「違憲状態」と判決して選挙自体は無効としなかった。

 これまでの判例に沿った判決をくり返した。この裁判の高裁判決段階では国会の怠慢を指摘して司法軽視という厳しい「違憲」判決も出ていただけに、これまで強い啓示を示していた最高裁の判断が注目されたが、これまでの最高裁判例の範囲内の「甘い(loose)」判決となった。

 (2)昨年末の解散総選挙を迎えるにあたって1票の格差最大2.43倍と、司法が求める2.0未満(衆院選挙区画定設置法規定)を超えてあきらかな違法選挙であったが、その後同選挙直前になって国会で小選挙区を「0増5減」する関連法が成立して、規定上の格差はかろうじて2.0未満以内に収まった。
 しかし具体的な選挙区割りが出来ずに、以前のままの実質違法選挙となった。

 (3)最高裁の判決は、この国会の「0増5減」措置を「情状酌量」しての執行猶予判決となった。再びこの状態を放置しての選挙実施すれば、有無もない違憲判決が出ることが筋となった。

 司法はこれまで国会の「0増5減」措置について経過措置にすぎずに根本的な問題解決(定数削減)とはいえないと指摘してきた。高裁判決段階での「違憲」判決が出たあとも、一向に選挙改革を進めない国会の対応に対して、今回の最高裁判断ではこれ(国会対応)を強く後押しする厳しい判断が出るものとの見方もあったが、裁判官も人の子判例内の「甘い」判決となった。

 (4)ようやく国会がまとめた「0増5減」を司法が不十分な措置と指摘して、しかもその選挙区割りも具体化できずに選挙を実施し、利害当事者、党利党略の国会審議が一向に根本的な問題解決に取り組もうとしない、できない現状、改革構造不適正に今後を「期待」して、情状酌量の温情(paternalism)判決をするなどとは、司法の見方、判断が誤っている。

 安倍首相が国会に求めた選挙改革の第三者委員会の設置もなし崩しのままで放置されて、利害当事者、党利党略の国会に根本的な選挙改革の統治能力がないことは、これまでの経過をみればあきらかだ。

 (5)最高裁は1票の格差是正、国民の選挙投票権(国政参画意思)の平等、公正な権利保障実現のために、厳しく国政に改革を求めるべきだった。その対策猶予期間は国会に十分与えられていた。

 最高裁がわずかの前進(0増5減)を評価して、このくり返しが選挙改革につながる取り組みだ(判決要旨ー報道)といまさら言うが、この1票の格差問題は半世紀近くの訴訟歴史を経ての国民の権利効果保障の問題だ。

 (6)同判決で自ら述べているように「司法権と立法権の関係を踏まえての諸事情を考慮」した、甘い、政治に遠慮した判断、判決(loose judical decision under constraint for politics)であった。
 行政、立法のゆきすぎ、偏向、不備から国民の人権を保障するのは司法の役割だ。

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