呑川の「道々橋」(久が原・仲池上)の改修プランについて、「呑川をきれいにする会」と工事の担当部署である「東京都第ニ建設事務所」とで懇談を行いました。
呑川は、その名の通り昔は飲(呑)むこと出来るほどにきれいな川でした。残念ながら、その後、東京都が下水道幹線として利用し始めてから水質が悪化しています。
現在、下水処理水が放流され、以前よりは改善されているものの、越流水対策や水質浄化、動植物の生育環境には、まだまだ課題があります(予算特別委員会の質問参照)。
今年2月の予算特別委員会において、
護岸をコンクリート張りにするのではなく、生物の生息を念頭にした自然に近い形での河川改修にするように東京都に申し入れるべきである
という質問に対して
呑川の生物環境を整えることは基本的な価値がある。特に、ユスリカ対策としての効果も期待できる。
今後、東京都は、未改修部分について、継続的に工事を行うので、生物の生息なども含めた改修工事や維持管理など、一層の配慮を東京都に求めていきたい。
と答弁しています。
しかし、残念ながら、今回の工事では、全てをコンクリートで固めるだけではなく、川底を平らにしてしまうため、魚などの生息に必要な窪みが無くなってしまいます。
現在、呑川と新幹線が交差するあたりは、呑川でも珍しく、ウナギやハゼなど多くの魚が生息している場所です。
東京都は、
「工法については大田区と相談しており、大田区も合意の上である」と言っています。
また、この周辺の魚などの生育が、工事後も守れるのかという質問に対して、東京都は、守れる工法であると応えることができませんでした。
生物の生息に配慮した工事にするためには、設計を変更しなければなりませんが、既に入札はすんでおり、また、工事費も増えることから変更は出来ないと東京都は言っています。
呑川の会では、過去数名の担当者に対して同様の申し入れをしてきましたが、そのたび、担当者との口約束に終わってきた結果が、今回の「道々橋」の工事です。
しかも、今回の工事については、大田区が合意をしているということがわかっていますが、そうだとするならば、議会での答弁は一体なんだったのでしょうか。
政治への「市民参加」とは、出来上がった結果に対して、「意見」を述べるだけではありません。意思決定過程への関与を可能にしてこそ「市民参加」が可能であるということができるのではないでしょうか。
東京都の担当者は、長期間にわたって、大田区民に対して、動植物の生育環境を守っていくと言いながら、工法にそれを反映することをしてきませんでした。
多摩市では、川の工事によって切り倒されてしまう桜を市民が守るために東京都に働きかけ、結果として、数本の桜を守ることができたという事例もあるそうです。
呑川の会のメンバーは、久が原小学校で「呑川について」の総合学習の時間を受け持っています。
前回子どもたちに見せたウナギやマルタ、ハゼなどの魚がいなくなってしまったらどのように説明したらよいのかと悩んでいます。