旅限無(りょげむ)

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ダライ・ラマ法王が訪米 其の六

2010-02-13 14:54:01 | チベットもの
■鳩山サセテイタダク内閣とダライ・ラマ14世との関係を見るために昨年10月末に来日した時の記事を確認しておきましょう。
 
来日中のチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世は(11月)3日、松山市内で記者会見し、鳩山由紀夫首相が提唱する「東アジア共同体」構想について「一つ一つの国が別々にではなく、まとまって何かをなすという考え方に賛同する」と述べ、構想推進に賛意を示した。……「環境や経済などすべての国に共通の利益を図って、(共同体構想の)方針を推し進めていくべきだ」と強調した。記者会見後、ダライ・ラマは松山市の愛媛県武道館で「自分を幸せにする生き方」と題して講演。宗教関係者や市民ら約5500人を前に「60億人が住む地球では一人一人がかかわりを持つ。愛情と思いやりが必要だ」と訴えた。
2009年11月3日 共同通信

■就任してから5箇月経っても鳩山サセテイタダク首相が連呼する「友愛」政治の輪郭も骨格もさっぱり見えて来ないのは困ったことで、このまま古めかしい「政治とカネ」の問題で首相が交代したりすると、蜃気楼のように消えてしまうかも知れません。少なくとも東シナ海を「友愛の海」にしたい、発言した時には個人的な趣味で領海・領土をどんどん隣国に差し出してしまう「無償の愛」に耽溺しているような不気味なものを感じたのですが……。

■ダライ・ラマ14世が「東アジア共同体」の構想に賛意を示すのは、チャイナを取り囲む国々が結束して好き勝手な行動を慎むように牽制する仕組みが必要だと切実に考えているからだと思われます。「経済」の前に「環境」を置いているのも、チベット地域で恐ろしい勢いで進む環境破壊を心配してのことでしょうし、1ヵ月後にコペンハーゲンで開催される国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)でチャイナが議論を紛糾させたり妨害したりすることを予見していたのかも知れません。その点でも就任直後に無茶な目標を国際社会に対して公言してしまった日本の首相とは違っているようです。


……ダライ・ラマ14世は(10月)31日、東京・有楽町の外国特派員協会で記者会見し、中国の胡錦濤国家主席が掲げる「和諧(調和)社会」の実現について、「全面的に支持するが、真の調和とは武器や金では得られない」と述べ、チベットに対する中国の抑圧政策を痛烈に皮肉った。……「真の調和、真の友好を解放軍を使って実現しようとするのは誤りである。武装した兵士は恐怖感を(チベット住民に)与えるだけ。調和社会とは尊厳や平等性をもって得るべきものだ」と批判した。

■幹事長が参議院選挙を人民解放軍の「解放戦争」に擬(なぞら)えてしまう民主党ですが、少なくとも北京政府が言う「和諧社会」に鳩山流の「友愛」精神を混ぜ込むような提言ぐらいはしておいた方が良かったのではないでしょうか?施政方針演説の「命を守りたい!」という気恥ずかしくなるほど素朴で能天気なテーマを拡げれば、ダライ・ラマ法王の求める「真の調和」「真の友好」と重なる部分が多くなるはずなのですが……。

隠されたピース? 其の参

2010-02-11 12:09:37 | 社会問題・事件
引退発表から一夜明けた5日に米ハワイ入りした朝青龍は……近日中にも聴取の意向が伝わるとみられ、“休暇”を切り上げて再来日する必要が出てくる。長期間、聴取に応じる姿勢を見せなければ逮捕状が出る可能性もあり、13日の旧正月に合わせてのモンゴルへの帰国予定も変更を迫られそうだ。

■民主党の小沢幹事長は検察の事情聴取を「時間がない」と言って拒絶して囲碁を楽しんでいたと報道されましたが、朝青(暴)龍は何かを察知したかのようにゴルフ以外には用事の無さそうなハワイに向けて、これまた電撃的に出国というのも国民の心証を悪化させそうです。民主党は夏の参議院選挙に向けての皮算用に忙しいようですが、朝青(暴)龍の方は引退興行やら異種格闘技興行やら、年末までの長丁場を乗り切らねばなりません。民主党は検察の次の一手が気になるところで、朝青(暴)龍の方は「知人男性」の背後が洗い出されて在らぬ嫌疑まで掛けられそうな不安を抱えているかも知れませんぞ。とにかく、この「知人男性」は怪しい人物らしいですからなあ。


1月16日 未明に都内の飲食店で泥酔の上、騒動を起こしパトカー2
     台が駆けつける騒ぎに。
同月22日 騒動が発覚し師匠の高砂親方が武蔵川理事長を訪れ謝罪。
同月25日 25回目の優勝を飾った千秋楽翌日、武蔵川理事長が高砂
     親方と朝青龍を両国国技館に呼び出し厳重注意。同理事
     長は横審の会合で「身内のマネジャーを酔っぱらって殴
     った」と説明。
同月28日 暴行を受けたのが個人マネジャーではなく、知人男性で
     麻布署に相談に訪れていたことが判明。理事会の吉野監
     事が事実関係の説明と処分を検討する理事会開催を要求。
同月29日 横審の鶴田委員長が両国国技館に出向き武蔵川理事長と
     会談。解雇処分を求める発言も。
同月31日 高砂一門の九重理事ら数人の親方が朝青龍に説明求める。
     本人は「お互い酔っぱらっていて記憶がない。殴打して
     いない」と言い訳。
2月1日 武蔵川理事長が調査委員会の設置を決定。
同月2日 調査委が個人マネジャーの一宮章広氏と運転手から事情
     聞く。朝青龍の弁護士が麻布署に示談書を提出。
同月4日 理事会に呼ばれた朝青龍が事情説明も、解雇を迫られて
     引退届を提出。横審は引退勧告。
同月5日 朝青龍が成田発の航空機で出発し、ハワイ入り。
2010年02月10日 スポーツニッポン

■初場所の期間中に横綱が事件を起こして、そのまま優勝してしまったのですから、何が何でも事件は隠されねばならなかったのでしょう。警察沙汰になってしまった以上は「何も無かった」では済まされない。政治家なら秘書、こういう場合はマネージャーが一身に泥を被って強引に幕引きになるはずでしたが……。でも、いつぞやの仮病帰国サッカー事件の大騒ぎが起った時にも、伝統的な「付け人」ではなくてマネージャーが付いているのは変だぞ!という話が出ていたはずですが、ダイチャン親方も相撲協会もそのまま黙認・追認していたようですなあ。

■元警視総監の吉野準監事がキーパーソンとなって事態が急展開していたのが気になります。相当に詳しい警察情報が届いていたと考えないと、31日の「殴打していない」という横綱発言を「ウソだと思う」と一蹴できるはずはないでしょう。1月28日の段階で吉野監事は「真相」をつかんでいたからこそ、翌29日に早々と「解雇」という話が飛び出して来たのではないでしょうかな?当時のマスコミ報道は不自然に驚いて見せているような印象がありましたなあ。

隠されたピース? 其の弐

2010-02-11 11:53:28 | 社会問題・事件
……警視庁麻布署はこの日、事実関係などを確認するため、朝青龍から暴行を受けたとされる知人男性から任意で事情聴取した。男性は「(朝青龍から)車内で暴行を受けた」と説明。被害届を提出しないことや、「今回のことについて許す」という趣旨を記載した示談書の内容については自分の意思としており、「朝青龍関の処罰を望まない」とも話したという。麻布署は聴取内容や現場の状況なども踏まえて検討するが、今回の証言が決定打となり、朝青龍を任意で事情聴取する可能性が高くなった。

■示談金の金額まで実しやかに囁かれて流布しているのですから、「処罰を望まない」のは当然でしょうし、示談金額に相当する事実の存在は間違いのでしょう。「許す」という発言も一方的に朝青(暴)龍側に責任があることを前提としていますから、「車内で暴行」という話は事実だったという出発点が定まったことになりましょう。


……男性は1月16日未明、勤務している東京・六本木のクラブ前で朝青龍とトラブルになり、朝青龍の車に乗せられた。男性はクラブから約1キロ離れた路上で車から降り、交通事故処理中の麻布署員に「車内で朝青龍関に暴行された」と訴えた。男性はその後、鼻骨骨折など全治1カ月との診断書の写しを持って同署に相談。示談書は1月29日付で、朝青龍側の弁護士が今月2日、麻布署に提出した。

■この「全治1カ月」の診断書というのが曲者で、ほとんど無傷だったという目撃情報まで出ているのですから、診断書の出所も問題になるでしょうなあ。そもそも1月16日未明に折られた鼻は、現時点では「完治」していない計算になりますから、所嫌わず関係者を追い回すテレビカメラや写真雑誌などが被害者の「鼻」を撮影しようとしないのも不思議であります。百聞は一見に如かず、診断時のレントゲン写真や被害状況の記録、あるいは現在の「鼻」の直り具合など、貴重な映像となるはずの材料が隠されているのは変な話であります。


朝青龍サイドが当初、「殴られたのは個人マネジャー」としていた暴行問題については、日本相撲協会も調査委員会を設置。車中にいた運転手と後から現場に駆けつけた個人マネジャーの一宮章広氏を聴取した。しかし、朝青龍の師匠・高砂親方(元大関・朝潮)は知人男性との間で示談が成立したと報告。4日の理事会には知人男性による「嘆願書」も用意し、処分軽減を求めた。結果的には騒動の責任を取る形で朝青龍が引退届を提出し、協会も問題を追及する姿勢は見せなかった。

■この事件には当初から「スジの悪さ」がちらちらと見え隠れしていたようで、何処かの政治家が「秘書がやった」と言い逃れるのとよく似たマネージャーの独断による虚偽の供述を煙幕に使い、裏ではカネが渡って手打ちとなると、誰かさん達は簡単な幕引きを考えたのでしょうが……。

隠されたピース? 其の壱

2010-02-11 11:52:55 | 社会問題・事件
■朝青(暴)龍が起こしたとされる謎の暴行事件の幕引きは、まさに電撃的な引退劇となりました。本人はさっさと日本を離れてハワイに飛んでしまい、5日朝(日本時間6日)にホノルル到着。ハワイにも後援者がいて面倒を見てくれるらしいのですが、日本にも数多くいるはずの「親しい後援者」には同道を断られての単身旅行だとか……。任意の事情聴取をする予定だった警視庁は、朝青(暴)龍のハワイ行きをまったく知らなかったという報道もあり、傷心旅行というよりも国外逃亡みたいな展開になっているようですなあ。
 
■後援者だのタニマチだの、芸能界やスポーツ界にはこの種のパトロンが付き物で、あまりに若い内に有名になってしまった人材をダメにしてしまうことも多いと聞きます。アゴ・アシ付きの過剰接待を受け続ければ幼い心は大きく歪んで最初に金銭感覚が麻痺し、世間を甘く見て独りよがりの特権意識が極限まで強まり、大概の人間なら思春期に抜け出す幼稚な万能感をいつまでも引き摺ってしまう悲喜劇が起る場合が多いようであります。今回の朝青(暴)龍の事件も、後援者・タニマチの動きに関してマスコミが不自然に触れないようにしているから、事件の真相が見えて来ないのではないでしょうかな?まあ、『週刊新潮』が放ったスクープ記事から被害者は「一般人」という決まり文句が濫用されたのが原因なのかも知れませんが……。

■日本相撲協会という組織も不思議なところで、トップは理事長のはずなのに最終的な責任は負わないことになっているようにも見えます。協会内で役職に就いる親方衆は純粋に協会職員というわけではなくて、独立した部屋を持つ個人経営者として振舞っている印象が強いので、不祥事が起こると責任は部屋に丸投げされて押し付けられ、当事者の力士や親方個人が最も重い責めを負い、協会自体は形式的な「けじめ」を付ければ一件落着。今回の朝青(暴)龍の引退騒動も、一体、何が問題になっているのか判然としない部分が多過ぎます。

■電撃的な引退劇の直後に行なわれた記者会見でも、朝青(暴)龍は妙に余裕綽々で「相撲には後悔なし」と自分の実績と貢献を誇示するような発言をする一方で、肝腎なことには口を噤んで謎は深まるばかりでしたなあ。


--現在の心境は
「何も考えていません。大勢の方にお世話になって客に対する思い、責任を感じてここに座っています」
--決意したのはいつ
「師匠と話し合いのうえで引退ということを考え始めた」
--どんな話を
「横綱という責任を感じ、みなさまがたに迷惑をかけたことに対する自分にとっての心構えを」
--事情聴取にくる前には
「正直これだけのことを起こしたし、精神状態もどうなるんだろうと思った」
--報道との違いは説明できるか
「この話は控えさせていただきます」
--決断したときは
「いつかそういうことになるだろうという気持ちはあったし、けじめなんでそれ以上のことはいいません」
--吹っ切れた気持ちか
「休みたいという気持ちもあります。これが自分にとっての運命じゃないかなと…」

■「休みたい」という一言から、一人横綱として相撲興行を支えた苦労を強調したい気持ちが滲み出していますが、今頃になって「横綱という責任」などという殊勝な言葉が飛び出し、「師匠との話し合い」が引退というどん詰まりの場面でやっと成立したというのも面妖な話です。そして、最も気になる「報道との違い」は明らかにされなかったのですから、記者会見は単なる形だけのもので何も解決しないまま終わったことになります。

 
4日に現役を引退した大相撲の元横綱・朝青龍(29=本名ドルゴルスレン・ダグワドルジ)が、初場所中の1月16日に泥酔して知人男性(38)に暴行したとされる問題で、男性が警視庁麻布署の事情聴取に対し、朝青龍から「車内で暴行を受けた」と説明したことが9日、捜査関係者への取材で分かった。朝青龍と知人男性の間には示談が成立していたが、事態は急変。現在、米ハワイに滞在中の朝青龍は被疑者として聴取を受ける可能性が濃厚となった。

■小沢VS検察の第一幕が灰色状態で終わり、今度は朝青(暴)龍VS警視庁との対決がマスコミの好餌にされるのかと思うと、使い古された「品格」という話はますます等閑(なおざり)にされてしまいそうですなあ。とうとう警察に呼び出されてしまった「知人男性」が、これまで不自然に言及を避けて追求もしなかったマスコミを動かすことになるかも知れません。既に『週刊文春』2月11日号の特集記事や、聊か後追い気味に『週刊新潮』の方でも2月18日号で「知人男性」の正体を暴露しておりますから、テレビや一般紙が放置していた事件の核心部分にやっと光が当たるかも知れませんぞ。

ダライ・ラマ法王が訪米 其の伍

2010-02-08 11:22:20 | チベットもの
■奇怪な「正三角形」の夢を見ている日本の現政権には手に余る壮大なスケールの国際政治が、鳩山サセテイタダク首相が寝言のように繰り返す共同体構想の舞台となる「東アジア」で展開中なのでありますが、軽々しい言動と前言撤回を繰り返している今の首相には手に負えない大きなパズルのようであります。 
 
中国外務省の馬朝旭報道局長は(11月)3日、鳩山由紀夫首相がチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世に再会を希望するメッセージを送ったと報じられたことについて「いかなる国もダライの反中国分裂活動に便宜と舞台を提供することに断固反対する」との談話を発表した。馬局長は「チベット問題は中国の利益にかかわる」と強調した上で、「日本は両国関係の大局から出発し、慎重かつ適切に問題を処理することを希望する」と述べ、鳩山首相とダライ・ラマとの再会の動きをけん制した。
2009年11月3日 時事通信

■同年9月16日に就任した鳩山サセテイタダク首相は、こうして出鼻を挫かれてしまったのでした。そのまま民主党政権は「不起訴」幹事長の暴走もあって対チャイナ外交は腰砕けとなったまま、12月15日の特例天皇会見、小沢大訪中団の握手大会へと雪崩れ込んで行きました。そして、今となっては実に不思議なタイミングとしか言えない11月30日に、民主党は役員会を開いて「党所属議員に超党派議員連盟への参加を規制する」という新たな方針を了承していたのでした。陳情受付を一本化する話の方が注目されたので、超党派禁止令は聞き流されてしまったようなのですが、例外的に超党派議連で活動する場合は「幹事長室と十分協議の上、対応すること」という規則は小沢独裁そのものでしょうなあ。

■鳩山サセテイタダク首相からダライ・ラマ14世へのメッセージを伝えたのは「超党派」の議員連盟なのでした。
 
 
超党派の「チベット問題を考える議員連盟」の牧野聖修会長(衆院政治倫理・公選法改正特別委員長、民主党)らは(11月)1日午前、都内のホテルで、来日中のチベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世と会談した。牧野氏は「再びお会いできることを願っている」とする鳩山由紀夫首相のメッセージを紹介した。首相は民主党幹事長だった2007年11月に14世と会談した際、チベットの「高度な自治」を支持する考えを表明。首相となった今回は中国との関係に配慮、会談は見送ったとみられる。しかし首相のメッセージ伝達は初めて。14世を敵視する中国政府が反発する可能性もある。

■「長城計画」の準備が着々と進んでいた時期ですから、会談を見送ったのは誰の意向かは簡単に分かります。メッセージを託したことも誰かさんは叱り付けたかも知れませんなあ。


牧野氏らとの会談で14世は「伝言」に謝意を表すとともに「何度か会っている鳩山氏が首相になってうれしい」と述べ、首相就任を祝う親書を送ったことを明らかにした。牧野氏は「(今回)お会いしたかったが、日程がとれなかった」との首相発言も紹介した。同席した議連メンバーが首相が提唱する「東アジア共同体」構想に対する見解を尋ねたのに対して14世は「いい案だと思う」と賛意を示した。また先月の訪米の際、延期されたオバマ大統領との会談について中国政府から中止を求める意向が伝えられていたことを明らかにした。

■さてさて、就任祝いの親書に対して鳩山サセテイタダク首相は返礼を送ったのでしょうか?怒鳴られる前に誰かさんに相談して自粛したのでしょうか?正体不明の東アジア共同体に賛意を示したのは外交辞令でしょうが、インドと米国を2本柱にしてチャイナ包囲網を作り上げる遠大な構想が隠されているかも知れませんぞ。それにしましても、オバマ大統領が会見を「延期」したのと鳩山サセテイタダク首相が会見を「断念」したのとでは大きな違いがあるような気がします。北京政府の反応を見てダライ・ラマ14世とオバマ大統領は阿吽の呼吸で「延期」したのに対し、鳩山サセテイタダク首相の方は大使館辺りから北京政府の圧力を感じた誰かさんが止めさせたのかも?


首相は代表時代の00年4月、都内で開かれた14世の来日記念レセプションに出席し、歓迎あいさつをするなど数度、14世と会っている。1日の会談には五十嵐文彦・衆院災害対策特別委員長、村越祐民衆院議員ら民主党議員らが同席した。
2009年11月2日 共同通信

■就任する前の言動を「封印」したり「撤回」し続けている鳩山サセテイタダク首相ですから、チベットにおける「高度の自治」を支持したことなど忘れてしまったことになっているかも知れませんなあ。

ダライ・ラマ法王が訪米 其の四

2010-02-08 11:22:03 | チベットもの
■当事者のチベット亡命政府側は、なかなか強かに米中関係の機微を読んで上手にバランスを取っているようです。何処かの国のように「正三角形」だの何だのと先走って大風呂敷を広げたりはしていません。

チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世とオバマ米大統領の会談予定に中国が反発している問題で、ダライ・ラマ側近のチョキヤパ秘書官は(2月)3日、「会談がチベットと中国の関係を損なうとは考えていない」と毎日新聞に答えた。……1月下旬、北京での非公式協議の中で中国側は、オバマ氏との会談「取りやめ」を要請。ダライ・ラマ代理人は回答を保留したが、ダライ・ラマはすでに会談に応じる意向を表明しており、事実上の要請拒否となった。しかし、非公式協議が決裂することはなく、「中国側のもてなし」と「腰をすえた話し合い」があり、チベット側は将来的なダライ・ラマ訪中の可能性も話題にするなど良好な雰囲気だったという。

■北京五輪の直前に四川パンダ大震災に続いて起こったチベット騒乱は、北京政府にとって忘れられない悪夢でしたから、今年の上海万博を前にして二度と同じ事が起こらないように、チベットには「対話」の飴を、既に火を噴いたウイグルには厳戒態勢の鞭を使って周到に着々と万博大成功!が実行されつつあるようです。さてさて、北京政府の思惑通りに長丁場の上海万博が成功裏に終わるかどうか、そろそろ世界中の耳目が集まり始めるのでしょうが……。


ダライ・ラマは16日前後にインドを出発。17、18の両日に米ワシントンに滞在する予定で、この間にホワイトハウスでオバマ氏と会談するとみられる。チョキヤパ氏は、ダライ・ラマとオバマ氏の会談について「一時的なもの」と位置付ける一方、「中国側とは長い年月をかけて関係を築いてきた」と強調した。チベット側はこれまで、米国の圧力を後ろ盾に中国側との交渉を進めてきた。しかし、中国の国力急伸で米国の力が相対的に低下。チベット側には、米国ばかりに頼っては問題を解決できないとの現実認識が広がっている。 
2010年2月4日 毎日新聞

■ダライ・ラマ法王は絶大な人気のある欧州や、略奪品の展覧会を開くようなちょっと複雑な日本でも活動を続けているのも、米国のパワーが相対的に低下している現実をよく理解しているのでありましょう。一方のチャイナとしても更に経済発展を続けるには、徐々に強権的な支配を変化させて人民の不満が爆発しないように巧みに誘導して行かねばなりませんし、国際的な地位を高めるためには自然破壊や環境問題でも後ろ指さされないように改善を進めねばなりますまい。そこに人権問題や文化破壊まで加わると、欧米に対抗する盛強大国に脱皮するのは難しいでしょうから、まずはチベット問題を軟着陸させる工夫が必要なのですが……。特にヒマラヤを挟んで対峙する隣国インドがチャイナの頭越しに台頭して世界最大の民主主義国家として欧米諸国と手を結んだりすると大変ですからなあ。

ダライ・ラマ法王が訪米 其の参

2010-02-07 07:55:00 | チベットもの
■オバマ大統領の当選が確実になった頃、支持者たちが「オバマなら水の上でも歩けると信じている」と言われてことがありました。世界最大の軍事大国にして科学・技術の分野でも世界一の座を譲らない米国には熱心なキリスト教信者が圧倒多数を占めている裏の顔があることをよく表わしていたエピソードでありました。『聖書』には飢えた数千人の群衆にパンを与えるキリストの奇跡が書かれていますから、就任演説に熱狂した200万人の中にはオバマ大統領なら奇跡を起こして米国中にパンと仕事と使い放題のクレジット・カードの雨を降らせてくれるなどという虫の良いことを夢見ていた人も混じっていたかも……。

■オウム真理教の裁判がだらだらと続いている日本でも、チベット密教に万能の法力を求める人が多いようで、今でもその種の書籍がちらほら見受けられますが、ダライ・ラマ14世御自身は自分は単なる一僧侶で戒律を守って修行を続けている普通の人間だと何度も発言しておられます。まあ、密教の儀式の中には特定の人物を呪い殺す目的で編み出されたものも含まれてはいますが、それで文化的な独立を達成しようという話は無いようです。不殺生戒という大きな安全弁もありますし……。

 
バートン米大統領副報道官は(2月)2日、今月中にも訪米する可能性が取りざたされているチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世について、「(訪米した場合には)オバマ大統領は国際的に尊重された宗教的、文化的指導者としてダライ・ラマと会う」と述べた。……「大統領が昨年訪中した際、ダライ・ラマと会う方針は中国の指導部に伝えている」と述べた。その上で「チベット(自治区)が中国の一部であることは明白だが、チベット住民の処遇について人権上の懸念がある。チベットの独特な文化・宗教といった伝統を保護するよう中国に働きかけている」と語った。会談日程については「会談が近づいたら発表する」と述べるにとどめた。

■就任後の1年はマスコミとの蜜月と政権の試運転期間があり、外交分野でもお披露目と御挨拶の儀式も数多く、それに加えて前政権が積み残した失政の後始末もありましたから、いよいよ、これから中間選挙に向けて新政権は本領を発揮する時期になるというわけで、「あるべき世界」を語ったプラハ演説、「今ある世界」を再確認したノーベル賞授賞式での演説に続き、基軸となる対チャイナ外交をどのように位置づけるかを語るには絶好の舞台がダライ・ラマ法王との会見になるのかも知れません。


……クローリー米国務次官補(広報担当)は国務省の記者会見で「中国が自国の国益を追求するように、われわれも国益を追求する」と語った。米政府は大統領とダライ・ラマの会談について「過去に何度も行ってきた」(クリントン国務長官)としており、会談方針に変更がないことを改めて確認した形だ。ただ、中国政府は「両国の信頼関係と協力関係を損なう」と報復措置を示唆しており、米国による台湾への武器売却決定に反発する中国が、さらに態度を硬化させる可能性がある。
2010年2月3日 産経ニュース

■台湾への武器売却問題については、国防省からチャイナの脅威に関する詳細なレポートが発表されてバランス・オブ・パワー理論が現在も有効であることが明らかになっておりますが、本来なら台湾問題の当事者の一人として日本の首相も何か発言しなければならないのに、普天間移転問題でさえ「5月になったら何とかなるかも?」ぐらいの事しか言えないようなら、米・台・中の議論の中には入って行けないでしょうし、「不起訴」幹事長には是非とも黙っていて欲しいところであります。

ダライ・ラマ法王が訪米 其の弐

2010-02-06 17:19:52 | チベットもの
■ダライ・ラマ14世とオバマ大統領の会見計画は、昨年、一度立ち消えになった経緯があります。

■日本で半日、北京で4日を過ごした就任間もなかったオバマ大統領は、日本では鳩山サセテイタダク首相に騙され、北京では人権問題は封じられ、あまり成果のないままシンガポールの国際会議に出席したのでした。就任演説からチャコのプラハでの演説に続く名調子を期待したのに、日本での演説は新政権の出方も分からないこともあり、太平洋はアメリカの海だぞ!と念を押すだけのものだった印象しか残りませんでしたなあ。


会談は11月下旬から12月末までの間、ワシントンで行われる見通しだ。米政府は、ジャレット大統領上級顧問、チベット問題担当のオテロ国務次官を9月中旬、インド・ダラムサラの亡命政府に派遣し、「オバマ政権のチベット問題に対する新たな取り組み」(同特使)を説明するとともに、オバマ大統領が訪中終了後にダライ・ラマと会談することで合意していた。

■2009年1月20日に就任して10カ月後、前政権のアホな経済政策とリーマン・ショックで国内の経済財政問題に頭を悩ませるオバマ新大統領としては、新たな市場であり米国債の最大の引き受け手であるチャイナを怒らせるわけには行かない台所事情がありましたから、人権問題を棚上げして親善友好ムードを演出する必要があったのでしょう。半世紀以上も耐え忍んでいるチベット亡命政府としては、今更、米国大統領に慌てて会見しようとじたばたする必要は無かったのでしょうなあ。


今回の首都訪問中、オバマ大統領がダライ・ラマとの会談を見送ったことでは、議会関係者を中心に強い不満が出ていた。国務省のケリー報道官は5日、定例会見で、「対中政策とは別個の問題」と述べ、会談の見送りが、訪中を控えて対中関係に配慮した結果との見方に反論した。オバマ大統領は上院議員当時にダライ・ラマと会談しているが、大統領就任後の会談はこれまで実現していない。ケリー報道官は「相互に合意した時期に会談する」として、今後の会談実現に含みを持たせていた。ダライ・ラマは6日、米議会で、故ラントス元下院議員を記念して創設された「ラントス人権賞」を授与される。
2009年10月6日 産経新聞

■こうしてチャイナに貸しを作った形にしておいて、いよいよ外交政策で得点を稼ぐ必要が出て来たオバマ大統領は、手始めにチャイナの人権問題で弾みを付けようと思っているのかも知れません。降って湧いたようなグーグル検閲問題も、ちょっとして露払いの役割を仰せ付かったのかも知れません。何を言っても「内政干渉だ!」と聞く耳持たぬ相手ですから、米国企業の問題ならば立派な国際問題になりますからなあ。
 
 
訪米中のチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世は(10月)8日、CNNテレビとのインタビューで、オバマ大統領との会談が延期されたことについて「(胡錦濤)中国国家主席に恥をかかせないようにするためだ」と述べた。このため「全く失望していない」と言い切った。……「ただ会談を行って写真だけ撮るよりも(会談を延期してでも)より真剣な協議を行う方がいい」と指摘。12月か来年1月に改めて訪米し、オバマ大統領と会談すると述べた。
2009年10月9日 CNN

■こういう前段階があっての会談ですから、北京政府が何を言おうと粛々と約束が履行されるのは間違いないと思われます。米国としても大統領が何処の誰と会おうと会うまいと独自に判断するべきことで、他国にとやかく言われるのはまったくの「内政干渉」であります。こうした当たり前の政治姿勢がひどく羨ましく見えるのは何故でしょう?
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ダライ・ラマ法王が訪米 其の壱

2010-02-06 17:18:25 | チベットもの
■朝青(暴)龍の電撃あっさり引退の一報を受けて祖国モンゴルのマスコミでは反日感情が噴出中との事ですが……。

中国では、小沢一郎民主党幹事長が不起訴になったことについて「中日関係のキーマンの小沢氏が、不起訴で幹事長を続投するなら中国にとって良かった」(梁雲祥北京大国際関係学院准教授)と、日中関係の不安定化が避けられるとして安堵感が広がっている。

■天皇陛下がノロ・ウイルスに感染してお苦しみになったのは、素人集団の新政権が陛下の御体調を考えずに、陛下の決裁が必要な書類を夜中に届けるような無礼を続けていることが最大の原因なのでしょうが、アノ特例会見が強行された後のお疲れも陛下の免疫力を低下させた原因になっているかも知れないと、日本の国民はじっと我慢して考えているかも知れませんぞ。不起訴で「安堵」している場合ではありますまい。


一方、政治責任を追及する野党が攻勢を強めるのは確実で「幹事長辞任となれば、鳩山政権の対中政策に影響が出る」(対日研究者)との不安の声もある。……新華社は4日夜「証拠不十分で不起訴になった」と事実関係を報じるとともに「政治資金問題は、一貫して日本の政局に影響を与える重要な要素だ」と指摘。梁准教授も「引き続き注視しなければいけない」と述べるなど、中国は日本の政局を見守っていく考えだ。
2010年2月4日 産経ニュース

■普天間移転問題で鳩山サセテイタダク首相が米国政府を困らせ、幹事長は何かと国際的に孤立しがちのチャイナを心配させる。決して意図しているわけではないのでしょうが、日本の外交が注目されるようになったのは確かなようです。勿論、胸を張れる話ではないのですが……。


中国外務省の馬朝旭報道局長は5日夜、中国側の反対にもかかわらず、米政府がオバマ大統領とチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世が今月後半に会談する見通しを明らかにしたことに対し、「米指導者とダライの接触に反対する立場は一貫しており明確だ」と念押しする談話を発表した。……「米大統領報道官の言論に深刻な懸念を表明し、米側に抗議した」と強調。オバマ大統領がダライ・ラマと会談すれば、報復的措置が取られる可能性が高い。
2010年2月6日 時事通信

■台湾への武器供与問題との絡みもあって、米中は対立を深めている模様であります。鳩山サセテイタダク首相が「友愛」精神でしゃしゃり出て仲裁に入る心配は無さそうですが、ノーベル平和賞の受賞者同士が会見するのを非難しても何の得にもならないのは分かっているのに、敢えて波風を立てて見せないと国内に示しが付かないという厳しい現実がありましょうなあ。


チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世が17、18の両日、米首都ワシントンを訪れる予定であることが分かった。オバマ大統領との会談も計画されているが、日程など詳細は調整中という。ダライ・ラマはこの後、カリフォルニア州なども訪問する。在米支援団体関係者が4日、明らかにした。台湾への武器売却問題をめぐり、米中関係は急激に悪化。オバマ大統領とダライ・ラマが会談した場合、中国がさらに反発を強めるのは必至だ。
2010年2月5日 時事通信

■またまたワシントンが激しいサイバー攻撃を受けるかも?それとも、また自前の人工衛星をミサイルで打ち落として見せるのか?はたまた北京市内の大学などにバスを差し回して管理された反米デモを企画するのか?まさか、台湾に向けて北朝鮮みたいにミサイルの試し撃ちなどはしないでしょうな?!どちらにしても法王の訪米に関する映像も報道もきっちりと監視されて厳しく検閲されるのは間違いありませんが、グーグルはどうするのでしょうなあ。

泰山鳴動して不起訴? 其の参

2010-02-06 16:15:21 | 政治
■泰山鳴動して「不起訴」となった小沢金脈を総括する記事を読んでみましょう。  
 
東京地検特捜部が小沢一郎民主党幹事長を不起訴処分にしたのは、民意で政権交代を牽引した大物政治家に対しては、百パーセント有罪にできる「十二分の証拠」がなければ、訴追を断行すべきではないという検察当局の判断があった。1年に及ぶ捜査は高い壁に阻まれたが、その一方で政治資金を「すべて公開している」と主張し続けた「政治家の嘘」が捜査の過程であぶり出された。……小沢氏と特捜部の攻防の始まりは昨年3月にさかのぼる。公設第1秘書の大久保隆規被告が逮捕された翌日、小沢氏は「オープン」という言葉を何度も使い、痛烈な検察批判を展開した。問われたのは政治資金収支報告書に記載された「表の金」。身内の検察OBからも批判が相次いだ。それでも、特捜部が捜査を継続させたのは、「裏の金」の糸口をつかんだからだ。水谷建設の裏献金疑惑だ。

■『週刊朝日』1月22日号で、『小沢一郎 虚飾の支配者』の著者・松田賢弥氏が次のように話しています。「小沢のカネの流れは二つある。一つは政党をつくって壊すたびに手中にしてきた政党のカネ。もう一つが建設相だった父の代から培われたゼネコンなどからの献金の流れです……」。政党助成金制度を自分で作って最も上手に利用して合法的に国民の税金を自分の政治資金にしてしまう新たな錬金術を駆使しつつ、田中角栄が完成した公共投資事業の予算から献金名目で税金をキックバックさせて税金を政治資金に変える古い錬金術を自分ひとりが独占してしまうという、民主主義の仮面を被った恐ろしい独裁政治を実現しようとしてような感じがしますなあ。


岩手県の胆沢ダム工事の受注謝礼として、平成16年10月に衆院議員の石川知裕被告に5千万円を渡したなどとする証言を、水谷建設元幹部らから得た。「授受」直後には小沢氏の資金管理団体「陸山会」が事件の舞台となった土地を購入していた。特捜部は「裏献金」が土地代金に含まれているとの仮説を立てた。……土地代金の原資4億円は収支報告書に記載されていなかった。特捜部がもっとも注目したのは、この複雑な資金操作だ。……実際、石川被告は「資金の出どころを隠すための「偽装工作」と認めた。陸山会の「慣習」として小沢氏の指示を否定したが、不動産を購入する際の預金担保の融資は6年に小沢氏の強い意向で始まっていた。

■貧乏人には想像も出来ない5千万円だの4億円だのというゲンナマが、あっちに行ったりこっちに来たり、買い集めた不動産が10億円で小沢邸や事務所には生々しく札束が巨大な金庫にぎっしり……などという話の真偽を判定するのは不可能ですが、手持ちのキャッシュがあるのに銀行から同額の融資を受けたら、いくら低金利時代とは言え利息分が損だということは分かります。どうしても銀行を儲けさせねばならない理由が有ったのか?それとも別の理由があったのか?この点に関してクラッシャー小沢は何も「オープン」にしてくれません。


小沢氏は当初、土地代金の原資を「献金」(19年2月)と説明していたが、疑惑が表面化すると「融資」(昨年10月)に変わり、融資前の購入が発覚すると「個人資金」(今年1月)と二転三転させた。さらに、石川被告は「虚偽記載や偽装の融資は小沢先生の了承を得ていた」とも供述した。こうした状況から、特捜部は「有罪を得られる十分な証拠はそろった」として検察首脳との最終協議に臨んだが、結論は「十二分の証拠が必要」だった。主に障害となったのは(1)石川被告から虚偽記載の動機につながる「裏献金」を認める供述を得られなかった(2)「了承」より強い「指示」の供述が得られず、小沢氏の積極的関与を立証できなかった-の2点。

■1億円を渡したと言う人がいてるのに、それを受け取った人が居ない?こんな面妖な話はありません。まるで朝青(暴)龍に鼻をへし折られて全治1ヶ月の診断書を警察に持ち込んだ「知人」がいるのに、本人は最後まで「殴っていない」と言い張り、「知人」も急に「何もなかった」と言い出す奇妙な話に似ていないこともありません。消えた1億円は何処に行ったのか?朝青(暴)龍は手も触れずに隣の知人の鼻を折れるのか?不思議な話が機を一にして飛び出しました。


ある検察幹部は「小沢氏は選挙で選ばれた影響の大きい政治家。100%有罪にできる証拠がないと起訴すべきではない」と語る。昨年3月の捜査では強い世間の批判を浴びたが、今回の捜査は世論調査で7割が支持した。立件のハードルを上げたため、またしても「秘書の犯罪」で終わったことは、その期待を裏切る形になった。ただ、今回の捜査は「すべて公開」「融資で購入」という小沢氏の偽りを鮮明に浮かび上がらせた点で意義があった。
2010年2月4日 産経ニュース

■クラッシャー小沢のウソばかりでなく、民主党の本性もはっきりと見えてしまったようなものですから、夏の参議院選挙を小沢幹事長体制のままで乗り切って大勝出来るなどと、努努(ゆめゆめ)油断せぬことでしょうなあ。暦の上ではもう春だそうですが、昨年の総選挙で様々な理由と事情で民主党に投票してしまったことを後悔している有権者は、何とか夏までに支持政党を無理にでも探し出しておかねばなりません。あの下卑た喧しい野次が飛び交う国会を眺めながら……。嗚呼。

小沢一郎 虚飾の支配者
松田 賢弥
講談社

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泰山鳴動して不起訴? 其の弐

2010-02-06 16:14:57 | 政治
■『週刊新潮』1月28日号のグラビア記事に「……彼こそ、この“構図”を仕掛けた検察側のトップ・佐久間達哉特捜部長なのだ」と自宅ポストから朝刊を取る姿を掲載しておりました。その記事に「官僚中の官僚」との周囲の評判が紹介され、「検事になってからは法務省経験が長く、手掛けた仕事の中でも強い印象を持つのが『人権擁護法案』の立案。人権擁護局調査救済課長時代には『朝まで生テレビ』にも出演した」という一節があったのを何となく記憶していたのですが……。

……鳩山由紀夫首相は3日の参院本会議での代表質問に対する答弁で、民主党内で検討されている人権侵害救済法案(旧人権擁護法案)について「できる限り早期に国会に提出できるよう努力を約束する」と表明した。また、「差別問題をはじめ数々の深刻な人権問題が後を絶たない。人権救済機関の創設は非常に重要だ」と必要性を強調した。民主党の松岡徹氏の質問に答えた。……永住外国人への地方参政権(選挙権)付与法案や夫婦別姓法案と合わせ、与野党の保守系議員らが「日本を日本でなくする国家解体法案」と指摘してきた3つの法案が今国会でそろい踏みする可能性が出てきた。民主党の救済法案は、各省庁の上位に、独立性が高く他の機関のチェックの及ばない「第2の司法機関」ともいうべき人権侵害救済機関を設置することを柱としている。

■検察内部には順繰り人事を穏便に進めたい上層部と大物政治家・小沢を潰して金星を上げたい特捜部との対立があるという報道が多いのですが、まさか「第2の司法機関」の初代トップに人権擁護局調査救済課長として同法案を作った今の特捜部長を座らせる条件で、検察内部の亀裂に楔を打ち込み、同時に蝶番を付けたのではないでしょうな?!検察上層部からの発表と同期するように鳩山サセテイタダク首相が恐ろしい法案3点セットに意欲を示すというのは、どうも出来過ぎているような気がしますなあ。


……人権侵害防止は他の法令で可能とされる上、法案は肝心の「人権侵害の定義があいまい」で「救済機関の権限が強大」と指摘され……。公権力による民間の言論活動への介入の根拠となるだけだとの意見も多数出された。一方、民主党は昨年の衆院選マニフェストで「人権侵害救済機関の創設」などを掲げ、千葉景子法相は就任直後の9月17日の記者会見で、「国際的にみても(設置が)当たり前の機関だ。実現に向けて早急に取り組みたい」と語っていた。

■「第2の司法機関」の創設に関しては民主党と検察は協力関係を結んだ同志のようなものなのでしょう。「悪人正機」の親鸞を描く本が評判を取る希望の無い時代ではありますが、悪人にも権力者にも「人権があるんだ!」という解釈が無限に広がり得る基本精神を持つ法律が成立したら、世の中はがらりと変わって大混乱が起こりそうな気がします。


……民主党案は自民党案よりさらに大きな問題点も指摘され……焦点の救済機関を自民党案の「法務省の外局」ではなく、首相官邸直結の「内閣府の外局」に設置することだ。政府と党の一体化を進める民主党政権では、党の意向がより反映されやすい。さらに、救済機関を中央だけでなく、各都道府県に置くことや、立ち入り調査などを行う人権委員に国籍要件を設けないため、外国人の就任も可能とされることも問題視されている。救済機関は、人権侵害の申し立てがあれば、立ち入り調査のほか、調停や仲裁、勧告、公表、訴訟参加など国民生活の隅々にまで介入・干渉する司法権を持つ。また、報道機関には努力義務を課すなどメディア規制色も強い。これらは、民主党の支持団体である解放同盟の要望をほぼそのまま取り入れたものでもある。野党議員からは「人権救済とは名ばかりで、政府や特定団体による『人権抑圧法』だ」との批判もある。
2010年2月3日 産経ニュース

■普天間移設問題の白紙撤回を目論み、沖縄のパンドラの箱を開けた鳩山サセテイタダク首相のことですから、生活保護などの救済制度を悪用する困った人達が跋扈している現状をもっと酷い物にしてしまうことなど考えも及ばないのでしょうから、予算の心配が無いからと言ってマニフェストから変な項目だけ選んで実行されてはエライことになりそうです。そもそも、政権交代を願った多くの有権者は、特別会計を含めた国家予算の抜本的見直して20兆円でも30兆円でも簡単で財源は見付かる!と藤井前大臣が大見得を切って見せ、それを繰り返していた鳩山サセテイタダク首相の言葉に一抹の不安を覚えながらも、自民党政権では何も変わらないからと藁にもすがる思いで票を投じたのではないでしょうかな?

■「生活が第一」の大看板の裏には「それよりも政権交代が大事」だの「小沢独裁体制が大事」だのと書かれていようとは、誰も考えなかったでしょうし、西松問題でクラッシャー小沢が代表を辞任したことで金権政治とは無縁の新政権が生まれるかも?と淡い期待を持たされた有権者は、やっぱり騙された!と気が付き始めているような気がします。

泰山鳴動して不起訴? 其の壱

2010-02-06 16:14:27 | 政治
■角界の横綱は潔く?引退したのに、政界の横綱は潔くない、などと揶揄する声も出ているようですが、それが捲土重来の虚しい掛け声しか出ない野党第一党の自民党から聞こえてくるのは悲しい話ではあります。

……東京地検特捜部は3日、元会計事務担当の衆院議員、石川知裕容疑者らの共犯として告発されていた小沢氏について……特捜部は勾留期限の4日、政治資金規正法違反(虚偽記載)罪で、石川容疑者と元会計責任者の公設第1秘書、大久保隆規容疑者を起訴し、小沢氏を嫌疑不十分で不起訴処分にする方針。石川容疑者の後任の元私設秘書、池田光智容疑者については、関与の度合いを見極めた上で同日に処分を出す見通し。

■どうして「不起訴」なのか、さっぱり分からない急展開は朝青(暴)龍の引退茶番劇とよく似ています。何だか公衆の面前で真相が闇から闇に押し込められて行くようで、実に気味の悪い嫌な感じがする二つの騒動でありますなあ。マスコミは「小沢VS検察」という構図で小沢金脈政治と検察権力の横暴を無理やり天秤に掛けて、二者択一で片方を責めるという余りにも単純な批判報道を繰り広げていたようですが、どちらも悪いとしか思えませんでした。従ってバランスを失ってどちらかの尻馬に乗るような報道をして国民を混乱させたマスコミが最も悪いということになりましょうなあ。

■野党時代に陳腐な幟旗を作って「ガソリン値下げ隊!」などと気恥ずかしくなるようなパフォーマンスをやっていた民主党が、今度は「小沢幹事長を助け隊」を結成してマスコミ批判をした時には、初めて与党らしい傲慢さと独善性に満ちた組織防衛の姿勢が露になりました。朝青(暴)龍問題でもドサクサに紛れて日本相撲協会理事長の椅子を掠め取ろうと愚かしい陰謀と暗闘があったそうですが、小沢・鳩山体制が崩壊した後の幹事長や代表の座を狙っている誰かさん達が、起訴されるかも?と思われた時には小沢批判、起訴されないと分かると掌を返したように検察批判をして見せる様は、早くも政権与党の垢が着き始めている事を教えてくれました。

■一時は「マスコミ+検察VS民主党」という変な構図になって、ガセネタ電子メールで国会を混乱させた事など忘れ去ったかのように、検察側からの情報がすべて意図的に流されたリーク報道だ!と、他の重要な政治案件を放り出して検察を脅し上げるのに熱心だった民主党でありました。しかし、クラッシャー小沢が共犯だと立証できなかったにせよ、30億円もの怪しいカネが動いていた事実は国民に知られてしまったのですから、これで一件落着などと慢心せぬがよろしいでしょうなあ。


特捜部の調べによると、石川容疑者は、陸山会が平成16年10月に東京都世田谷区の土地を購入した際、土地代金の原資4億円を収入として政治資金収支報告書に記載せず、土地代金約3億5千万円を支出として記載しなかった疑い。池田容疑者は17年に土地代金を支払ったように装って収支報告書に土地代金の支出を記載。19年には大久保容疑者と共謀し、陸山会が小沢氏に支出した4億円を収支報告書に記載しなかった疑いが持たれている。

■記載漏れが意図的に行なわれたのか、それとも単なるミスなのか?そんな事より4億円の原資が政治献金→遺産→預貯金と出所の説明がコロコロ変わり、結局、何処から流れ込んで貯まったカネなのかは謎のままです。


石川容疑者は特捜部の調べに、虚偽記載について「小沢先生に了承を得ていた」などと供述した。土地購入直後に受けた銀行融資については「資金の出どころを隠すための偽装工作だった」と供述。小沢氏はこの融資の関係書類に署名するなど、手続きに関与していた。こうした証拠から、特捜部は小沢氏が石川容疑者と虚偽記載を共謀した疑いが強いとみて捜査を進めてきた。さらに、土地代金の原資4億円に、水谷建設元幹部らが「石川容疑者に渡した」と供述した5千万円の裏献金が含まれ、これを隠すために虚偽記載を行ったとの見方を強めていた。

■水谷建設の証言といいますと、前福島県知事の政治生命を絶った幻の贈収賄事件がデッチ上げられた話を思い出す人が多いそうで、今は特捜部長として小沢を追い回している佐久間達哉という人物は、副部長時代に福島県知事を捜査・起訴して控訴審で赤っ恥を掻いた張本人だそうですから、鈴木宗男さん辺りが検察を激しく批判するのも当然なのでしょう。どうやら検察内部でも上層部と特捜幹部との間に保身と意地とが絡まりあった馬鹿馬鹿しい対立があるとも報じられていますから、「小沢VS検察」などという構図は陳腐な絵空事なのかも知れませんぞ。


……大久保、池田両容疑者が小沢氏の関与を否定したほか、石川容疑者からは小沢氏の指示など「了承」以上の積極的関与を示す供述が出なかった。特捜部が虚偽記載の動機とみていた裏献金の授受についても石川容疑者らは一貫して否認した。……特捜部はこうした証拠を総合的に検討、3日の上級庁との協議を踏まえ、小沢氏について公判で有罪を立証することは難しいと最終判断したとみられる。
2010年2月4日 産経ニュース

■検察OBの中からは、金丸事件の例を引いて政治資金規正法で有罪に出来なくても脱税などで政治生命を絶つことは出来るぞ!と息巻いている人もいるそうですが、もしも、小沢金脈政治の隠然たる力がますます根深く広がり法務大臣の下にある役所の検察庁が締め上げられるような事になりますと、佐久間部長は主任検事を務め①逆転無罪になった長期信用銀行の粉飾決算事件、控訴審で検察の主張が覆された②佐藤栄佐久前福島県知事の贈収賄事件、重要参考人の元総務部長が公判中に前言を撤回した③西松建設事件に続いて第4の汚点を作ってしまうことになりますず。

■こんなに失敗の多い無能な人でも特捜部長に昇進できるというのも不思議な話ですが、カメラ嫌いで記者クラブに守られている検察の素顔は一般国民には分かりませんから、内輪で決まる人事などは雲の上か谷底の闇の世界でのお話であります。

相撲界の政権交代? 

2010-02-04 15:23:24 | 日記・雑学
■このブログ記事をアップする直前に朝青(暴)龍の引退が速報で流れました。……
 
■民主党の幹事長が不起訴処分になるとの報道が流れる前夜には、日本相撲協会の非民主的選挙のごたごた話が流れ、伝統と格式を重んじる相撲界の因習が表面化しました。政界で起った政権交代の熱気が急速に冷めてしまった時に、相撲界に貴乃花親方が新風を巻き起こしてくれたのですが、その風に舞い上がった砂埃の中に朝青龍(改め朝暴龍?)の暴行問題が紛れ込んで何が何だか分からなくなっておりますなあ。
 
■しどろもどろの老人談合会と化した相撲協会の中で、もしも貴乃花親方が胸の空く厳正な正論を吐いて朝暴龍を横綱の座から追い出すことにでもなれば、また新しい因縁話が生まれることになりそうです。先代の大関・貴乃花は相撲界を引っ張る人気力士でありましたが、その名大関に引退を決意させたのはウルフ千代の富士でした。歴代2位の幕内807勝、同じく2位の53連勝などの大記録を打ち立てた千代の富士は、少年時代に走り高跳びと三段跳びで五輪大会にも出られるほどの逸材だったとか……。引退した貴乃花の方も全国有数の水泳選手でしたから、当時のお相撲さんは本当に強かったのでした。

■ウルフ千代の富士に引退を決意させたのは貴乃花の次男で弟子の今の貴乃花親方だったというドラマに相撲ファンは感動したものです。空前の若貴ブームが起った頃は相撲協会もほくほくでしたが、その後は何処の国の国技なのか分からない不思議な場所が続くことになりました。いろいろな原因で人材不足に陥った相撲界は、手っ取り早く外国からガタイのよい若者を呼んで来て鍛え上げれば関取の頭数は揃うと考えたのでしょうが、気が付いたら横綱はいつでも外国人力士という奇妙な番付が定着してしまったのでした。柔軟性があると言うべきか、優勝を争う上位に日本人力士がほとんど名前が出ない相撲でも喜んで観戦してくれる有り難いファンが多かったのが相撲協会を油断させたのでしょうなあ。

■ファンは高齢化して力士は外国勢が多くなり続ければ、近い将来に何が起るか?それを真剣に考えたら眠れないほど不安になるはずなのに、財団法人で税金が免除され、NHKがテレビ・ラジオの放映権を高く買ってくれている限りは何とかなると誰かさん達はタカを括って現状に胡坐をかいていたのでしょう。地方巡業の勧進元も激減し弟子入りを希望する若者も払底しても、何から何まで昔通りに既得権益を山分けするのに熱心な理事会と部屋との凭(もた)れ合いが続いていれば、現場で危機感を持つ若い親方達は決起しなければならなくなるのは当然でありましょう。


日本相撲協会の理事選で立浪一門を造反し貴乃花親方(37)への投票で退職を明言していた安治川親方(36)=元幕内・光法=が3日、両国国技館で退職の撤回を表明した。一門の友綱親方(元関脇・魁輝)が慰留し、わずか1日での態度の急変は、まさに茶番劇。一方で貴乃花グループが水面下で安治川親方へ支持工作を行っていたことも判明。……

■テレビなどは選挙結果を速報してはしゃいでいたようですが、門閥ごとの票数と投票結果を照合する図表を作ってみれば、謎の3票が浮かび上がってしまいます。そう言えば、4期8年ぶりの投票になった!との報道に使われた資料映像に、アノ先代時津風親方が黄色い色付き眼鏡を掛けて投票箱を監視していたではありませんか?!誤字脱字の有無を確認するとの名目で実質的には記名投票だった時代の映像であります。伝統を重んじて紋付袴姿で並ぶ親方衆の写真のキャプションを差し替えれば、何処かのヤクザが襲名披露に集まったと言われても信じてしまいそうな怖い雰囲気が漂っておりましたなあ。

■今回の安治川親方の告白・引退表明の会見を見て、『仁義なき戦い』の1シーンを思い出した人もいたのではないでしょうか?主役の菅原文太さんが左手の小指を立てて「これしかないんじゃあ!これしか!包丁と俎板持って来いやあ」と吼えるシーンです。組織や仕来りに逆らったら「落とし前」を付けねばならない厳しい渡世……。そんな息苦しい世界に今時の若者が憧れるはずもなく、ずっと前から相撲部屋は一種の更正施設の機能を負わされているというマスコミのタブーとなっている話もあるそうで、今場所で引退したツッパリしか出来ない大関・千代大海も凄まじい青年時代を送っていたのは紛れもない事実。そんな人材集めの手法で外国に目を向けたら、トンデモない不良を引っ張り込むことになるのは時間の問題だったのでしょうなあ。


……まさかの退職撤回。決定打は監督官庁の動きだ。文科省が、無記名投票の理事選で立浪一門が造反者の割り出しを行う動きを協会に問い合わせた。退職されれば同省からの指導の危機が発生。こうした圧力に一門の理事の友綱親方(元関脇・魁輝)が一門の親方の同意を得て夕方に安治川親方を慰留。一門の規律違反の処罰もなく残留が決まった。……「2年後も働きぶりを見て考える」と立浪一門にいながら貴乃花親方への支持を表明。会見に同席した友綱親方は「2年間で教育していきたい」と渋い表情を浮かべた。結果的に退職を掲げたことで慰留を引き出す茶番劇。一門の規律を破ってもおとがめはなし。安治川親方を許したことでこれまでの一門の結束は完全に崩壊した。

■鬼より怖い文科省。神様仏様のNHK。マスコミを味方に付けた貴乃花親方に風が吹くのは当たり前なのに、票読み通りの票割をゴリ押ししようとした親方衆はすっかり悪役か骨董品扱いになりつつあるようです。安治川親方に詰め腹を切らせたら民主的な文科省が起って財団法人の認定を取り消したら大変だあ!負担することになる税金分をNHKにねだって「ごっつぁんです」という話にはならないでしょうから、文科省の逆鱗に触れないことが相撲協会の最も大事な仕事になって、ファンや関取はすっかり忘れ去られて久しいのでありましょう。


造反の裏側で貴乃花グループが水面下で支持工作に動いていた疑惑が発覚した。関係者によると音羽山親方(元大関・貴ノ浪)が仲介役で初場所中に「オレたちが一生面倒を見る」と説得。退職すれば大嶽部屋のマネジャーのポストも用意していたという。会見では「金銭が渡ったのでは?」との質問も出たが「一切、ありません」と否定。ただ前夜の会見場となった大嶽部屋の大嶽親方(元関脇・貴闘力)とは「仲がいいので食事した」と認めた。選挙管理委員長を務めた大山親方(元幕内・大飛)は「不正行為の証拠が見つかれば選挙のやり直しです」と明かす。理事選の波乱はまだ終わる気配はない。
2月4日 スポーツ報知

■根回しには「実弾」が付き物で、旧自民党の総裁選挙などでは「ニッカ、サントリー、オールドパー」などと奇怪な隠語が使われていたのを思い出しますが、中学卒業から相撲一筋の生活に入った若者は、もしも修行途中で身体を作り上げられなかったり壊したりした場合、その後の見の振り方は特殊な困難を伴うという話もありますし、丈夫で長持ちした関取の間で年寄り株の融通売買が行なわれて相互に老後の保障を固めるという構造は、どうも弊害が多過ぎるようであります。
 
 
「安治川」株の前の所有者、伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)は、安治川親方が協会に残る意向を示したことに対し「友綱親方に一任しているから」と多くを語らなかった。しかし、造反については「貸した人の意に沿わないのはおかしい。相撲は礼節を重んじるのに、そういうところが見えてこない」と怒り心頭。「安治川は私が先代から受け継いだ名跡。今回の一件で汚されたのは悲しい」と険しい表情だった。
2月4日 スポニチアネックス

■嗚呼、何とも面倒臭い後腐れと申しましょうか?親方株にはこんな窮屈な拘束力があるのか?!と、こういう話を聞いた日本の若きアスリート達は、ますます相撲界を遠い遠い世界だと思うのではないでしょうか?サッカー場には溢れる若いサポーターと観客の姿が、相撲の本場所中継から消え去ってから久しく、手っ取り早く現金を稼いで祖国に帰るぞ!という独特の気魄に満ち溢れた外国人力士の取り組みが増え、その中から大関や横綱が生まれる伝統が定着したら、今の高齢者ファンが去った時には閑古鳥が鳴く寂しい本場所が、デジタル高画質放送で中継されるのでしょうか?空席が鮮明に見え、まばらな歓声と拍手が生々しく伝わって誰が感動するのでしょうなあ?
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素人内閣の危険 

2010-02-04 12:17:08 | 政治
■国会論戦が本格的に始まったものの、野党になって間が無い自民党は鋭い質問を連発するには勉強不足で経験不足、何処か間が抜けているから素人集団の新内閣が不思議なくらいに馬脚を現しません。開幕から「政治とカネ」の問題が取り上げられて、それだけでも経済と財政と外交の危機が放置されてしまったと国民の多くは食傷気味の古臭い議論に鼻白み、もう勝手にしておくれ!と呆れ果てているようであります。

■政治資金の「入り」が怪しい幹事長と「出」がさっぱり分からない特大子供手当てを受け取った総理大臣、そこに検察とマスコミから憶測を含めた膨大な情報が細切れ状態のままで垂れ流され、自力調査能力を持たない情けない野党も新聞・雑誌のスクラップぐらいしか追求材料を持っていない。そんな薄味の国会を税金を使って延々と続ける意味は有るのかいなあ?と政権交代の熱もすっかり冷めた日本の有権者は、次の選挙を考えると暗澹たる気持ちになってしまいます。

■必殺!仕分け人のブームも去ってみれば、脱官僚・政治主導の看板は大嘘で財務省が書いたシナリオ通りに厚労省などが裏側から糸を引いて最後まで大鉈は振るえないまま幕引きとなった実態が分かってしまいましたし、既に死んでいるJALの再建騒ぎでも自民党政治の清算は出来ませんでした。普天間問題は地元の選挙結果でますます鳩山サセテイタダク首相は自縄自縛の度を深め、高速道路の無料化も妥協の末に目的も効果も分からない及び腰のお試し話で終わってしまいそうです。マニフェスト選挙で勝ったはずの民主党が、何だかんだとマニフェスト破りが続いているのですから、野党からの論難は熾烈を極めるはずなのに、世間とマスコミは「小沢VS検察」の分かり易い暗闘に注目するばかりで、まるで日本には野党が存在しないかの如くです。野党がいなければ与党もいないも同然という理屈になるのでしょうか?

■「生活が第一」の政治主導を訴えていた民主党ですから、宮内庁の役人も顎で使って構わない!と考える幹事長が絶大な権力を独占するのも不思議ではありません。しかし、天皇陛下に対して宮内庁の部品の一つのような勘違いをしているのなら大問題でありましょう。怪しげな不動産購入が検察に追及され始めてから、クラッシャー小沢がゴリ押しした特例会見問題がどこかに消えてしまったのは甚だ残念なことでありました。

■奇怪な憲法解釈を振り回した記者会見の場で、政権与党は天皇を好き勝手に動かせるかのような暴論が飛び出して驚きましたが、あの時のクラッシャー小沢が見せた激しい口吻は、天皇陛下の体調など一切斟酌しない不遜なものを感じさせたのを思い出します。米国のオバマ大統領の「チャンジ!」に便乗していた日本の民主党は、日本の年号までチャンジさせるお心算か?と背筋が寒くなった人もいたのではないでしょうか?


 天皇陛下の夜間のご執務が相次いでいる。体調不良を訴えた2日も、静養中の皇居・御所で、午後9時ごろまで書類の決裁をされた。通常国会が開会した1月18日以降、内閣が意思決定する「閣議」が夕方に開かれるケースがみられるようになり、皇居に書類が届く時間が遅くなっていることが原因だ。陛下が平成20年12月に体調を崩されて以降、宮内庁はご負担軽減策を検討しており、夜間のお務めの常態化を懸念する声も出ている。
 
■まさか天皇陛下に夜なべ仕事を押し付けてやろう、などと恐ろしい事を考えてこんな事をやっているのではないのでしょうが……。『週刊現代』2月13日号に「鳩山さん、普天間から逃げるつもりでしょ」という身も蓋もない題名の記事が掲載されておりまして、そこに沖縄基地問題検討委員会の委員長に関する笑えない話が出ております。委員長というのは平野官房長官その人で、サポートしている役人から「素人同然」と呆れられているのだそうで、防衛省職員などは「平野さんはおそらく、日米合意の文書すら細かく読んでいないんじゃないかと思ってしまうくらい、基地移設問題について何も知らない。役人に見当はずれの質問ばかりする……」と言われているのだそうです。以前の移設先候補地についても「まるで小学生に九九の授業をしているようだ」と嫌われている由。

■厚労大臣の長妻さん、財務大臣兼務の菅さんも役人に手取り足取り基本的なレクチャーを受けているそうですから、そんな素人が集まる閣議がてきぱき進まないのも当然なのでしょうが……。


陛下が葉山御用邸での静養を取りやめ、週末まで御所で静養されることが宮内庁から発表された2日は、午後5時半すぎに閣議が終了。書類は通常執務をしている宮殿ではなく、陛下が静養されている御所に運ばれた。陛下は5件ほどの書類に目を通し、署名するなどして決裁された。終了したのは午後9時ごろだったという。……宮内庁は、通常閣議が行われる毎週火、金曜は、午後の早い時間から夕方まで、極力ほかの予定を入れないよう調整している。書類には公布を控えた政令などが含まれており、陛下は原則としてその日のうちに執務に臨まれる。

■公務に対して常に真剣な態度で臨まれる陛下のお仕事ぶりはつとに有名で、それは素人閣僚とは雲泥の差でありましょう。どうも新政権には国家の象徴に対する敬意と心遣いと遠慮が欠けているような気がしますなあ。


……ある政府関係者は……「自民党政権では、閣議前の事務次官会議で案件が調整され、閣議は午前中に短時間で終了するのが慣例だった。最近は時間が遅いので、われわれより陛下が大変で、影響を受けられている」と話す。朝に閣議を行わないのは、民主党政権になり閣議の時間が長くなったことに加え、朝に首相や閣僚が国会答弁のための勉強をするといった理由という。……

■役人に丸投げし過ぎた自民党にも問題は多々ありますが、自分の不勉強を取り戻すという恥ずかしい理由で天皇陛下に御負担を掛けるというのは如何なものでしょうなあ?自民党時代にも年功序列・論功行賞・順送りで素人大臣が数多く誕生したもので、就任の挨拶で「これから一生懸命勉強します」などと平然と言う無責任大臣もいましたが、民主党連立政権の勉強不足は本物かも?


……陛下の側近は閣議の時間が遅くなるケースについて、「一時的であれば仕方がないが、常態化するようだとご負担になりかねない」と懸念している。
2010年2月4日 産経ニュース

■素人閣僚には「お勉強」が必要なのでしょうが、官僚に基本的な事を教えて貰わねば何も出来ないのなら、政治主導などと大法螺を吹いては行けません。そして何より素人の「お勉強」が元で一大事が起こったらエライことになるでしょうなあ。「命を守りたい!」などと素っ頓狂な声から始まる所信表明演説をする鳩山サセテイタダク首相は天皇陛下の健康状態など気にならないのでしょうか?自分で「お勉強」したガンジーの言葉から「七つの大罪」を引用し、少なくとも六つの項目に自分自身が抵触していることも気にならない不思議な神経の持ち主ですから仕方がないのかも知れませんが、心配なことであります。
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