旅限無(りょげむ)

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イラク内戦 其の壱

2007-01-31 21:47:53 | 外交・情勢(アメリカ)
■ブッシュ政権がイラクの首都バグダッドへの直接攻撃を予告した時、フセイン政権を崩壊させたら「1000人のビン・ラディンが生まれるぞ!」と無気味な予言をしたのがエジプトのムバラク大統領でした。最近、海外ニュースでも顔を見る機会がすっかり減ってしまいましたが、年明け早々に米国のライス国務長官が忙しく中東を歴訪した中で、1月15日にエジプト南部ルクソールで、ムバラク大統領と会談していました。同じ場所でアラブ連盟のムーサ事務局長とも会談していたようです。エジプトとしては米国の「イラク新政策」は支持したものの、イラクの憲法修正問題に懸念を示したそうです。スンナ派とシーア派の対立は、アラブとペリシアの民族対立とも重なりますから、イラクが憎いとは言え、米国が露骨にアラブ寄り=スンナ派寄りの外交を展開すると、逆効果になるのではないかなあ?と心配しておりましたが……。


ゲーツ米国防長官は12日、ブッシュ大統領が発表したイラク新政策をめぐる上院軍事委員会の公聴会で証言し、混迷を続けるイラクの現状について「4つの戦争が同時に進行している」との見方を示し、2万人以上の米軍増派決定への理解を求めた。

■「4つの戦争」というのは初耳でしたが、中身を聞いてみるとなかなか良く整理された話です。


4つの戦争は具体的には
(1)イスラム教シーア派同士の抗争
(2)首都バグダッドなどでの宗派間の暴力
(3)武装勢力による攻撃
(4)国際テロ組織アルカーイダによる攻撃。
武装勢力の活動は宗派対立を激化させようとの目的もあるとの見方も示した。「中東の悪い連中がみなイラクで活動している」としてアルカーイダ、イラン、シリアのほか、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラ(神の党)の存在を挙げた。

■ムバラク大統領が予言した「1000人のビン・ラディン」が本当にイラクに集結していると思われます。西はソマリアから東はパキスタンまで、米国はイラクに軸足を置きながら大忙しの毎日です。


ゲーツ長官は増派による治安回復が成功した場合は「年内に撤退を開始できるかもしれない」との見通しを示した。米国がイランに武力行使する可能性については「必然性はない」と否定した。
1月14日 産経新聞

■これが半月前の状況でした。「年内に撤退」などと悠長な事を言っていられる状態なのか?と訝(いぶか)しんでいたところ、その後、まるで血に酔った様に爆弾テロが続発しました。


イラクの首都バグダッド中心部の繁華街で22日、2発の自動車爆弾が爆発、ロイター通信によると88人が死亡、160人が負傷した。バグダッド北東のバアクーバ近郊でも自爆テロで50人以上が死傷するなど、各地で爆弾テロが相次いだ。米ブッシュ政権は今月10日、2万人の米兵増派を柱とする新政策を発表したが、テロが沈静化する兆しはなく、治安回復の実現が厳しいことを印象づけた。…

■この事件は「4つの戦争」の内のどのカテゴリーに入るのか分からないようです。記事を読んだ感じでは、「4つの戦争」のどれかのパターンで銃撃戦が始まって、それから次々と別の戦争の要素が混ざってしまっているかのようです。

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