旅限無(りょげむ)

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代表選挙の後始末 其の弐

2010-09-21 16:54:31 | 政治
■何だか長い便秘が治ったかのようなすっきりした表情で最後の?作り笑いで壇上に上がったクラッシャー小沢前幹事長と、先に上がって待っていた菅アルイミ首相の生気を失った硬く暗い顔との対象が強く印象に残った民主党の代表選挙が終わり、政治マスコミは一斉に改造内閣の顔ぶれを誰に頼まれたわけでもないのに一刻も早くすっぱ抜こうと、
中にはガセネタや噂まで混入させて嘘寸前の「独占情報」を競い合いましたが、蓋を開けてみれば菅内閣の真の支配者である仙谷官房長官が牛耳を執ってすべてが決まっただけのことだったようです。

■9月19日の讀賣新聞は、改造人事の直前に仙谷官房長官が周囲の者に漏らしたという言葉を短期連載特集の「再始動 菅内閣」に載せておりました。曰く「今回は入閣経験がないベテランを起用すればいい。だが、衆院選がいつあるかわからない。万が一の時は、また人事を刷新し、若手を前面に出せばいい」とのことです。一体、何を考えてこの国難に立ち向かう政府の舵取りをやっているのでしょうなあ?磐石の長期政権が約束されていた頃の自民党でも、こんな暢気な組閣人事はしなかったのではないでしょうか?大昔に旧社会党で同じ釜の飯を食った脱党仲間に対する厚い情愛は結構ですが、そんなノスタルジックな感慨に耽っていられる時代ではないでしょうに?!

■円高対策の為替介入も代表選を終えた新政権の宣伝用に先送りしておいて、遅ればせながら介入を実施してみたら仙谷官房長官が「82円台」という秘中の秘をペラペラと公表してしまうところをみると、菅アルイミ首相が掲げる「有言実行」内閣という目標の意味が恐ろしいほどよく分かりますなあ。今も反日騒ぎが盛り上がるチャイナに対して「刺激しないように」と、領海侵犯され巡視艇が喧嘩を売られた側の官房長官とも思えない発言をしている仙谷さんこそが、竹島問題に言及した防衛白書の発表を延期させ、代わりに韓国(北朝鮮含む?)に対するお詫び作文を書いて首相に読ませた張本人だったことが判明しているようですから、「有害実行」内閣の本性を露にして国民から愛想を尽かされ、それ見たことか!と選挙選で深めた党内亀裂に沿ってメリメリと音を立てて民主党が空中分解する日も近いのかも知れません。


民主党代表選で小沢一郎元幹事長を破った菅直人首相は、勇み立って着手した幹事長人事で早くもつまずいた。白羽の矢を立てた岡田克也前外相に一度はすげなく断られ、自ら出張ってどうにかして受け入れてもらう“難産”だった。……首相の政治行動はいわば「渦巻き」型であり、事に臨むに当たり、そのときどきの利害で結びついた「かりそめの同士」と乗り切ってきた面が強く、「菅直人のために」などという、心の琴線に触れ合って団結した「真の同士」が、そう多いわけではないためだ。…… 

■代表選挙中も誇れる実績は遠い遠い昔の厚生相時代に血友病患者の皆さんに謝罪したことくらいしか無い!という寂しい話をくどくどと述べていましたが、周囲から逆効果だから止めろと助言されて小沢攻撃と一緒に封印したそうですが、国民に語り掛ける首相の演説は、与党の悪口を並べれば済むだけの野党議員の攻撃とはまったく違うものだと御本人には分かっていないようです。それにあの薬害エイズの大事件で世間に登場した被害者の川田龍平氏が渡辺善美さんのみんなの党に入っているのも菅アルイミ首相に人望が無いからなのかも知れませんなあ。

■代表選が始まる直前に1年生議員を呼び集めてわざとらしい勉強会を開いた時も、顔と名前が一致せず手元に写真付きの名簿を置いていても名前を間違えられて腹を立てた人がいたという話もありますから、一匹狼の時代が長過ぎたのでしょうなあ。


代表選で首相支持に回った国会議員にしても、「反小沢」の一枚看板で結集したガラス細工の集まりであったという実態が、この一事をもってして、図らずもあらわになった。……
「このうちの誰がいいかな」
代表選の投開票が行われる前日の13日、首相の勝利を見透かしたように、首相支持派のある幹部は周辺に、3人の国会議員の名前を挙げて、枝野幸男前幹事長の後継者を相談している。そのリストには「反小沢」の御旗の下、代表選で足並みをそろえた岡田氏の名前はなかった。枝野氏の同世代が2人、あとの1人は、いわゆる中間派とされるベテランである。……くだんの幹部にしても、「3月危機説」を視野に入れ、再び代表選を迎えた際には、「岡田カード」を切り出して、小沢支持派と対峙するシナリオを描いているのは明らかだった。 

■この「幹部」が仙谷官房長官だったのかどうかは不明ですが、首相の周辺に既に使い捨て気分が漂っていると聞きますと、代表選に勝った時の菅アルイミ首相の暗い表情の意味が分かるような気もしますなあ。


川端達夫前文部科学相ら中間派の幹事長就任を求めていたある中堅から、「岡田温存」の理由をこう打ち明けられた。「『反小沢』勢力が次の代表選で担げる議員は、今の菅政権にどっぷりつかるべきではない。幹事長に就いたら首相と『運命共同体』になってしまう」そんな思惑は関係ないよ、と言わんばかりに、当の岡田氏は結局、「天命だ」と割り切って幹事長に就いた。 

■あの「天命」発言も妙に悲痛で重々しい響きがありました。絶大な力を持つ政権与党の幹事長になったというのに張り切っている表情が見られないのは、次の選挙での大敗を予感しているからとしか思えませんし、現体制のままの民主党のために果たしてクラッシャー小沢が再び選挙に全力を注ぐのか?選挙が近づけば先の参院選での大敗話が蒸し返されて、「菅では戦えない!」の大合唱が沸き起こり、神輿を交換する大騒ぎが起こりそうです。一体、何のための代表選だったのやら……。


そこで首相支持派には新たな思惑が交錯し始めている。透けてみえるのは、菅政権の行く末を見越した「世代交代」をにらんだ駆け引きである。党代表、幹事長を務めた政治経歴や、当選回数(7回)、年齢ともに岡田氏が「ポスト菅」の有力候補とみるのは党内の大勢である。といっても、菅政権が終焉を迎えたとき、党側で支えた岡田氏が名乗りを上げることに、異を唱える声が噴出する可能性は小さくない。……代表選の最中、首相支持派の別の幹部とは、こんなやり取りもした。「今回は首相を担いでも、そのうち支えている中枢の議員同士が争うことになりますね」「そんなことは分かっている。今は今、後のことは後のことだよ」
幹部は、前原氏らと同様、岡田氏の「次の世代」を担う議員である。ちなみに、この議員に「3月危機説」の話題を振ると、「そのときは岡田氏を擁立すればいい。でもうち(首相支持派)には、前原氏や野田氏がいる」と口にした。つまりは、一本化を目指すに当たり、決めきれないこともあり得ると示唆したようなものである。……
2010年9月19日 産経新聞 

■こうして党内事情ばかりが選考する政治的な混乱が続いて行く中で日本はどんどん衰退して行くのでしょうか?困ったことであります。

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