旅限無(りょげむ)

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柳の下で改造ドジョウ内閣 其の壱

2012-01-16 15:39:53 | 政治
■単なる偶然なのでしょうが、民主党の3代目首相が姑息な内閣改造を断行したら急に関東地方が寒くなったような気がします。強力な寒気団が南下した自然現象なのでしょうが、ウソにウソを上塗りするばかりの政権延命の悪あがきにしか見えない改造騒ぎに体感温度ならぬ心感温度がぐんぐん下がってしまったような気がします。
新しい内閣が本格的に始動する直前、野田ドジョウ首相は15日夜に都内のホテルで開かれた民主党会合で、「国民の理解を得るために徹底した行政改革と政治改革を断行したい」と得意の演説をぶったそうですが、首相を取っ替えひっ替えするだけの3年間で国民の半数以上は民主党の政権担当能力と実行力にはまったく期待などしなくなっておりますから、どんなに気の利いた修飾語を並べて決意を語ってみても、本気で期待する気持にはなかなかなれませんなあ。

■輿石幹事長の方は16日に党地方代議員会議で「『国民の生活が第一』との政権交代の原点に立ち返り、国民の皆さんにもう一度民主党にかけてみようという政治を取り戻すことなくして日本の再生も福島の復興もあり得ない」とクラッシャー小沢と瓜二つの発言をしていたそうです。野田ドジョウ首相は消費税増税のために、輿石幹事長は近い選挙に向けて「団結」を訴えていますが、既に新内閣発動前に内閣と民主党は分裂しているようであります。二人ともそれにまったく気が付いていない御様子なのですが……。

■13日の記者会見で「行政・政治改革、社会保障と税の一体改革を推進する最善かつ最強の布陣」と聞いている方が恥ずかしくなるような手放しの自画自賛だった野田ドジョウ首相でしたが、あの記者会見は突っ込みどころが満載でしたなあ。


「……5人の方に新たに閣僚に加わっていただきましたけれども、先ほど申し上げた通り、さまざまな課題を乗り越えていくための、まさに推進力になっていただく、突破力のある、そういうメンバーを中心に選任させていただいたつもり……」 

■相変わらず「サセテイタダク」の大盤振る舞いは謙虚さよりも国民をバカにしている本音を押し隠しているようにしか聞こえませぬが、所詮は悪名高い問責決議可決コンビを「更迭」ではない形で始末するという菅アルイミ首相が発明?した姑息な方策を真似て野党に審議拒否をさせない工夫をしただけのことだと素人の国民にも見透かされているようでは先が思い遣られますなあ。更に米軍再編に反対しつつ死刑制度を無視して何も仕事をしない法務大臣と、事業仕分けも節電啓蒙も名前だけロクな仕事をしてない上に怪しい人物との交友を追求され始めた蓮舫行政刷新担当大臣も通常国会が始まる前に始末しておかないと次の問責決議を突きつけられそうだと、誰かさんが気を利かせて山岡・一川コンビ更迭を誤魔化す煙幕にしてしまおうと考えたのでしょう。ついでに無能無策の国会対策委員長も更迭したかったものの、鳩山サセテイタダク元首相の側近なので降格どころか文科大臣に昇格させてしまうという、とてもじゃないが「推進力・突破力」を期待できそうな陣容ではないと有権者は見抜いておりますぞ!


マルチ商法献金や沖縄をめぐる失言など、イメージの悪化した閣僚を“排除”する野田政権の内閣改造が13日に行われ、「問題閣僚」が次々と姿を消した。度重なる大臣交代には批判も多い。……
「誤解を受けることのないようにと思っていたが…」。マルチ商法関係業者からの献金問題に揺れた山岡賢次前消費者問題担当相は13日の退任会見で、消え入るような声で弁明した。一方、マルチ商法について「合法なものは合法なものとして受け入れるべきだ」と最後まで擁護を続けた。山岡氏は、マルチ業者らで作る政治団体から多額献金を受けていたほか、業者作成の「勧誘DVD」に出演していた過去が発覚し、野党の追及を受けた。退場までわずか4カ月だった。…… 

■山岡マルチ大臣については何も申し上げることはございません。こういう人物を身近に置いているクラッシャー小沢は寛容の人なのかも?否、やはり「数は力だ」の論理で掻き集めた枯れ木も山の賑わいの一人だったのでしょうなあ。


事業仕分けで人気の蓮舫前行政刷新担当相も脱税関連企業からの献金や、覚醒剤使用事件で有罪となった男性との“交友”が発覚。閣僚の看板を下ろした。政治とカネに揺れた閣僚が次々と退場し、現状で疑惑を抱えるのは野田首相だけに。蓮舫氏と同じ脱税関連企業のほか、別の脱税事件で摘発された会社からも献金などを受領。千葉県内の在日外国人2人から献金を受けていた。…… 

■「政治とカネ」を錦の御旗に掲げてクラッシャー小沢を座敷牢に押し込めた菅アルイミ前首相を先頭に、民主党の上層部には小粒ながら「政治とカネ」の問題がころころ転がっているようです。クラッシャー小沢を党員資格停止にして座敷牢に押し込んだのは原理主義者の岡田タリバン新副総理ですが、その原理を貫徹するのならば民主党の座敷牢は満員御礼状態になっているはずなのに検察や審査会がクラッシャー小沢だけを執拗に追い回している不自然さと民主党の動きは気味が悪いほど一致しておりますなあ。


ころころ代わる閣僚に不満の声も。政権交代後の2年半足らずで、消費者担当相はこれで8人、拉致問題担当相は6人目だ。とりわけ拉致問題は金正日総書記が拉致を認めてから今年で10年。金総書記の死去に揺れる重要な時期での交代となる。「今年は勝負の年。松原(仁)さんは意欲もあるし、知らない人がやるよりも喜ばしい」。田口八重子さん=拉致当時(22)=の兄で、家族会代表の飯塚繁雄さん(73)は期待を込める。前担当相の山岡氏は退任会見で「何人も代わることについて、私に言われても困る」と人ごとのように語った。横田めぐみさん=同(13)=の母、早紀江さん(75)は「最初から選択を間違えず真剣な人を選ぶべきだった。国際的な問題だから、ころころ代わっては信頼関係が築けない」と適材適所に欠ける政府の対応に苦言を呈した。…… 

■最初の内閣人事が「適材適所」でなかったのなら、今度の改造内閣にも「推進力・突破力」が期待できない可能性が高いでしょうなあ。歴代内閣が不信の的になれば民主党不信が深まり、最後は政治不信になって日本の民主主義は本当に崩壊してしまうかも知れません。そんな政党が「民主」を名乗っているというのも不思議な話であります。どうせ解散が近付いたら政界再編の風が吹き始め、寄り合い所帯の民主党が真っ先駆けてばらばらになるのでしょうから今更名前を変えるまでもないのでしょうが……。


……米軍普天間飛行場の移設を抱える沖縄県の関係者は、田中直紀新防衛相に「またなじみのない人だ」と落胆気味。県幹部は「防衛問題にどんな考えを持っているのか」と話す。 死刑執行の姿勢も注目される。法相は柳田稔氏、仙谷由人氏、江田五月氏、平岡秀夫氏と4代続けて執行を命じず、昨年は19年ぶりに「執行ゼロ」を記録。確定死刑囚は過去最多の130人に及んでいる。平成11年の池袋通り魔事件で長女を殺害され、加害者の死刑執行を待つ宮園誠也さん(77)は「何のために法律があるのか。これ以上の先送りはやめてほしい」と語った。……
2012年1月14日 産経ニュース 

■「勉強中」だの「議論が必要だの」と能書きを垂れて職務怠慢を反省しない法務大臣は、確定死刑囚の食費や諸経費を自腹を切って負担してはどうでしょう?死刑制度を廃止する法案作りに励んでいるような議員は現行法制下で法相になるべきではないでしょうし、単なる個人的な心情で法相の職務を放棄するのなら、税金を使わず自分で生活の面倒を見て上げれば宜しいのではなかろうか?まだ議論にもなっていない終身刑を実質的に執行しているような奇怪な状態は早急に変えるべきでありましょう。でも、増税以外は何に出来そうにない改造内閣ですからあれもこれも「先送り」になるのでしょうなあ。

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