旅限無(りょげむ)

歴史・外交・政治・書評・日記・映画

小泉劇場の幕の裏地 其の弐

2006-06-28 10:19:25 | 政治
■竹中さんの(小泉首相直伝の?)自画自賛が朝日新聞に掲載された2日後の記事です。

……(東京タワーを経営する)日本電波塔の3代目社長だった前田福三郎(64)らは88年、千葉県君津市にゴルフ場を建設するために「東京タワーディベロップメント」を設立。91年以降は、日本電波塔の債務保証で借金を重ね、95年にゴルフ場をオープンさせた。しかし、思うように会員権が売れず、営業赤字も続いて借金を返せなくなった。銀行団は99年、日本電波塔に債務保証の履行を求めた。残った債務は123億円。日本電波塔は99年12月に福三郎氏を社長から解任。00年、東京タワーの敷地と建物を担保に銀行から100億円を借り入れ、自己資金の23億円を加えて全額肩代わりした。……ゴルフ場会社は昨年9月、会社更生法の適用を申し立てられて倒産。……123億円の大部分は回収不能となる見通しだ。……

■絵に描いたような「三代目」ですなあ。新聞では書けないのでしょうが、これは銀行の餌食にされた謀略話みたいなものでしょう。まだ詳細が明らかにはなっていませんが、東京中に大きな桃のマークを付けたビルを並べていた桃源社という不動産会社が有りました。そこの経営者だった佐佐木吉之助という人が『蒲田戦記』(文春文庫)という体験記を書いています。中曽根政権時代に断行された国鉄民営化の中、1987年に旧国鉄蒲田駅跡地を657億円で落札してから飛ぶ鳥落とす勢いだったビル経営が傾き破綻に追い込まれた内幕を暴露しています。政治家・銀行・ゼネコンが結託して佐佐木さんを追い込んで行く恐ろしい話ですが、東京タワーを抵当にゴルフ場経営に乗り出そうなどと、本当に三代目の前田福三郎さん1人が考えたのでしょうか?『民暴の帝王』だの『首領になった男』だの、バブル時代の狂態を描いた映画も有りますが、銀行は高金利政策と円高の中でムチャな融資を続けていた事が良く分かります。

■桃源社の佐佐木社長を追い込んだ連中は桃源社が所有していたビルや土地を差し押さえて転売したり再開発したりして大儲けしたのでしょうが、煮ても焼いても食えない東京タワーを担保にしたのは失敗だったのではないでしょうか?間も無く東京墨田区に610メートルの新・東京タワーの建設も始まる事が決定した直後に、こんな巨大な不良債権が表沙汰になるというのも、何かの裏事情を予想させます。バブル崩壊後、日本中に造成されたゴルフ場が巨大な不良債権となるぞ!と大騒ぎが起きましたが、紙屑になった会員権を掴まされて泣き寝入りした人、安値で買い叩いて再建した後に転売して大儲けした外資のハゲタカ・ファンド、と負け組み・勝ち組が生まれたはずですが、元々、ゴルフ会員権は贅沢品か投機商品と思われているので、大損した人には同情する声も上がりませんなあ。


「東京タワーディベロップメント」という会社が開発したゴルフ場の会員31人が、東京タワーを経営する日本電波塔を相手に約3億円の預託金返還を求める訴訟を起していることが分かった。原告らは「ゴルフ場会社と日本電波塔は一体だった」と主張している。これに対し、日本電波塔は「ゴルフ場会社は別個独立の法人だ」と争う姿勢だ。……預託金として1000万円か300万円を払い込んでおり、その返還を求めている。……ゴルフ場会社は赤字続きで昨秋、会社更生法の適用を受けて倒産。営業は続けており。管財人が10月までに更生計画案を示す予定だ。不動産投資ファンド会社「パシフィックマネジメント」の子会社が買収に名乗りを上げている。日本電波塔は、このゴルフ場開発の資金繰りの連帯保証をしていたため、銀行団から債務の肩代わりを迫られ、東京タワーを担保に100億円を借り入れるなどして120億円を超える損失を被っている。
朝日新聞6月19日

■その前の朝日には大阪の「飛鳥会」事件で旧三和銀行が100億円の焦げ付きを抱え込んでいると報じています。


財団法人「飛鳥会」をめぐる業務上横領事件で、逮捕、起訴さらた財団理事長の小西邦彦容疑者(72)側に旧三和銀行(現・三菱東京UFJ銀行)や同行が出資したノンバンクが行なった融資のうち、約100億円が回収不能に陥っていることが関係者の話でわかった。大半は小西容疑者を通じて指定暴力団山口組周辺へ流れた融資で、旧三和側は未回収のままにしてきた。……「三和ビジネスファイナンス」と「京セラファイナンス」が88~90年、山口組系坊両断の組長(96年に撃たれて死亡)が事実上経営していた不動産会社所有の大阪市中央区の土地に、それぞれ30億円の抵当権や23億円の融資枠を設定し、融資していたことがすでに明らかになっている。……残りの50億円は、旧三和から小西容疑者個人への融資40億円と同容疑者が理事長を務める「ともしび福祉会」など関連法人への融資10億円で、事実上焦げ付いている。……地上げ資金のほか、バブル崩壊で計画が中止された私鉄の延伸予定地の買収資金などにあてられたという。融資の多くは、小西容疑者個人や関連法人が名義を貸すだけの転貸融資だった。……朝日新聞2006年6月18日

最新の画像もっと見る