旅限無(りょげむ)

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2倍になります! 其の参

2007-01-31 11:48:47 | 社会問題・事件

……リッチランドは全国の会員約1万3000人から537億円を集めていた。01~05年にかけ、ホテルなど計127カ所で延べ353回の説明会を行ったという。合同捜査本部は30日、詐欺容疑でさらに1人を逮捕。逮捕者は17人になった。
1月31日3時4分配信 毎日新聞

■「説明会」が盛況だったのが、ジー・オー疑惑に注目が集まって逮捕に到る時期と同じだというのですから、詐欺師の腕がよほど良かったのでしょうなあ。大神被告は塀の中で、「537億円」という数字を知ったら自分の罪の小ささに詐欺師として後悔しているのか、新たな闘志を燃やしているのか?詐欺罪というのは、立証が難しい上にどれ程巨大な被害が出ても、絶対に死刑になどにはなりませんし、実刑判決を受けても刑務所を学習の場にして新たな仲間も作って出所して来るものだそうですなあ。


架空の投資話で500億円以上を集めた健康食品会社「リッチランド」(東京都北区)の詐欺事件で、同社に新規の投資家を紹介して紹介料を受け取っていた「販社」と呼ばれる出資者が、資金不足の高齢者や女性らに、消費者金融から借りた資金で、同社に投資するよう勧誘を繰り返していたことがわかった。

■「販社」というのは新しい用語です。漢字の並びだけではまったく意味を成さない奇怪な言葉ですが、マルチの子や孫を指す専門用語のようです。詐欺に引っ掛からないためには、多少の漢籍の教養も必要になりそうです。


ほかに収入のない高齢者に、年金を担保に借金をさせた悪質なケースもあったという。……同社の幹部の一部はこうした手口を了承したうえで、出資金を受け取っていた疑いが強いとみて調べている。同社は1999年秋ごろから、全国の一流ホテルなどで説明会を開催。同社会長の佐伯万寿夫容疑者(61)ら幹部とともに、新規の出資者を勧誘して出資金の2~10%を同社から受け取っていた古参の出資者が、高額の配当を受け取った経験談を披露して投資を呼びかけていた。
月31日8時39分配信 読売新聞

■典型的なマルチ催眠商法ですが、ジーオー詐欺事件に遅れること3年、こんな見え透いた別口の詐欺が始まっていたのかと思うと、詐欺業界?の人材の豊富さとエネルギーには脱帽であります。


……逮捕者の中には、1997年に摘発された「和牛預託商法」で有罪判決を受けた元会社社長らが含まれており、捜査本部は、この元社長らが中心になって被害を拡大させたとみている。逮捕されたのは、リッチランド会長の佐伯万寿夫容疑者(61)、同社相談役の深山正規(みやま・まさのり)容疑者(62)など。深山容疑者は、高配当や元本保証をうたって和牛オーナーを募集した会社の元社長で、97年12月、和牛預託商法の主犯格として、出資法違反容疑で静岡県警に逮捕され、その後、執行猶予付きの有罪判決が確定していた。また、リッチランドから多額の紹介料をもらい、新規の出資者集めに協力した出資者も逮捕された。
1月30日14時43分配信 読売新聞

■こうして詐欺犯罪の予備軍と業界人がどんどん増えて行くわけです。今回逮捕された人達の全員が、自分の罪を反省して二度と詐欺を働かないと誓う可能性よりも、次回はもっと上手くやろう!と決意を新たにする可能性の方がずっと高いと思われます。


……会員に配当金を支払わないまま、別の投資話を勧め、資金集めを強引に続けていたことが31日、関係者の話で分かった。配当金と新たな投資計画への申込金を相殺する形を装い、配当を先延ばししていたという。……1年間の「ショートプログラム」を申し込み、50万円を払った。03年に配当金35万円を含む85万円を受け取るとの契約だった。受け取り時期が近づくと、会社側から配当金と相殺して別の投資プログラムに申し込むよう勧められ、さらに50万円を払って契約。配当金相当額の「償還金」35万円だけ振り込みを受け、差し引き65万円を渡した形となった。佐伯容疑者らは説明会で「相殺をしないと税金をどかんと取られる」などと話し、「相殺」方式を強く勧めたという。 
1月31日5時30分配信 時事通信

■「ショートプログラム」などと、フィギュア・スケートじゃあるまいし、妙な名前を付けるものです。先延ばしの口実に「税金」を利用するというのは、決して新しい手口ではありません。表の金融機関や証券会社では、「手数料」を言い訳に使って解約を阻止する工夫をしていますから、この種のトリックには誰でも引っ掛かってしまうでしょう。少なくとも、「自分にだけは濡れ手に粟の儲け話は来ないだろう」と思っている事と、胡散臭い団体の奇妙な名前を耳にした時に吹く出して大笑いできる言語感覚を磨いて置く心構えは必要でしょうなあ。ご用心、ご用心。

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