旅限無(りょげむ)

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2倍になります! 其の弐

2007-01-31 11:48:19 | 社会問題・事件
■順調に詐欺商法が軌道に乗ったと思った大神容疑者は、本性を表わして自分が主演する映画『ブレード・オブ・ザ・サン』を制作します。大金を投じた自己陶酔型の趣味なので、観るに堪えないアホみたいな作品だったそうですが、5億円で制作した貧乏臭いアクション映画を全世界で公開して180億円の興行収入を得るつもりだったそうですから、自己愛の強さは相当なものだったのでしょうなあ。世界市場を相手にした映画を製作しながら、本格的に金融市場にも打って出ようと銀行を買収して見せます。

■2001年9月に、やっぱりフィリピンを舞台にした買収劇で、マニラ首都圏に展開していたユニトラスト・ディベロップメント・バンクという矢鱈に長い名前の銀行を13億円で買収したそうですが、随分と安い銀行ですなあ。詐欺師は中身よりも名前が好きなので、早速、銀行名をバンク・オブ・オーガミ(大神銀行)に変えます。調子に乗ってカモに「高金利」を約束して預金を勧誘などしたのもで、表の世界から叱られてしまいます。フィリピン中央銀行が買収自体を違法と判断して不認可。翌年には何もせぬまま破綻します。大神銀行の豪華なパンフレットは、何とシティ・バンクのコピーだったと言いますから、世間をナメ切っていたのでしょうなあ。

■「ジャパンジー・オーグループインターナショナル」「ジー・コスモス・ジャパン」「みなもと債権回収」「ジー・オー・フィルムインターナショナル」「大義新聞社」など、グループ会社の名前も大仰で趣味の悪いものが並んでいます。「インターナショナル」と「ジャパン」が好きだったようですが、元々、自分の名前のイニシャルを冠にしてグループを立ち上げているのですから、一種の個人崇拝を基礎とするカルト集団を夢想したのかも知れませんなあ。

■裁判所に出廷した大神容疑者は、見るも無残に落ちぶれた姿を晒していたそうですが、「ジー・オー」が終わったら、今度は「リッチ・ランド」騒動です。今回もテレビ局が先回りして詐欺師を映像に収めていらので、鬼の首を取ったように酔っ払った詐欺師のホラ話をしつこく使い回しているようです。詐欺師はお喋りが大好きですから、テレビの被写体としては最適です。最近、恐ろしい事件の容疑者が逮捕直前まで平然とインタヴューを受けている映像が頻繁に登場しているようですが、実に気味の悪いことですなあ。テレビ局もそろそろ考えないと、特に詐欺事件の場合は共犯を疑われるようなことにもなり兼ねませんぞ!


健康食品販売会社「リッチランド」の巨額詐欺事件で逮捕された会長の佐伯万寿夫容疑者(61)らが、架空の投資話に出資した会員らに「沈没船から引き揚げた」とする金貨を送ったり、不動産投資先とされる東欧の「現地視察ツアー」を組んだりして信用させていたことが30日、分かった。警視庁などの合同捜査本部は、次々と打ち出される虚偽の「仕掛け」が被害を拡大させたとみて、だましの手口の解明を進めている。 
1月30日20時1分配信 時事通信

■名称が「リッチ・ランド」で、健康食品・不動産投資と続いて、味付けとして「沈没船」が加わった詐欺事件のようです。海底の泥の中に宝物を満載した沈没船が9隻も重なっているのを発見したそうです。どうやって見つけたのか?と問えば、必ず詐欺師はシメタ!と得意になって「極秘」情報を小出しにしてカモを引っ張り込もうとします。まるでCM直前に思わせぶりな「予告」をするテレビ番組のように……。


健康食品販売会社「リッチランド」(東京都北区)の詐欺事件で、同社は出資を募る際、出資額の1割程度しか価値のない物品を出資者に提供し、商品売買の形をとっていたことが分かった。事業形態の違法性を認識していた同社が、出資法などでの摘発を逃れるため、売買を装っていたとみられ、警視庁と福岡、静岡両県警の合同捜査本部は実態をさらに調べる。……同社はホテルなどで行う説明会や、会員に勧誘させるマルチ商法を通じて経営を展開。「5年で2倍以上の配当が得られる」とうたい、50万~750万円の出資を募っていた。しかし同社は、出資金を「商品代」と称し、出資者に物品を渡していたという。

■違法な出資金集めではなく、真っ当な商品販売と装ったマルチ商法というわけですから、騙された人を責めるのは酷でしょう。太陽熱温水器やら泡風呂機械やら、テレビや雑誌が詐欺商法の片棒を担がされた事例も有りますからなあ。まして、扱う商品がテレビ局も愛用する健康食品なのですから、少なくともテレビ・メディアが説教調で被害者を罵るのは筋違いではないでしょうか?買わされた方は、最悪の場合でも自分が使用すれば損はしない、と思うように話が仕組まれているのですからなあ。


物品はローヤルゼリー、みそ、天然水、せっけん、米、デジタルカメラ、じゅうたんなど約50種類。750万円の出資に対してローヤルゼリー15キロなど、金額に応じた数量で販売されたが、商品価値は出資額の10分の1程度だったという。出資法は、銀行など金融機関を除く業者が不特定多数から金銭を預かることを禁止している。出資を勧誘する説明会で同社は「お金だけの取引は一切していない」と説明し、商品の販売を強調していた。

■詐欺犯罪は常に進化し続けますから、先に摘発された事例を徹底的に研究して抜け道を見つけては新手の詐欺を考案し続けます。ローヤル・ゼリーの人気は衰えていないようですが、デジタルカメラが加わったのが新しい傾向でしょうか?

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