■何も好い事が無かった鳩山サセテイタダク首相の沖縄訪問でしたが、御本人にはそれなりの「計算」があったのではないか?という憶測が流れているようです。勿論、その計算が正しかったかどうかは別問題でしょうが……。
4日午後、米軍普天間飛行場に隣接する宜野湾市の普天間第二小学校で開かれた鳩山首相と沖縄県民の対話集会。……約1時間10分に及ぶ集会が終わりに近づき、首相が締めくくりのあいさつを始めると、それまで静かだった会場からヤジが飛んだ。「公約を守ってください。これ以上、我慢できません」。これをきっかけに会場はざわつき、首相はヤジにさらされた。首相は「これが第1回目の対話。もう来るな、と言われるかもしれませんが、皆さんの気持ちをさらに学ぶ機会をいただきたい」と低姿勢を貫いた。首相が去る際、参加者からは拍手一つ起きず、冷ややかなムードで終わった。
■再訪問の計画はは早々にずるずると延期され始めているそうですが、もしかすると第2回目はヤジも飛ばなければ反対派の集会も開かれず、歓迎する人の姿も見えないという徹底的に首相の存在を否定する恐ろしい無視を決め込んだ異様な光景になってしまうかも?何処に行っても前もって蜘蛛の子を散らすように人々が何処かに身を潜め、報道陣のカメラには無人状態の町を歩く首相の姿だけが映り、現地到着後に予定されていた公式会見などはすべてドタキャンで、行く場を失った首相が寂しく辺野古の海を眺めている……。嗚呼、これほど「独り言」を呟くのに打って付けの場面設定が他にあるのでしょうか?!
沖縄では、4月25日に仲井真弘多知事ら全自治体の首長らが出席し、大規模な「県内移設反対」の県民大会が開かれたばかりだった。直後に首相が正反対の案を携えて乗り込めば、火に油を注ぐのは明白だった。首相周辺は「体を張って止めようとしたが、どうしようもなかった」と打ち明ける。それでも首相があえて沖縄入りに踏み切ったのは、自らが期限を切った「5月末決着」に向け、「成算があるわけではないが、とにかく乗り込んで謝罪し、局面を打開しようという気持ち」(周辺)からだった。
■「局面を打開」できるほどの存在感があったらよかったのですが……。選挙前の言動からすれば4月25日の県民大会の主賓席に鳩山サセテイタダク首相が座っていなければならない訳で、すっかり悪者扱いされるようになってしまった仲井真知事も、政権交代の風にのって辛勝した稲嶺市長も、鳩山サセテイタダク首相に振り回されて心身ともにくたくたでしょうから、裏切り者として首相は「謝罪」するしかありませんでしたが、「独り言」だけが続くお詫び行脚で局面が打開されることなど有ろうはずもなく……。
昨年9月の首相就任後、一度も沖縄を訪問していないという野党の批判をかわすと同時に、「地元の合意」を重視する米側にも努力の跡を示す必要があった。……「首相の考えていることはだいたいわかる。対話集会を『沖縄と話をした』というアリバイづくりに使われたらたまらない」。対話集会に出席した男性は記者団に怒りをあらわにした。今回の訪問では、仲井真知事との会談をはじめ宜野湾市での対話集会までほぼすべて報道陣に公開した。このため、「小泉首相の再訪朝の時の対応をまねたのだろう」(政府関係者)との見方が出ている。2004年5月、北朝鮮による拉致問題解決のために再訪朝した小泉首相(当時)が帰国後、報道陣に見せる形で拉致被害者や家族らへの説明会を開催。安否不明の家族らから批判を一身に受けても耐えた姿勢が評価されたことを参考にしたという見方だ。
■アリバイ作り、小泉劇場の二番煎じが本当なら、反対派住民は「好い面の皮」にされてしまったことになりますから、先に書いた第2回の訪問の妄想が現実味を帯びて来るかも知れませんぞ。選挙前に「国外、最低でも県外」と大声で叫んだ「独り言」を真に受けてパンドラの箱から飛び出してみたものの、蓋を開けた張本人は知らん振りしていたかと思ったら、今度は蓋を開けたことを「謝罪」して回る芝居のエキストラ扱いされたら堪ったものではありません。何だか『ヘーメルンの笛吹き男』の怖い童話を思い出してしまいますなあ。
また、この時期の首相訪問について、夏の参院選対策だとの指摘も出ている。「参院選まで持ち越すと、責任を持った政治にならない。その後に県知事選も控えている」宜野湾市内のホテルで基地所在市町村長と会談した首相は「5月末決着」の理由について、こう説明したという。出席した島袋俊夫うるま市長は「(選挙日程を優先させた日程だったことに)あぜんとした。『本当に総理か』とショックを受けた」と批判した。
2010年5月5日 読売新聞
■唐突に「5月末決着」が公言された時から、選挙日程から単純に逆算した幼稚で乱暴な空手形だとの指摘はありました。大金持ちのお母ちゃんと忠実な番頭さん達の助けで、何でも自分の願いが適う人生を送って来た人間が一国に首相になるというのは巨大な悲喜劇なのかも知れません。内政と外交は密接に絡み合っているものですが、それを恣意的に混同させてしまうのは非常に危険で、世界最大の軍事大国の大統領に対してまでも「トラスト・ミー」などと無責任な安請け合いをして同盟関係に傷をつけてしまったりもしますからなあ。
■「生活が第一」というのも大嘘で「選挙が第一」「過半数が第一」というのが民主党の本音だと分かってしまえば、党代表の顔が何度変わろうとも再び追い風が吹くことはないでしょう。まさか惨敗が予想される厳しい夏の選挙を鳩山サセテイタダク首相の「独り言」演説で乗り切れると思っている議員は居ないでしょうし、クラッシャー小沢の選挙魔術もタネがバレてしまえば浮動票は他党に流れ、何より大事な組織票も取りこぼしが増えることでしょう。
4日午後、米軍普天間飛行場に隣接する宜野湾市の普天間第二小学校で開かれた鳩山首相と沖縄県民の対話集会。……約1時間10分に及ぶ集会が終わりに近づき、首相が締めくくりのあいさつを始めると、それまで静かだった会場からヤジが飛んだ。「公約を守ってください。これ以上、我慢できません」。これをきっかけに会場はざわつき、首相はヤジにさらされた。首相は「これが第1回目の対話。もう来るな、と言われるかもしれませんが、皆さんの気持ちをさらに学ぶ機会をいただきたい」と低姿勢を貫いた。首相が去る際、参加者からは拍手一つ起きず、冷ややかなムードで終わった。
■再訪問の計画はは早々にずるずると延期され始めているそうですが、もしかすると第2回目はヤジも飛ばなければ反対派の集会も開かれず、歓迎する人の姿も見えないという徹底的に首相の存在を否定する恐ろしい無視を決め込んだ異様な光景になってしまうかも?何処に行っても前もって蜘蛛の子を散らすように人々が何処かに身を潜め、報道陣のカメラには無人状態の町を歩く首相の姿だけが映り、現地到着後に予定されていた公式会見などはすべてドタキャンで、行く場を失った首相が寂しく辺野古の海を眺めている……。嗚呼、これほど「独り言」を呟くのに打って付けの場面設定が他にあるのでしょうか?!
沖縄では、4月25日に仲井真弘多知事ら全自治体の首長らが出席し、大規模な「県内移設反対」の県民大会が開かれたばかりだった。直後に首相が正反対の案を携えて乗り込めば、火に油を注ぐのは明白だった。首相周辺は「体を張って止めようとしたが、どうしようもなかった」と打ち明ける。それでも首相があえて沖縄入りに踏み切ったのは、自らが期限を切った「5月末決着」に向け、「成算があるわけではないが、とにかく乗り込んで謝罪し、局面を打開しようという気持ち」(周辺)からだった。
■「局面を打開」できるほどの存在感があったらよかったのですが……。選挙前の言動からすれば4月25日の県民大会の主賓席に鳩山サセテイタダク首相が座っていなければならない訳で、すっかり悪者扱いされるようになってしまった仲井真知事も、政権交代の風にのって辛勝した稲嶺市長も、鳩山サセテイタダク首相に振り回されて心身ともにくたくたでしょうから、裏切り者として首相は「謝罪」するしかありませんでしたが、「独り言」だけが続くお詫び行脚で局面が打開されることなど有ろうはずもなく……。
昨年9月の首相就任後、一度も沖縄を訪問していないという野党の批判をかわすと同時に、「地元の合意」を重視する米側にも努力の跡を示す必要があった。……「首相の考えていることはだいたいわかる。対話集会を『沖縄と話をした』というアリバイづくりに使われたらたまらない」。対話集会に出席した男性は記者団に怒りをあらわにした。今回の訪問では、仲井真知事との会談をはじめ宜野湾市での対話集会までほぼすべて報道陣に公開した。このため、「小泉首相の再訪朝の時の対応をまねたのだろう」(政府関係者)との見方が出ている。2004年5月、北朝鮮による拉致問題解決のために再訪朝した小泉首相(当時)が帰国後、報道陣に見せる形で拉致被害者や家族らへの説明会を開催。安否不明の家族らから批判を一身に受けても耐えた姿勢が評価されたことを参考にしたという見方だ。
■アリバイ作り、小泉劇場の二番煎じが本当なら、反対派住民は「好い面の皮」にされてしまったことになりますから、先に書いた第2回の訪問の妄想が現実味を帯びて来るかも知れませんぞ。選挙前に「国外、最低でも県外」と大声で叫んだ「独り言」を真に受けてパンドラの箱から飛び出してみたものの、蓋を開けた張本人は知らん振りしていたかと思ったら、今度は蓋を開けたことを「謝罪」して回る芝居のエキストラ扱いされたら堪ったものではありません。何だか『ヘーメルンの笛吹き男』の怖い童話を思い出してしまいますなあ。
また、この時期の首相訪問について、夏の参院選対策だとの指摘も出ている。「参院選まで持ち越すと、責任を持った政治にならない。その後に県知事選も控えている」宜野湾市内のホテルで基地所在市町村長と会談した首相は「5月末決着」の理由について、こう説明したという。出席した島袋俊夫うるま市長は「(選挙日程を優先させた日程だったことに)あぜんとした。『本当に総理か』とショックを受けた」と批判した。
2010年5月5日 読売新聞
■唐突に「5月末決着」が公言された時から、選挙日程から単純に逆算した幼稚で乱暴な空手形だとの指摘はありました。大金持ちのお母ちゃんと忠実な番頭さん達の助けで、何でも自分の願いが適う人生を送って来た人間が一国に首相になるというのは巨大な悲喜劇なのかも知れません。内政と外交は密接に絡み合っているものですが、それを恣意的に混同させてしまうのは非常に危険で、世界最大の軍事大国の大統領に対してまでも「トラスト・ミー」などと無責任な安請け合いをして同盟関係に傷をつけてしまったりもしますからなあ。
■「生活が第一」というのも大嘘で「選挙が第一」「過半数が第一」というのが民主党の本音だと分かってしまえば、党代表の顔が何度変わろうとも再び追い風が吹くことはないでしょう。まさか惨敗が予想される厳しい夏の選挙を鳩山サセテイタダク首相の「独り言」演説で乗り切れると思っている議員は居ないでしょうし、クラッシャー小沢の選挙魔術もタネがバレてしまえば浮動票は他党に流れ、何より大事な組織票も取りこぼしが増えることでしょう。