旅限無(りょげむ)

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慶祝、ノーベル平和賞 其の壱

2010-10-19 14:58:26 | 歴史
■そもそも、ダイナマイトを商品化して莫大な資産を残した偉人の名をとって創設されたという美談めいた話が相当に怪しく、何だか社会インフラを整えるための土木作業にばかりダイナマイトが使用されたような錯覚を惹起するのは如何なものか?粉々に吹き飛ばした岩石の数と人体とどちらが多かったのやら、と陰口を叩かれながらも、立志伝中の人物となったノーベル氏が生涯忘れなかったのは少年時代に味わった算数・数学を担当する教師から受けた侮辱だったそうで、それが原因で、ノーベル賞には自然科学の基礎として欠かせない「数学賞」が最初から想定されていないという、この賞の胡散臭さを物語る話も残っておりますし、目出度く経済学賞を受賞した高名な学者が運営していた信託会社が大規模に破綻したのはリーマン・ショックの10年以上も前でしたかな?

■ノルウェーを舞台にして選考される「平和賞」に関しては、裏にも表にも興味深い話が山積みですが、日本に関しても鳩山サセテイタダク前首相が基地の移設問題を滅茶苦茶にしてくれた御蔭で、政治や自国の歴史に興味の無い多くの日本国民に対して大いに啓蒙効果を上げてくれた沖縄問題の発端を作った佐藤元総理大臣が、正に沖縄を「核抜き本土並み」という表向きの条件で祖国に復帰させた功績によって問題のノーベル平和賞を日本でただ一人受賞しているのであります。その受賞当時も「カネで買った」黒い噂や米国が暗躍したやら、とかくの噂のあったノーベル平和賞でしたが、平和賞の受賞者を選考するメンバーは、常に少年のような?悪戯心を忘れず、世界が忘れ掛けている人物や世間の注目から外れた場所にいる意外な人物を選び出して楽しむという一風変わった趣味を共有するサークルのような印象の強い集団のようであります。

■チャイナ「関連」の人物として、チベットのダライ・ラマ法王に続いて受賞したのが北京政府としては絶対に忘れ去ったままにしておきたい第二次天安門虐殺事件をずっと忘れずに文筆活動を続けていた人物で、待ちに待った正真正銘の中華人民共和国人民の中からノーベル賞の受賞者が出た!と国を挙げてのお祭り騒ぎが出来ないのは残念至極でありました。日本としても尖閣衝突事件を那覇地検に解決させたことにして、うやむやのままに切り抜けようと思っていた矢先のことでありますから、ノルウェー政府の毅然とした態度と比較されて本当に可愛そうでありますが、初の?ノーベル賞の受賞者が出たというのに、北京政府がお祝いに贈ったのが、獄中にいる本人の帰りを待ち続けている奥さんを軟禁することだったとは、何とも分かり易い話であります。


香港の人権団体、中国人権民主化運動ニュースセンターが14日伝えたところによると、ノーベル平和賞受賞が決まった中国の民主活動家、劉暁波氏の妻劉霞さんは、同日から近所への買い物も禁じられた。中国当局による行動規制が強まっているとみられる。……受賞発表があった8日から軟禁状態に置かれている劉霞さんは、食材などの買い物だけは公安当局の送迎付きで許されていたが、14日からは買い物のための外出も認められなくなった。受賞決定直後に携帯電話が不通になったため新たな携帯を入手していたが、それも使えなくなったといい、家族も劉霞さんと連絡が取れない状態が続いているという。
2010年10月14日 産経ニュース 

■この報道は18日段階で他のメディアも確認することが出来たようですから、本当に監視・軟禁されてしまっているようです。日本の中堅ゼネコンのフジタ社員が解放されて、今度はノーベル賞受賞者の奥さんが監禁されてしまうとは、本当に息苦しい国でありますなあ。日曜日の東京12チャンネルを観ておりましたら、日本の地方都市で行政書士をしている初老の男性が奥さんに逃げられたあ!という切ない話を紹介しておりましたぞ。地元で知り合ったチャイナ国籍の女性と結婚して一緒に旅行を楽しむ仲睦まじい御夫婦だったそうですが、迂闊にも最愛の妻の祖国に関して余りにも乏しい知識しかお持ちでなかったようで、うっかり地元の新聞に「奥さんも怒っている」という不用意な一文を交えて尖閣衝突事件に関する文章を投稿してしまったのが家出の原因だったとか……。奥さんは再婚らしくチャイナに子供を残していて国籍も変えずに永住権だけを取得して暮らしていたという話でありました。能天気な日中友好の偏った宣伝ばかりしている日本のマスコミにも少なからぬ責任があるようにも思うのですが……。

■そういうお国柄であればこそ、拙ブログとしてましては此の度のノーベル平和賞受賞を大いに祝したいと思います。

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