旅限無(りょげむ)

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史上最悪の大統領 其の弐

2008-10-12 15:47:14 | 外交・情勢(アメリカ)
ブッシュ米大統領は11日、ホワイトハウスで先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)に出席したポールソン財務長官、中川昭一財務・金融相らと金融危機問題をめぐり会談した。終了後、大統領は声明を読み上げ、金融機関への公的資金注入を説明したことを明らかにした上で、「深刻な世界的危機であり、真剣な世界的対応が必要だ」として国際協調の重要性を訴えた。

■「今は犯人探しをしている時ではない」という意見が説得力を持つ切迫した事態ではありますが、この大惨事の震源地・元凶の首脳として、最初に言うべき事があったのではないでしょうか?


大統領は声明で、異例のG7財務相らとの会合について「米国はこの危機の対処に当たり、特別な役割を担う」と説明。「あらゆる手段を使う」として、不良資産買い取りや金融機関への公的資金注入を盛り込んだ金融安定化法を「できるだけ速やかに施行する」と述べた。ただ「その恩恵は一夜では実現しない」とも語った。その上でG7が合意した行動計画を歓迎。同日夜開く主要20カ国財務相・中央銀行総裁会議(G20)との連携にも意欲を示し、「主要国はこの難関を克服できると確信する」と強調した。 
10月11日 時事通信

■今、ブッシュ大統領の「確信」に対して世界でも米国内でも、どれほどの人間が信頼を置いているでしょう?少なくともサブプライム恐慌を起こした責任を取って「辞任」して見せた方が、世界中が元気になるのではないでしょうか?とは言っても政権を継承するのは副大統領のチェイニーさんでした。ハリバートン社がもう一儲けできるようにと、退職金代わりにイラクへの大規模な兵力増強を断行したりされたら堪りませんなあ。


ニカラグアのダニエル・オルテガ大統領は、米国の金融危機について、世界の貧しい国に自国の経済原理を押し付けようとしたことによる神の罰だと述べた。同大統領は、9日遅くに行われた演説で「悲惨な戦争に何十億ドルも費やした世界最強国の内側で、国民が自分の家にとどまるのに十分なお金を持てないというのは驚きだ」と語り、神が米国に罰を与えているとの考えを示した。
10月10日 ロイター

■カトリックとプロテスタント系の神は同じ聖書の神様のはずですから、神の祝福、神の恵み、神の御加護を常に祈っているブッシュ大統領にとって「神罰」呼ばわりは重く響くでしょう。本当にホワイトハウスの一隅で、神様やイエス様に祈りを捧げているのかも?ちょっとやそっとの「奇跡」では、この金融危機は解決できないようですが……。

史上最悪の大統領 其の壱

2008-10-12 15:44:27 | 外交・情勢(アメリカ)
■世界の金融システムは崩壊直前で、世界の軍事バランスもどんどん不安定になり、アフガニスタンの麻薬も北朝鮮が続ける数々の悪事も野放し状態になってしまったのも、全部、一つ残らず米国に愚かな大統領が現われて、ご丁寧にも再選されて2期8年間も唯一の軍事超大国にして世界一の借金国を統治してしまったことが原因のようです。まるで競馬の予想屋か怪しげな預言者占い師の如く、米国の有権者は自分たちが4年前に犯した歴史的な大間違いをまったく反省もせず、次の大統領選挙が終われば救世主か出現するようなお祭騒ぎをしておりますなあ。

■議会制民主主義という制度は、神聖政治や独裁政権よりは少しはマシな制度だというのが定説で、欧州では血みどろの戦いの末に理想と理論を実現した歴史の上に現在があるわけで、そこから分離独立した米国はその分家として巨大化しまして、二度の政界大戦で疲弊してしまった本家の欧州を下に見るほどに成長(増長)し、今では本家みたいな顔をして世界中に民主主義を売りつけたり押し付けたりしております。

■この制度の基盤が平等で民主的な秘密選挙という決まりがあるのですが、何かと群れたがる人間の習性で「組織票」だの「支持団体」などが暗躍しますし、貨幣経済が発達すると買収、情報社会になれば煽動と宣伝が盛んになる傾向があります。4年に一回、五輪大会が開催される年に行われる米国の擬似・内戦が大統領選挙とも言われておりますが、あれが正統な議会制民主主義なのかどうか?いろいろと疑問があります。その上、アメリカ一国の大統領を選ぶだけの話なのに、何故か選挙が近づくと計ったように戦争が起こったり経済的な大変動が起こりまして、世界中が巻き込まれるという実に傍迷惑な偶然が続きますなあ。

■8年前に、好色クリントン大統領が「不適切な」ことをしたのが原因で、副大統領だったゴア候補が実に不思議で不自然な形で落選してしまった時は、世界中が「どうしてブッシュなんだ?」と大いに困惑したものです。今では「不都合な真実」の伝道者になってしまったゴアさんですが、米国の有権者たちは8年前の選挙をどう思っているのでしょうなあ?ブッシュ再選の時には「テロとの戦い」に勝った!勝った!の熱狂が続いていたので、冗談みたいに高い支持率を背景にして地滑り勝利を果たしてしまったのは仕方がないとは思いますが……。

■かつて有力なスタッフとしてブッシュ政権を支えていた人達が、「大失敗」の数々を公言し始めていますし、マケインさんが共和党候補に選ばれた理由がブッシュとの「距離」と「違い」だったのですから、既に米国の人々にとってブッシュ政権は思い出したくもない「過去」になっているのでしょう。しかし、悲しい事に政権の寿命は尽きていません。映画作品の中ではテロリストに暗殺されているブッシュ大統領ですが、随分前から暗殺される恐れはまったく無くなっているのではないでしょうか?民主党候補のオバマさんが大統領になったら……という心配の方がリアルな話ですからなあ。

■絵に描いた様な泥舟状態のブッシュ政権は、最後の「悪アガキ」をしてこれまで築いた失敗の山に、されに大きな失敗を重ねようとしていますが、御本人やスタッフは歴史的な功績や業績を残そうと頑張っているつもりなのでしょうなあ。ブッシュ大統領が汚名を一瞬にして消すのは簡単かも知れません。以下は悪い冗談ではありますが、ブッシュ政権が8年間も続けて来た愚行よりも悪質かどうかは判断が分かれるところではないでしょうか?

■「全部、自分が悪かった。自分は大バカ者だった」と世界に向かって謝罪して、イラクを国連に丸投げして撤収し、アフガニスタンはパキスタンとイランとロシアの談合に丸投げし、アフリカはEUとチャイナに譲り……つまり世界の警察官を自認して行っている仕事を半分にして、浮いた軍事費を丸ごと金融危機の解決に投入する!と発表すれば取り敢えずは世界から賞讃され、数年後にはノーベル平和賞の候補ぐらいにはなれるかも?でも、すべては自分が撒いたタネですから、そんな演説をして格好を付けて悦に入っている暇もなく、世界中が大混乱になって第三次世界大戦の引き金を引いたバカ大統領になってしまう可能性の方が高そうです。アメリカは引くも地獄・進むも地獄の絶体絶命の状況下に世界中を引っ張り込んでしまったのかも知れません。

■既に恐慌状態が始まっているウォール街の周辺では、買い物客が激減する一方で教会に行く人が増加中なのだそうです。神の恩寵でアルコール中毒を克服したブッシュ大統領の時代は、十字軍が再現された時代でもありましたから、神の怒りに触れたとしか思えない金融恐慌が迫ると国を挙げて神頼みを始めるというのも何か象徴的な話ではあります。


国際通貨基金(IMF)のストロスカーン専務理事は11日の国際通貨金融委員会(IMFC)で、「9月半ば以降、世界の金融システムは組織的崩壊の寸前に陥っている」との認識を表明した。その上で、金融市場の安定化のためには、米国や欧州の銀行に対し、公的資金による資本注入が必要になるとの見通しを示した。 
10月12日 時事通信

■何だかオウム真理教がさんざん商売に使った「ハルマゲドン」がいよいよ近づいているような御宣託です。「9月半ば」を強引に「9月11日」と読み替えれば、何処かから「アッラー・アクバル」の大合唱が聞こえて来そうな気がしませんか?半年前の第一次サブプライム危機の時にはアラブの王様たちに泣き付いて露命をつないだ米国の金融界でしたが……。当時はバブル崩壊後の「失われた10年」で苦労した日本政府から助言を聞こうとしなかった欧米諸国でしたが、常軌を逸した円独歩高が進むという現実を前にして、日本の経験に耳を傾けようとしつつあるようです。でも、改めてバブル発生から崩壊、そしてその後の逡巡と迷走を語るのは、相当に恥ずかしいことですし、相対的に傷が浅いと言われている日本の実態が噂とは違って案外と深刻なものだったりすると恥の上塗りにもなり兼ねません。