旅限無(りょげむ)

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去るもの日々に疎し 其の九

2008-10-07 14:23:35 | 日記・雑学
■朝青龍は全日本力士戦士権大会の取組には出ずに土俵入りだけしておいて、「左ひじ内側側副靱帯損傷で4週間の安静・治療を要する」と(誰が書いたか知らないが)の診断書を巡業部に提出して秋巡業は辞退してモンゴルに帰ってしまうそうです。今度はサッカー試合には出ないでしょうが、何をやってマスコミを喜ばせるのやら……。何せ腰の骨が折れるような重態でも祖国のピッチを全力疾走だってヘディングシュートだって出来てしまう超人的な体力の持ち主ですからなあ。また暇になった女占い師も同行するのでしょうか?

■そう言えば自称占い師の細木数子さんも『週刊現代』に連載された溝口敦さんの迫真のルポに追い詰められたような形でテレビ界から去ったような印象がありました。相撲協会を追い詰めているのも同じ週刊誌だというのも何かの因縁なのかも知れません。『魔女の履歴書』とかいう細木数子さんの半生を追った例の記事は単行本になった後で文庫化されたのでしたが、御本人がテレビからパッと消えたのは文庫化の直前だったようですなあ。

■馬鹿馬鹿しいけれど注目すべき八百長裁判の続きです。『週刊現代』とのガチンコ勝負!


大相撲に八百長が存在すると報じた週刊現代の記事をめぐり、発行元の講談社などを日本相撲協会が名誉棄損で提訴した民事訴訟の口頭弁論が3日、東京地裁で行われ、講談社側からは記事執筆者の武田頼政氏と過去に八百長を告発した元小結の板井圭介氏が出廷した。……

■板井氏が大嘘つきの売名家なのか?相撲界が過去の因習を引き摺って国技の名を騙って公益法人の旨味を吸っている腐り切った組織なのか?黒白をはっきりして欲しいような、本当のところを知ったところで虚しいだけという結果になりそうな……。


「組織犯罪!」、「詐欺師!」-。証言台に立った武田氏の口からは、日本相撲協会と八百長をしているとする力士への辛らつな言葉が次々と飛び出した。「八百長は、ある種の番付安定装置。朝青龍を軸に展開されていた。自信を持ってお送りしている」と、執筆した記事の信ぴょう性を訴えた。……06年九州場所に朝青龍が全勝優勝した際、普天王、岩木山、安美錦、稀勢の里戦以外の11番はすべて、八百長としている。全勝がかかった千秋楽の千代大海戦について、武田氏は「突っ張りが不自然。千代大海は自ら土俵を割った」とし、琴光喜戦も「琴光喜はもろ差しになり、普通は間髪入れずに出る。全体の流れそのものが不自然だった。当時(琴光喜の)24連敗(実際は23連敗)は非常識な確率」と付け加えた。

■この裁判の後でリンチ暴行殺人事件についての裁判が開かれたわけですが、「組織犯罪」と呼ぶなら暴行と八百長との関係も追及されるべきなのでしょう。以前の千代の富士を軸として工作されたとされる八百長疑惑の頃も「出稽古」と称して別の部屋の力士を痛めつけた話がありましたからなあ。朝青龍も不自然に厳しい稽古をする時があったような……。


被告側弁護士は「ビデオに即した説明を何らかの形で…」と主張。原告側も退ける意思はなく、次回の弁論でビデオテープなどを参考に検討される可能性が出てきた。武田氏は、高砂部屋の関係者や現役力士らの話を基に、旭天鵬の付け人だった元旭天山が八百長にどう動いたかも全部分かっていると証言した。さらに、朝青龍のほか魁皇、自らは栃東(現栃東親方)も取材。「何が嫌って、力士が傷ついている。やりたくもない八百長をして…。親方が仕組む。人権無視も甚だしい」と語気を強めた。武田氏は今回、朝青龍と初めて会ったという。退廷後「朝青龍の証言?言っていることはウソ」とキッパリ。今後についても「書き続けますよ」と、対決姿勢をむき出しにした。
10月4日 デイリースポーツ

■武田氏のターゲットは既得権にしがみ付いている親方衆のようですなあ。大きな体の青年を預かって鍛えて育てる大変な仕事でしょうが、一歩間違えると暴力と金銭で自由を奪うことも簡単に出来る力関係が、一部のマスコミによって美しい師弟関係に作り変えられていた可能性もありそうです。17歳の力士を丸2日にわたって殴り殺した兄弟子と、暴行を「更正」目的だったと言い放った先代の時津風親方は、本来なら自分が治療を受けねばならないほどの「酒乱」だったとか……。

■相撲界に若い人材が集まらない原因は、決して少子化ではないはずです。本当の原因を作っているのは相撲協会の理事と親方衆なのだと自省しない限り、外国から体力自慢の若者を輸入しては不祥事が起こるという情けない連鎖は止まらず、興行成績を左右する横綱の人気を維持するためなら、何をやっても正当化されるような体質は変わらないのでしょうなあ。裁判での証言を終えた朝青龍は、よほど大きな貸しを作ったらしく、相撲協会に対して治療目的の「長期帰国」を申請したとの事で、何と来年の初場所に再帰を懸けると言っているとの報道もあるようです。そんなに休むのなら、引退すれば良いはずなのに、辞めさせられない事情と辞めさせない人や組織が存在しているという事なのでしょうなあ。去るに去れない人も世の中には居るというわけですが、多くの場合「晩節を汚す」という結末になるものです。