いまさらながらの原点回帰
あの世に聞いた、この世の仕組み
極楽飯店.64
※初めての方はこちら「プロローグ」、「このblogの趣旨」からお読みください。
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俺がすっかり透明になると、ゆっくりと坂本が近づいてきた。
「峰岸。おまえさん、今どこにいる。ここら辺か?」
暗闇の中で何かを探すかのように手を前に突き出し、右へ左へと揺れながらゆっくり歩みを進めてきた。
どうやら、俺に触れる事ができるかを確認したいみたいだ。
「ここだよ」
俺が声をかけると、坂本は身体をビクリと弾ませて視線を変えた。どうやら声は届くらしい。
若干怯え気味でいる坂本を見ていたら、俺の悪戯心に火がついた。
坂本の後ろに回って背中を突っついてやろう、そう思って忍び足で坂本の背後に回った。
が、次の瞬間、驚いたのは俺の方だった。
坂本に向けて突き出した俺の手は、彼の背中に触れることなく、そのまま素通りしてしまったのだ。
「お!」
驚きで俺が思わず声を上げると坂本は振り返り、そのまま俺の身体を通りすぎた。
閻魔がケラケラ笑っていた。閻魔には、俺の姿が見えているということだろうか。
「タクちゃん、そこで自分の身体をハッキリ思い出してごらん。消えた身体に、色やカタチが戻っていくことをイメージするんだ」
閻魔に言われたとおり、自分の身体を見下ろす様に目線を下に向けながら、自分の身体に色とカタチがもどっていく事を想像する。
すると、身体の中心から煙が立ち上るようにモヤモヤと色が広がっていき、俺はスライムを被る前の姿を取り戻していた。
「おおーーー!」
俺の姿が見えるようになると、メンバーから歓声が上がった。
坂本が足下から頭までを舐めるように観察しながら、ペチペチと俺の腕を触った。
「すっかり元通りだな」
皆が不思議そうに俺を眺めている中、次いで藪内が頭を指差しながら、慌てるように声を発した。
「峰岸さん、耳も、耳も元通りになってる!」
足下の水たまりを覗いてみたら藪内が言うとおりだった。久しぶりに耳のある自分の顔を見た。
が、それほど高揚するモノではなかった。
身体があろうが無かろうが、自分はカタチに依存せず、こうして存在しているのだという不思議な体験をした後ということもあるだろうか。耳があってもなくても、どっちでもいいやという気持ちだった。
とはいえそれは、「どうでもいいや」という陰鬱とした感情ではなく、諦観とでも言う様な超然としたものだった。
もしかしたら、あのスライムが身体への執着さえも洗い流してしまったのかもしれないな。と、そんな事を思っている中、閻魔が再度声をかけてきた。
「タクちゃん、今度はその身体を消すことを意図してごらん」
閻魔の指示に従えばどうなるか、今度はやる前から想像できた。
身体を消すことを意図した途端、想像通り俺の身体は透明度を増していき、ついにはすっかり姿を消した。
それと同時に、源(ソース)の元に溶け込んだ時に似た晴れ晴れとした開放感が身体いっぱいに広がる。……いや、今は身体は無いんだったな。とにかく、気持ちがいいことこの上ない。
閻魔は俺に、繰り返し身体を現したり消したりすることを練習しろといい、他のメンバーには俺同様スライムを身体に浴びるよう指示した。
俺が消えたり現れたりをしている中、白井、藪内、田嶋、坂本の順に「おばけ化」が進んでいく。
「あぁ~」とか「ふぅ~」とか、メンバーがスライムをかぶるたびに甘ったるい声が聞こえてきた。
これまた不思議なことに、スライムをかぶった者どおしだと、姿を消しても相手の事がよく見えた。
だが、「見える」といっても、肉眼でカタチを捉えるのとはだいぶ違った。
ハッキリとしたカタチはないのだが、「気配」がそのまま「像」として捉えられる。
半透明になってゆらめく俺たちが、しばし「おばけ演習」を楽しんでいると、閻魔はニヤリと口角を上げた。
「うん。みんな上手になってきたね。じゃあ、次のステップ。浮遊と変身にチャレンジしよう」
←押してもらってももらえなくても、どっちでもいいやという気持ちだった。(ウソです)(沢山押してもらえたら、とにかく、気持ちがいいことこの上ない。)
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俺がすっかり透明になると、ゆっくりと坂本が近づいてきた。
「峰岸。おまえさん、今どこにいる。ここら辺か?」
暗闇の中で何かを探すかのように手を前に突き出し、右へ左へと揺れながらゆっくり歩みを進めてきた。
どうやら、俺に触れる事ができるかを確認したいみたいだ。
「ここだよ」
俺が声をかけると、坂本は身体をビクリと弾ませて視線を変えた。どうやら声は届くらしい。
若干怯え気味でいる坂本を見ていたら、俺の悪戯心に火がついた。
坂本の後ろに回って背中を突っついてやろう、そう思って忍び足で坂本の背後に回った。
が、次の瞬間、驚いたのは俺の方だった。
坂本に向けて突き出した俺の手は、彼の背中に触れることなく、そのまま素通りしてしまったのだ。
「お!」
驚きで俺が思わず声を上げると坂本は振り返り、そのまま俺の身体を通りすぎた。
閻魔がケラケラ笑っていた。閻魔には、俺の姿が見えているということだろうか。
「タクちゃん、そこで自分の身体をハッキリ思い出してごらん。消えた身体に、色やカタチが戻っていくことをイメージするんだ」
閻魔に言われたとおり、自分の身体を見下ろす様に目線を下に向けながら、自分の身体に色とカタチがもどっていく事を想像する。
すると、身体の中心から煙が立ち上るようにモヤモヤと色が広がっていき、俺はスライムを被る前の姿を取り戻していた。
「おおーーー!」
俺の姿が見えるようになると、メンバーから歓声が上がった。
坂本が足下から頭までを舐めるように観察しながら、ペチペチと俺の腕を触った。
「すっかり元通りだな」
皆が不思議そうに俺を眺めている中、次いで藪内が頭を指差しながら、慌てるように声を発した。
「峰岸さん、耳も、耳も元通りになってる!」
足下の水たまりを覗いてみたら藪内が言うとおりだった。久しぶりに耳のある自分の顔を見た。
が、それほど高揚するモノではなかった。
身体があろうが無かろうが、自分はカタチに依存せず、こうして存在しているのだという不思議な体験をした後ということもあるだろうか。耳があってもなくても、どっちでもいいやという気持ちだった。
とはいえそれは、「どうでもいいや」という陰鬱とした感情ではなく、諦観とでも言う様な超然としたものだった。
もしかしたら、あのスライムが身体への執着さえも洗い流してしまったのかもしれないな。と、そんな事を思っている中、閻魔が再度声をかけてきた。
「タクちゃん、今度はその身体を消すことを意図してごらん」
閻魔の指示に従えばどうなるか、今度はやる前から想像できた。
身体を消すことを意図した途端、想像通り俺の身体は透明度を増していき、ついにはすっかり姿を消した。
それと同時に、源(ソース)の元に溶け込んだ時に似た晴れ晴れとした開放感が身体いっぱいに広がる。……いや、今は身体は無いんだったな。とにかく、気持ちがいいことこの上ない。
閻魔は俺に、繰り返し身体を現したり消したりすることを練習しろといい、他のメンバーには俺同様スライムを身体に浴びるよう指示した。
俺が消えたり現れたりをしている中、白井、藪内、田嶋、坂本の順に「おばけ化」が進んでいく。
「あぁ~」とか「ふぅ~」とか、メンバーがスライムをかぶるたびに甘ったるい声が聞こえてきた。
これまた不思議なことに、スライムをかぶった者どおしだと、姿を消しても相手の事がよく見えた。
だが、「見える」といっても、肉眼でカタチを捉えるのとはだいぶ違った。
ハッキリとしたカタチはないのだが、「気配」がそのまま「像」として捉えられる。
半透明になってゆらめく俺たちが、しばし「おばけ演習」を楽しんでいると、閻魔はニヤリと口角を上げた。
「うん。みんな上手になってきたね。じゃあ、次のステップ。浮遊と変身にチャレンジしよう」
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コメント ( 30 ) | Trackback ( )
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やったー
28日の札幌トークライブ楽しみにしています!
北海道で待ってますよ~^^!
何番ゲットが最高だったか覚えてないけど、新しい更新を読むことが出来て「どうでもいいや」って思いました
簡単過ぎるのだが難しいものと思い込み自分からわざわざ難しくしてしまうから難しくなるのだ。
「1+1=」の後に何も考えずに2と書けば良いだけなのに思考を巡らせて「これは引っ掛け問題に違いない」、「こんな簡単な出題など有り得ない」などと考えてしまいわざわざ難しい数学の証明問題だと思い込んで必死に難しく証明しようと思い悩んでしまう。
日頃人間のやっていることはこれと同じことだ。
>坂本が足下から頭までを舐めるように観察しながら、ペチペチと俺の・・・
え~っと~・・・
映像で観ているとね、タクちゃんって真っパなんだよね~
(*ノノ)イヤン♪坂本のエッチ!
・・・(ネタです。)
とーめーーにんげん~~あらわるあらわる~~~♪
で、蕎麦を食べると・・・こう?⇒
で、久々に読んだ~~
感動です~~
溶けて気持ち良くなりたい~
あれやこれや思考に囚われないですね。
だって自分が無いんだから。
それが逆に気持ちいい。全ての抵抗が無い感じ。
いかに普段思考の束縛を受けていたかと。
この人もだいぶ真理に近づいてきているのか?
自分にはドンドン理解しがたくなっています。
新展開面白くなってきましたね。
姿かたちはまさに幻想で、意識のみが存在そのものってことなんだろうか?個という意識がなくなれば、大いなるそのものに戻るということなのかな?
続き楽しみです。
札幌は涼しくなってきました、日曜のライブ楽しみです。
そういうの好きです。
まさか耳の話は、今回のおこの話まで考えての伏線だったのなら、コクサイさんすごいですね。
もちろんそうじゃなくてもいいのですが。
たくさんのお仕事でお忙しい中、更新もお疲れ様でした。
今読んでる。
男同士裸の付き合いってこんな感じなんですか
いいな~♪
>うん、書き込みやめて~
いったい人間界で何するの?
おもしろいなぁ。
真理は気持ちいいんだよね。
私にとって瞑想はダルマ・スプリングスに近いかも。
リラックス=気持ちいい
みんな考えるの止めて気持ちいいことすればいいんだよ、きっと。
次の課題も楽しそうなので、次回も楽しみっす(=・ω・)/
もし神様が現れて3つの願いを叶えてくれると言ったら、あなたなら何を頼みますか?
①黒斎さんのアソコが敏感になりテレビに出演し、うんこくさいビームを撒き散らしてほしい
②定期的な阿吽のテレビ放映
③わかんな~い!
昔、ソフィーの選択とかアルケミスト読んだ時みたいに
わくわくして、いいなぁとか、面白いな
哲学的付加価値付けながら読むのは苦手なんですよぉ…私
体調不良になるのはどうも…自力でなんとかしたいがいろいろやってみてが効果なし(o_ _)o
何もかも力不足です(^_^;)
信じてないから、効果があらわれないのか?
だんだん敏感な人増えると思ったりしますが、対処法を教えてもらえたらと思います。
図々しいかな?失礼しましたm(__)m