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アメリカの研究室で生き残る

2007年02月13日 | アメリカ生活
私のボス、テレーズという記事に書きましたが、私はアメリカで上司に大変恵まれました。アメリカには5年半滞在し、その間、三つのラボを転々としたわけですが、途中、研究中断&帰国を余儀なくされそうになったこともあります。何とかそういう波を乗り越えてある程度の仕事を完成することができたのは、私には彼らに必要とされる何かがあったからだと思います。

私は最初Dさんという研究者と一緒に仕事をしましたが、彼は、私の英語があまりにもひどいので、最初はびっくりしたようです。とにかくゆっくり話してくれ、必要なら書いてくれて、私がきちんと理解できるようにしてくれましたが、実験をはじめたら、私の仕事の仕方が非常にていねいであったこと、その結果、予想をはるかに超えた良い結果を得たことで、さらにびっくりしたようです。同じラボにいたMさんには後になってから、「あんたの英語はめちゃくちゃだったよ。だから、実験があんなにうまくできるんじゃなかったら、とっくに帰国になってたはずだよ」と言われました。Mさんには、「あんたの仕事はほとんどアートだね。アメリカ人にはまねできない」と言われたこともあります。

私の武器は「ていねいな仕事」でした。
アメリカに行ってから身につけたものに「レーザーキャプチャーマイクロダイセクション(LCM)」という実験技術がありますが、これを私はNIHで日本人のM先生に習いました。M先生も大変ていねいに実験される方で、多くの人にこの技術を教えていらっしゃいましたが、習得できた人はそう多くなかったはずです。この実験では、凍結切片を切る必要がありますが、それがけっこううまくできないために実験自体がうまくいかないことが多いのです。また、採取したサンプルが非常に微量なため、その後の解析にはかなりの慎重さが要求されます。そういうときにも、「ていねいな仕事」が重要でした。

科学者として生き残っていくためには、独創性や研究のアイデアが重要です。その点についてはまたいつか書くとして、それよりもっと以前の問題として、実験室で大切なこと。それが「ていねいに仕事する」ということだと思っています。
コメント (2)
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