日銀券を増刷して日本国を救う村島定行のBlog

①日本は世界最大の債権国、お金がなければ刷りなさい②英語を多用すると次第に馬鹿になる③靖国参拝は日本人の義務だ。

岩田規久男著「日銀は信用できるか」はいい本だ。もちろん日銀は信用できない。

2010年02月25日 | 経済
 散々日銀のことを批判してきた者としては岩田規久男「日銀は信用できるか」はいい本で決まりであるが、世間ではそうではないらしい。『岩田規久男著「日銀は信用できるか」は信用できるか』というブログがあった。
 日銀の役割を「デフレでもインフレでもない状態に維持することだ」と認めながらでは「デフレでもインフレでもない状態」とはどういう状態かを聞かれると日銀は答えられないのだ。それに対する解答をまとめるため最近研究会を立ち上げるという体たらくである。これは日銀が何も仕事をしていなかったことを自ら暴露したも同然だ。
 岩田氏は日銀流理論の例を挙げて批判しているが私の視点から見て日銀の誤りを指摘しよう。
 まずここ10年以上GDPデフレータはー1%の物価下落が続いている。これは10年間デフレであったと私は考えているが日銀は民主党にせっつかれてやっとデフレであることを認めた。私は「重度のデフレ」であるが日銀は「緩やかなデフレ」であることをやっと認めているに過ぎない。
 昨日山口副総裁が鹿児島に来て財政のバランスが厳しいと発言している。先日、日銀は政府に財政規律を促した。デフレ時に財政規律を促すのは禁物である。これまで日銀と政府は景気が悪いのに何度も引き締めを行いさらに景気を悪化させてきた。これが十年にわたる不景気の張本人である。
 財政のバランスはそれだけで見てはいけない。その時点で物価の上昇率がどれくらいかによって大きく変わってくる。もし+2%の物価上昇率で大幅な赤字であれば文字通り放漫財政である。しかし日本のように長期にわたるデフレと財政のバランスの悪さが共存する場合は必ずしも放漫財政と決め付けることはできない。中央銀行が通貨の価値の維持を適切に行っていて+1%の物価上昇率を実現できれば財政のバランスは急速に回復する可能性があるからである。日銀は現状がインフレかデフレかを見ていない。
 これまで基礎的収支の均衡だけをみて歳出削減を続けてきた結果どうなったか。日本の10年前の税収は65兆円から3年前には45兆円になり、今年は37兆円を切った。基礎的な収支の均衡を目指して歳出削減をした結果かえって基礎的な収支の均衡の目標は遠ざかったのである。
 歳出削減が必要かどうかは基礎的な収支だけ見るのではなくまずデフレを終わらせることが先決である。財政の赤字はまず歳出の削減を要請する。しかしながらデフレは歳出の拡大を要請する。どちらの要請を重く見るか慎重に考えなければならない。これまでこの判断を誤ってきたため日本は未曾有の不景気に苦しんでいるのである。
  バブル崩壊後政府と日銀が適切な金融財政政策を行い、+1%程度の物価上昇率を維持できていればこれほど大きな財政赤字は累積しなかったであろうし、GDPも落ち込まず、基礎的収支の赤字も微々たる物であったはずである。
 日銀は財政の規律を政府に要請したが日銀がデフレを阻止し+1%から+2%の物価上昇率を実現すれば殆ど財政の規律(すなわち歳出削減)は要請する必要がなくなる可能性があるのである。
 現在の日本の未曾有の不景気は日銀が通貨の価値の維持という本来の仕事を放置していることを棚に上げて政府に財政規律の維持を要求することによってもたらされたといえるのである。
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