いま財政再建計画が練られているが実施可能な計画が出来ないのである。これは従来の枠組みでは答えが得られないのに従来の枠組みのまま無理に答えを出そうとしてる。官僚は再建案を作るだろうがまったく実施不可能なのである。
これまでも何度も基礎的収支の均衡をとる時期を定めてきた。しかしすべて二三年で実施不可能として達成時期を延期してきた。安倍首相の指示は官僚に同じ事を繰り返せと言っていると同じである。
そもそも国債発行額は50兆円である。これをゼロにするのが目標であれば不足額は50兆円である。消費税増税を10%にしたところで10兆円の増収が見込めるに過ぎない。これも不景気による所得税や法人税の減収を計算に入れていないのである。消費税増税を延期せよという提言が多いが前回の増税のように税収減になる可能性すらあるのだ。あり得ない話であるが予定通りの10兆円の増収になったとしても必要額の20%である。これでは何にも出来ない。50兆円前後の国債発行が必要な状況は何も変わらないのである。
何の益もなく、不景気のどん底に落とし込む可能性の高い増税を実施するのはバカである。
増税を1%ずつ実施する案を出している濱田宏一参与も同様である。消費税を+10%にすればいいのではない。浜田宏一氏は10兆円不足していると考えているのではないか。不足額は50兆円以上である。増税は1回だけですまない、何度も増税をしなければならないのに最初の増税に失敗する可能性すらあるのだ。50兆円の増収には景気を回復させる以外にない。デフレを終わらせる以外にない。
1%ずつ増税するという小手先の話で済むわけではない。浜田宏一氏は視野が小さすぎる。増税凍結をこのブログで何度か書いたがそれより消費税を3%に減らすことを考えてみてはどうだろうか。以前3%から5%に税率を上げたら減収になったから税収を増やすには3%に戻せばいいという考えだ。景気が一気によくなり増収が実現できる可能性がある。
前にも書いたが「財政再建=デフレ脱却」である。安倍首相とその取り巻きはこの二つは相反することのように考えているが同じものである。相反すると考えるのはこれまでの考えと同じである。日本の目標はデフレ脱却ただ一つである。デフレ脱却が出来れば財政再建は不要になる。日本は30年以上年に10兆円以上の黒字を出してきた世界最大の債権国である。その国が借金で首が回らないとというのはあり得ない話である。
3本の矢の一つ大規模な財政出動が小さすぎるのである。日銀に刷らせたお金は使われなければ意味がない。使わなければお金は外国に流れる。外国に流れないように年間120兆円以上の大規模予算を執行するのだ。
デフレ脱却を実現すれば+2%の成長が実現させ、大幅な税収増になる。それが財政再建である。
デフレとインフレの違いはデフレでは税収が落ち込ムノに対して、インフレでは税収が大幅に増える。
税収が落ち込んだときの財政再建は天文学的な困難さを伴い、国民に死の苦しみを与えるがインフレの時の財政再建は楽な仕事となる。その意味から絶対にデフレ脱却が優先されなければならない。
したがって安倍総理が「経済再生と財政再建の両立をはかれ」と指示したのは間違っている。この誤りを指摘するものがいない。