Pericles

2005年02月27日 19時22分24秒 | Weblog
Pericles
主な登場人物

詩人ガワー 語り手 Gower, Chorus アンタイオカス アンチオックの王 Antiochus
ペリクリーズ タイアの大公 Pericles, Prince of Tyre ヘリケイナス タイアの貴族 Helicanus
サイモニディーズ ペンタポリスの王 Simonides, King of Pentapolis クリーオン サーサスの領主 Cleon
ライシマカス ミティリーニの領主 Lysimachus セリモン エフェサスの貴族、医術に通じている Cerimon
ダイオナイザ クリーオンの妻 Dionyza サイザ サイモニディーズの娘、後にペリクリーズの妻 Thaisa
マリーナ ペリクリーズの娘 Marina リコリダ マリーナの乳母 Lychorida

あらすじ

 アンティオックの王アンタイオカスと彼の娘は、実の親子であるにも関わらず、道ならぬ関係にあった。この美しい王女には、求婚者がひっきりなしに訪れ、王女に未練を残すアンタイオカスは、求婚者たちに対して「娘が欲しければ自分のだす謎を解き、それが解けなかったら死刑にする」という掟を定める。求婚者たちが次々と命を絶たれていく中で、タイアの領主ぺリクリーズだけは、その謎が父子相姦であることを見抜く。ぺリクリーズは遠回しにそのことを告げるが、アンタイオカスはわざと否定し、もう一度謎の意味を考え直すように、彼に40日間の猶予を与える。だが、身の危険を感じたぺリクリーズは、早々とタイアに帰って行く。秘密を悟られてしまったアンタイオカスは、部下のサリアードにぺリクリーズを殺すように命じる。

 自国に帰ったぺリクリーズだが、追っ手がやって来ること考えて、サーサスという国へ逃れていく。かつて栄えていたサーサスは、今や落ちぶれて貧困に喘いでいた。だがぺリクリーズの登場によって、サーサスは再び活気を取り戻すようになる。そんな中、ぺリクリーズのもとに、留守を任せてきた部下のヘリケイナスから手紙が届き、サリアードが追って来ることを知る。そこでぺリクリーズはサーサスを去るが、船が難破し、ペンタポリスという国の海岸に打ち上げられる。助けてくれた漁師から、明日宮廷で槍の試合があることを聞き、ぺリクリーズは自分も参加することにする。

 ぺリクリーズは試合で見事に優勝し、王や王女のセイザに気に入られて、彼女と結婚することになる。再びヘリケイナスから手紙が届き、アンタイオカスとその王女が亡くなってもはや身の危険が無くなったこと、タイアの国民たちが王の復帰を望んでいることなどを知る。そこでぺリクリーズは帰国することに決め、身重のセイザを連れて航海にでる。

 航海中に嵐に襲われ、荒れ狂う船上でセイザは女の子を産み、そのまま息を引き取る。ぺリクリーズはセイザを柩におさめ、不本意ながらも柩を海に葬る。この柩はエフィサスの海岸に流れ着き、貴族のセリモンに拾われる。セリモンが柩を開けてみると、中のセイザはまだ仮死状態で介抱によって命を吹き返す。妻を失った悲しみにくれるぺリクリーズは、タイアまでの長い道のりを考えて、娘のマリーナをサーサスに預けることにする。

 サーサスのクリーオン、ダイオナイザ夫妻に育てられたマリーナは、美しく立派に成長する。だが、マリーナばかりが注目され、自分の娘がその陰に隠れてしまうことを妬んだダイオナイザは、召使いの男にマリーナを殺すように命じる。人目につかない海岸でその男が、マリーナを殺そうとしたその時、海賊たちが現れて彼女をさらってしまう。ダイオナイザとクリーオンはマリーナが病死したことにして、娘を連れ帰りに来たぺリクリーズにマリーナの墓を見せる。ぺリクリーズは愕然とし、深い悲しみに沈んでいく。

 マリーナはミティリーニという国の娼館に売られる。ところがマリーナは、来る客みんなに説教するため、客は逃げていく一方である。客の一人でミティリーニの太守ライシマカスだけは、マリーナの真価を認めてくれる。マリーナは客引きのボウルトに金貨をやってうまく説得し、別の仕事を世話してもらう。

 ぺリクリーズは今、娘がミティリーニにいることも知らずにこの国へ来ていた。ライシマカスは彼を訪ねていくが、家族を亡くした悲しみで心を閉ざしたぺリクリーズは会おうとしない。そこでライシマカスはマリーナを呼び寄せて、ぺリクリーズを元気付けてもらうことにする。マリーナを見たぺリクリーズは、彼女が自分の妻とそっくりなのに驚き、彼女に身の上話を語らせる。その結果、ぺリクリーズはマリーナが自分の娘であることを確信する。娘との再会に喜びながらも急に眠気を催したぺリクリーズは、ダイアナ神が彼にエフィサスへ行くことを命じる夢を見る。早速エフィサスに向かったところ、ダイアナ神の社で巫女をしているセイザと再会する。ようやく一家全員が揃い、そこにマリーナとライシマカスの結婚が加わり、さらなる喜びの中で幕は閉じるのである。

作成 松村優子
別の学生によるあらすじ
みどころ

 この作品は、妻の復活、遠くに残してきた娘との再会など、いくつかの点で『冬物語』によく似ている。だが、『ペリクリーズ』の一番の特徴は、この作品の元となった『恋人の告白』の作者ジョン・ガウァーが解説役として全幕に登場し、ところどころに黙劇が取り入れられている点である。この作品は、ガウァーの語りで始まり、同じく彼の語りで終わっており、そのために劇そのものは彼の語りの中におさめられている物語であると言えるかもしれない。この作品では、アンタイオカス親子の近親相姦、セイザの仮死状態からの蘇生、ダイオナイザの残酷な人間への変化、客を改心させるというマリーナの奇跡など、異様な出来事が立て続けに起こるが、そうした出来事は半分語りを通して私たちに伝えられているせいか、何となく淡々としていて、悲劇のような激しさや生々しさはあまり感じられない。また、マリーナの死を告げられる場面でのペリクリーズの様子は、ガウァーの語りと黙劇によって伝えられているだけであり、ただ本を読んでいる限りでは娘を失ったペリクリーズの悲しみが中々伝わってこないように感じられる。だがやはり、荒波にもまれながら何年も経て、ついに一家全員が揃う再会場面は、シェイクスピアの他の再会劇に負けず非常に感動的であり、家族の大切さを感じさせる。

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