「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

碧き水白蛇沼を一直線 鈴木弘子

2021-08-20 02:59:54 | 日記
どこの沼なのでしょうね。沼の背景の緑と碧い水、そこを白蛇が泳いでいる。神々しく、美しい沼の精霊の目撃は吉兆めいて、人類の幸せの為の行動としての意志を感じる「一直線」が力強い。災害続きの今だからそう思うのかも知れない。白蛇は各地に伝承、伝説、俗信があり、私が住まう大崎市にも「化女沼」があり、この不思議な名前の由来となった伝説が残されている。
「この沼のそばに、かつて一人の長者がいた。その長者には美しい一人娘がいた。名は照夜姫と言い、毎日のように沼へ来て日を過ごしていた。その美しさのために、いつしか姫が沼のほとりに近づくと、水面にたくさんの蛇が集まるほどであったという。ある時、一人の旅の美男が長者の家にやって来て、宿を借りることになった。照夜姫とはすぐに相思相愛の仲となったが、また旅を続けるためにと男は去って行った。男との別れを嘆き悲しんでいた照夜姫であったが、しばらくして突然の体調の異常に気づく。そのまま産気付いた姫は、その夜のうちに子供を産んだ。しかし赤子は人間ではなく、白蛇だったのである。驚く姫をよそに、生まれた白蛇は沼の底へと沈んでいった。そして姫もその後を追うようにして、愛用の機織りの道具を持って沼へ身を投げたのである。
それから毎年7月7日には、沼の中から機織りをする音が聞こえてくる」
と、伝えられている。掲げる句にも何か物語があるのかも知れませんね。(博子)

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