「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

蝕の間に泛ぶ真神の巖と飯匙倩 石母田星人 「滝」7月号<渓流集>

2012-06-27 05:04:38 | 日記
「蝕」は5月21日の金環日食でしょう。真神(まかみ)は
狼の古名。狼は大神(おおかみ)なのです。日蝕で辺りが暗
くなり巌の上で遠吠えする狼。そして、飯匙倩は牙に毒をも
っている蛇です。この蛇は沖縄にいる夜行性の本飯匙倩(ホン
ハブ)なのでしょう。金環日食で月が太陽の内側へ完全に入り
込むと地上は暗くなります。狼を言い、飯匙倩を言うことで、
暗さを表現し、その暗さの中に見える太陽の細い神秘的な光
の環の「束の間」を切り取った句なのでしょう。こんな写生
の目を偸みたいですね。(H)

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