「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

軍馬から野生馬となり冬の月 梨子田トミ子

2021-01-17 04:34:32 | 日記
時代を経て種を繋ぎ野生化した馬。宮崎県の都井岬の国の天然記念物に指定されている「御崎馬(みさきうま)」でしょか。時を遡ること約320年前。江戸時代に宮崎にあった高鍋藩秋月家が、軍馬を生産するための牧場をここに開いたそうです。肩までの高さが130センチ前後と小柄で胴が短く、首が太く、全体的にずんぐりした馬ですが、農耕馬として育成されたほかの日本在来馬と比べると足が細いなど、江戸時代の乗用馬の特徴が保存されているそうです。岬を吹き抜ける日向灘の風にもみくちゃにされる鬣と、冬の月の刃物のような鋭さに「軍馬」であった頃の刀や殺気を纏ったような空気感。自然の中で逞しく生きる馬の冬。お腹に子を宿す馬もいるのでしょうね。春が待ち遠しい句でもありました。(博子)

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