「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

恋猫の仮面ぬぎ捨て眠りをり 加藤信子

2021-06-24 18:30:21 | 日記
恋猫の雄叫びや形相に、猫も「けだもの」だったことを思い出す。「猫被り」という言葉があって、本性を隠しておとなしそうなふりをすることを言うが、掲句の「仮面」は反対だ。例えば子供がウルトラマンの仮面をつけてウルトラマンに成りきるような、そんな場面のように、仮面を脱げば本来に戻る。作者にしてみたら可愛い甘えん坊の猫が本来の姿で恋猫となって叫び、喧嘩をするのは仮の姿ということになる。何らかの決着がつき、何事もなかったかのように家に戻って眠っている猫が私にも見えて、ああ撫でたい、抱き上げたいと思う。そんな句だった。どうか猫ちゃんが亡くなったのではありませんように・・・。(博子)