
ネルソン・デミルの新しい本「獅子の血戦」というのを買おうかと思ったけれど、読んでいないジョン・コーリー・シリーズだったので、どうしようかと思って、図書館に予約した。
なぜ読まなくなったのか良く覚えていないけれど、この「獅子の血戦」とつながりがあるのがこの、「王者のゲーム」だそうで、一番好きと言っている人もいるので、まずこちらをと夏休みに読み始めた。
一人称の軽妙な語り口がおなじみで結構たのしい。
でストーリーとは関係ない、お気に入りの一節
「食事にはいささか遅すぎる時間だな」
「じゃ、お酒にしましょう」
「名案だね」
飛行機が着陸し、滑走路の上で原則していくあいだ、わたしはこんな立場にたたされた男が決まって感じる疑問を、ひとり胸の裡でくりかえしていた。すなわち―“自分は相手のサインを正しく読みとっているのだろうか?”という疑問を。
ここで相手のサインを読み違えていたとするなら、私は仕事の場でやっかいな問題を背負いこむことになる。サインを正しく読みとっているのなら、私生活の面で厄介な問題を背負い込むことになる。だとすれば、ここは様子見が正しい態度だろう。言葉を替えるなら、こと女がらみの局面では、わたしはつねに安全牌を切る、ということだ。
ずいぶん前に軽口のコーリーが合わなかったように覚えているけれど、こちらがずいぶんと軽くなったので面白く読み終えた。新しい「獅子の血戦」を買うのもよいけれど、その間に2作品がでているから、そちらに行くほうがより楽しめそうだ。
ワールド・トレード・センター・ビルのことを「いまでもビルはまだ、ちゃんとたっているかな、教授?」と作品中にあるけれどこの作品あの悲劇の前の年にかかれたものなのが凄い。
実はデミルが「ゴールド・コースト」の続編「ゲート・ハウス」をかいたのも、そして「獅子との血戦」を書いたのも9.11があったからじゃないかと感じる。
なのでそんなことも考えながら途中の2作を読んでいこう。