JAZZ最中

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キース・ジャレットの人間的側面 Testament / KEITH JARRETT

2009-10-17 08:58:23 | 聞いてますCDおすすめ


昨日は色気のない記事になりましたが、なんと息子から9度4分熱が出たと言うので、早朝息子を家に連れて気ました。
ですからオクサンは旅行をとりやめ私だけ行くこととなりました。
借りてきた猫みたいになってしまいそうですが(特効薬がある)写真でも一杯取ってこようと思います。
記事のほうも、ちょっと反論も出そうなキースの新作です。
それでは、これから私一人で出かけます。

ECM40周年記念としてキースが選ばれることに関しては何の異論もないし当然みたいに思います。

キースのソロとして2008年11月12月の録音を出してくれたことはとてもうれしいことです。
キースの新作の録音年度が随分古いことが気になっていました。
なんだか古い音源から、良い演奏を選び出しているみたいで、ファンは常に新しいものが聞きたいのです。
この前にでたトリオでのアルバム“Yssterdays”は2001年の録音であり、その前の2006年にでたソロ・アルバム“カーネギー・ホール・コンサート”の録音は2005年、新しいものを聞きたいという欲求が増していました。

日本での公演を2008年にみているのですから、それにつながるりうれしい限りです。
さてこの2008年11月のパリと12月のロンドンのソロ・パフォーマンスのリリースを皆さんはどのようにうけとめていらっしゃるのでしょうか。
もろ手を挙げて大絶賛、もしくはそれなりな演奏、もはやキースの時代ではないとおっしゃる方もいらっしゃいます。
チャールス・ロイドのバンドで出会い、“サムホエア・ビフォア”そして“フェイシング・ユー”で、JAZZ・ピアノの方向を作った私ととしては、最重要なミュージシャンである事に変わりはありません。

まずパリのコンサート2曲目低音のシングルトーンの上に作るフレーズはとても解りやすい安定した感じです。
3曲目はハーモニーが重なりあって流れていく美しい演奏、手が一本多いじゃないかと思ってしまう。
4曲目、これまでのフリーインプロビゼーションがテーマを発見し発展させ、それを解体し新しいテーマに作り直すみたいな方程式でできていた感じですが、このアルバム最初からテーマはきまっているように始まり解体はしない。
普遍的な要素を使って最初から1つの建物を構築していくような調和が貫かれます。
5曲目はよりクラシカル音の出し方で、さすがフランスで演奏しているのだと思います。
7曲目牧歌的な美しい曲、ここではザ・ディア・ヘッド・インでジョン・コーツ・Jrを聞いていた頃を戻るような遠くを望む演奏で、私としては好みは一番です。
全体的にとても良く纏まったアルバムに感じます。

次にロンドンのコンサートの模様ですが、こちらは2枚です。
1曲目探るようなフレーズが続き中盤以降に纏まりますが完結はみません。
2曲目もリズムがぴったりと嵌らない、最後でどうやらぴったり来たようでその段階でストップです。
3曲目は2曲目で落ち着いたのかフォーク調の曲、クラシカルなフランスから、ビートルズの国で演奏しているのだと思います。
5曲目、スタンダードのような美しい始まりで、G・ピーコックやJ・デジョネットが入ってきそうな感じです。
最後の6曲目はクラシカルな始まりからフォークロック調、エルトン・ジョンの曲じゃないかと思ったり、これってモンキーズの“ディ・ドリーム・ビリバー”じゃないかと思ったり、とても心和らぐ演奏です。

このアルバム今までのキースのアルバムとは少し違った印象を受けます。
これまでの緊張に張り詰めた、間違いなどありえないよう盤とは少し違うように思うのです。
確かにこれまでのソロアルバムでも、テーマを作り上げるまで停滞して苦悩する演奏はあったと思います。
しかしこのロンドン録音は戸惑度っているような部分はあるし、いつものように自信に満ちたフレーズが全てではありません。そこがベースになっている気さえします。
そして一番驚いているのはロンドンの2枚目、ミスタッチと思える音が幾つかあることです。これまでではこのような音がアルバムになったとを思い浮かびません。
この録音を出すということが、今までにない違いと感じるのです。

昨年キースのコンサートに行ったときには、ピアノのふたを何度も開け閉めしておどけたパフォーマンスをみせたり、キーを間違えたと言って弾きなおししますと言って会場をなごませたり、それまでのぴりぴり感とは少し変わった気がしました。
このアルバムでは、演奏の焦燥感や僅かの狂いのあることを認めた上でのジャレットを宣言している感じです。

このアルバムを聴いていて感じたタイトルが「人間的側面」、随分昔、「企業の人間的側面」というダグラス・マクレガーの組織論の本がありました。
私が学生だったころに随分もてはやされた理論ですが、本の名前だけ、深く記憶に残りました。
そしてこのアルバムを聴いていると、論文でもありませんが、その題をつけたくなって、私には、なぜかそのような感じるです。

Testament Paris/London / Keith Jarrett


1 Paris - Recorded November 26, 2008. Part 1-8
2 London - Recorded December 1, 2008. Part 1-6
3 London - Recorded December 1, 2008. Part 7-12


コメント (2)
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