しろみ茂平の話

郷土史を中心にした雑記

「奥の細道」湯殿山銭ふむ道の涙かな  (山形県湯殿山)

2024年08月24日 | 旅と文学(奥の細道)

湯殿山への参拝は、お祓いを受け、裸足になって、銭を踏みながらお詣りする。
ご神体からは温泉が湧き、世にも不思議な神域となっている。

 

 


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旅の場所・山県県鶴岡市田麦俣字六十里山「湯殿山本宮」         
旅の日・2022年7月12日               
書名・奥の細道
原作者・松尾芭蕉

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「超訳芭蕉百句」 嵐山光三郎  筑摩書房 2022年発行


湯殿山銭ふむ道の泪かな 曾良

流出する湯の近くにはいまなお一円玉・百円玉の賽銭が金網のうえにばらまかれていた。 
賽銭を踏みながらの自己再生に涙するというのだから、曾良の作とした。
御神体岩に湧く湯は熱く、足裏に触れると、ぬらぬらとして、なまめかしさがあった。 
湯をなめてみると塩分が強く舌がしびれていった。

 

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 「日本の古典11 奥の細道」 山本健吉 世界文化社 1975年発行

湯殿山銭ふむ道の涙かな    曽良(出羽三山)

芭蕉の湯殿詣では六月七日だが、『紀行』には「惣而此山中の微細、行者の法式として他言することを禁ず。
よりて筆をとどめて記さず」とある。
湯殿山の微細は今日でも秘事が多く、神秘性を漂わせている。 
その神秘性に触れて芭蕉も袂をぬらした、というのだが「ぬらす」とは湯殿の縁語である。
三山順礼の句の中では一番感銘の乏しい句が「語られぬ」である。

『菅菰抄』に「この山中の法にて、地へ落ちたるものを取るあたはず。
故に道者の投擲せし金銭は小石のごとく、 銭は土砂にひとし。 人その上を往来す」と注してある。 
地にちらばった銭など歯牙にもかけず、その上を踏み歩くという超俗的な気持に誰しもなっているというので 
「世を忘れけり」といった。


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「山形県の歴史」  誉田・横山共著  山川出版社  昭和45年発行

出羽の”山の神”でもっともはやくさかえたのは月山である。
四季、白雪をいただいて静かに横たわる月山の秀麗な山容に、古代人は女神の姿を見いだしたのだろう。

湯殿山神も”山の神”で、輝石安山岩塊を含む泥流の一堆頂から温泉が湧出し、
堆面をつたわって流れており、これがご神体とされる。
湯殿山は農業と関係が深く、土民の信仰をあつめていた。

羽黒山は、山自体を神とした月山や湯殿山よりも、社殿祭祀の羽黒神社が栄えていった。

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