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真藤順丈作『宝島』について(その7)

2019年06月02日 | 小説・映画等に出てくる「たばこ」
200ページ 軍司令部に向かう車の中でを探りを入れた。煙男のことを、日本人(ヤマトンチュ)と称していたこと、煙草の吸いすぎでこっちが喘息になりそうだったこと、グスクが知るなかでも陰険さのチャンピオンになれそうな男だったこと----
「おそらくそれは、ダニー岸という男です」
煙男のことを小松は知っていた。

【本土復帰の後先】について、本書のなかからいくつか拾ってみました。

251ページ おためごかし(ユクシ)、空約束(ユクシ)、口からでまかせ(ウフユクシ)。
それらをテーブルに並べて、沖縄(ウチナー)を裏切ってきたのが日本(ヤマトウ)だ。
アメリカに追従するばかりで、不都合な真実にふたをしてきたのが日本(ヤマトウ)だ。
これじゃぁ本土復帰の旗も振れない----
「ずっとそうだった。飛行機が落ちようが、娘たちが米兵の慰み者になろうが知らんぷり。毒ガスが持ち込まれようが見て見ぬふり。何もかも今度の政府にとっては対岸の火事さ。自国の領土なら大騒ぎすることでもこの島で起きたからやり過ごす。大事なのは我ら沖縄人(家南中)の安全や尊厳じゃない。アメリカの機嫌を損ねずに自分たちの繁栄を守ることさ。残念ながらこの島はもうずっと日本列島には勘定されてごらん」(国吉さんの言葉)

258ページ チバナは安堵とも幻滅ともつかない表情を浮かべた。
「怒るだろうね、復帰協の人たちは」
「もうなんだか、おれは記憶喪失になりたいよ」グスクには驚きも喜びもなかった。
「基地の問題はうやむやにされて、核や毒ガスもなくならない。戦闘機は墜ちつづけて、娼婦の子は慰みものにされる。この返還で喜べるのはうしろめたさに格好のついた日本人(ヤマトウ)だけさ」

261ページ われらが沖縄(シマ)は日本(ヤマトウ)に戻される。なかを失くし、つかのまの夢を見て、抜けないくさびを打たれながら、それでも日常がつづいていく。朝飯をすませたら、グスクは妻に言った。三人で浜の散歩にでも行かないか?
あと二年。二年後の一九七二年には、沖縄(ウチナー)が本土に返還される。だれもが待ち望んだことなのに、歓呼の声は上がっていなかった。
われらが沖縄(シマ)には、空騒ぎのあとの興奮や希望の掃き残しが散らばっていた。
顧みられなくなった横断幕やのぼりが、路地を這う風に吹きつけられていた。
(つづく)
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カラオケと詩吟のシナジーについて

2019年06月02日 | ここで一服・水元正介

この詩吟伴奏用コンダクターで、低音(水4本)から中音(2本)までの駆け上がりと駆け下がり発声練習を続けています。詩吟での成果は、特段にみられませんが、カラオケでは低音部分の音程に変化が感じられました。

それから、一語一語の発音がしやすくなり、これまであやふやだった部分が、しっかりと歌えるようになりました。そうなってくると、伴奏の音を聞く余裕ができ、リズムやテンポに気を配れるようになりました。

カラオケの機種、joysoundさんの分析採点で試したら、だんだん得点も上がってきたので、これは詩吟の発声練習のおかげだと思いました。そう考えると、単調なお稽古も楽しくなります。これからも、詩吟とカラオケの相乗効果に期待する次第です。
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