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【「理由なき反抗」における「たばこの回しのみ」】

2008年02月01日 | 小説・映画等に出てくる「たばこ」
◎ 『理由なき反抗』では、主人公の危うい思春期における心の動きとは別に、現代的なテーマとして「父親の権威喪失および復権問題」が見事に描かれている。
 主人公は中流家庭の子息として生まれ、学校や地域でのトラブルを繰り返し、その度に転居するという手法で、問題解決を先送りしてきた家族の中で育つ。トラブルを起こしたら、とりあえずそこから逃げて、心機一転させて対処しようとする母親、子どもは父に対して母とは違った判断を求めてきたが、いつも答えをはぐらかされてきたという経過があった。

◎ 転校生は、その実力を試される。その結果によって、グループ内で秩序づけされるわけだが、リーダーとのナイフの勝負を引き分け、主人公は、同年代のリーダーとチキンレース(車を使った「どっちが弱虫なのか」を決めるゲーム)をせざるを得なくなる。
 悩む。母は「逃げろ」と言い、父もあいまいな態度で、「こうしろ」という判断をしてくれない。主人公を慕うプラトンという友人を伴い、主人公はレースに向かう。グループのトップを決める戦場は、見守る少年(少女が一人)たちによってライトアップされ、勝負する者同士としてのシンパシーを感じ合うけれど、決着をつけざる時が来る。
 ここで、二人は「たばこ」を回しのみする。いい場面だ。もし、たばこの煙がなかったらは、あのシーンの緊張感や盛り上がりは半減したことだろう。レース相手は、ドアが空けて脱出できずに転落死する。レース後のトラブルで、もう一人の少年が命を落とし、拳銃を持って逃走したプラトンも警察に射殺されてしまう。

◎ 3人の少年が死んだ。たしかに悲劇ではあるけれど、偶然が重なって起きたような事件によって、主人公は父からの自立を果たし、父も自らを取り戻して、たくましくなる。レース相手の恋人であった女性と、同じ「悲しみ」「瞬間」を共有しながら未来を生きる、という予感の中で映画は終わる。
私が、久しぶりに「理由なき反抗」をみて痛感したことは、少年期のリスク、危うさは日米を問わずに存在した、ということである。同時に、日本に比べてアメリカの少年たちは、子ども時代から個の自立や個性を求められ、それが尊重されてきたことも理解できた。
 今春の調査によれば、日本では17歳に次いで、49歳が「危ない年代(何らかの事件を起こす確立が高い)」らしい。したがって、来年にはちょうど49歳になる私なので、「危ない年代」を自覚しつつ、ストレス解消と健康度アップに心がけていきたいものだ。(2002/05/21)
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