息をするように本を読む

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と、なんだかだらだら日常のことなども

狂食の時代

2014-07-19 14:49:36 | 著者名 は行
ジョン・ハンフリース 著

なかなかショッキングな内容である。
狂牛病はとても恐ろしい記憶であるが、必ずしも問題は牛だけではない。
人類が長いあいだ願ってきた飢餓からの開放のために研究されてきたことは、
いつのまにか方向を変え、健康を脅かす食物を生み出してしまった。

多くの食物を安いコストで作り出すためには、効率が問われる。
時間をかけること、待つことで出来上がるはずのものを、
短時間で完成させるために、さまざまな方法や薬が使われ、
とうとう遺伝子までも操作されるようになった。

著者はイギリス人であるが、日本の農業にも通じるものが多い。
一見非効率なようでも、多種多様な作物がつくられ、さまざまな動物が
飼われる農家のあり方は、実は理想の姿なのだと著者は語る。

何より印象的だったのは、コストについての文章だ。
食物はこんな生産の仕方で果たして本当に安くなっているのか?
一見効率的で安価に見えても、農業補助金、水の浄化、残留農薬が
及ぼす健康被害への対処など、次第に公的に負担するコストは増えていく。
感情的に食の安全を言い募るのではない。その冷静さがむしろ恐怖を増す。

本書はあまりに刺激的なため、受け入れられない人も多いのではないかと思う。
その一方で、食品に関わる会社関係者や食に携わる人から多く紹介されている。
何を食べるべきか、自分にできることは何か。
現代の暮らしではとても難しいことだが、人任せにしないという
意識だけでももつことは重要だ。

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