息をするように本を読む

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と、なんだかだらだら日常のことなども

昭和の皇室をゆるがせた女性たち

2013-11-22 10:36:11 | 著者名 か行
河原敏明 著

中宮寺で仏の道一筋であったはずが、思わぬ恋に落ちた一条尊昭門跡。
運命にに弄ばれ、生涯に5度も名を変えることになった松平佳子。

じつはこのおふたりの生涯を読んでみたかった。
ほかの本で気になっていた名前が、本書の目次にあがっているのを見て
手にとったのだ。

“皇室をゆるがせた”とまとめてあるが、登場する女性たちは、
時代も立場もさまざまである。高貴な家に生まれ、何不自由なく、
しかし徹底的に箱入りに育てられた女性たち。
伝統を背負った特殊な世界であるから、
そこに起こった事件は、周囲に大きな影響を与えた。
しかし、表面的な語りに終始するので、生涯を短く整理している、
という意味であらすじを知るにはいいがやや物足りない感じだった。

一条尊昭門跡、松平佳子の場合、そこには時代の移り変わりと
敗戦があり、誰にもどうしようないほど急激で大きな変化があった。
莫大な財産は税金の名のもとに奪い取られ、家宝は売却を余儀なくされた。
尊ばれ敬われていた身分は否定され、今日から庶民だと言い渡される。
何も知らないことが美徳であったのに、突然自力で生きていけと言われた
混乱と困窮は想像にあまりある。
この時代でなかったら、二人とも静かな人生を送っていたのかもしれない。

今城誼子、山本静山門跡、嵯峨浩の章は、ほかの本に書かれたものを
そのまま短くしただけなので、ちょっとがっかり。
しかし、ひとりひとりにフォーカスを当ててもっと読みたいなと
思えたので、きっかけづくりにはいい本ということか。

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