哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

NHK紅白歌合戦

2010-01-03 19:04:04 | 時事
 年末の風物詩である掲題番組は、何かしながらではあるが、毎年必ず見ることにしている。この1年に流行った曲やアーティストを、この番組で初めて知ることも多い。

 年末年始の過ごし方が昔とは異なってきたように、紅白歌合戦も昔ほどのステイタスではなくなってきたと言われている。確かに何となく番組自体の雰囲気も、昔よりは肩の力が抜けてきた感じだし、同じ歌い手が連続して出場していた場合でも、無理に曲を変えないことも多くなったようだ。

 前回に続いて出場したアンジェラ・アキさんは、確か曲も前回と同じ「手紙」を歌っていたが、この「手紙」の演奏中、歌詞に気になるフレーズがあった。この番組では曲中、必ず歌詞を字幕にして流しているが、その歌詞の中に「人生の全てに意味がある」というようなフレーズがあったのだ。

 この「手紙」は悩みの多い?若い世代に人気があるそうなのだが、「人生の全てに意味がある」とは、今悩んでいることも含めて、人生上の行い全てに意味があるということだろうか。おそらく悩みなど何らかの劣等的意識を持つ人に対し、人格に対する全面的な肯定をを示すことで、励ますというものなのだろう。


 もちろん池田晶子さんは、「人生それ自体無意味である」と言い切る(例えば『睥睨するヘーゲル』P.167など)。人は生まれたから、死ぬまで生きるだけである。ただし生きている限り、無価値に生きるか、価値ある生き方をするか、は各人の選択であり、論理的に無価値<有価値も自明である。そして、ここでいう価値は、物質にあるわけはなく、精神性にしかないというわけだ。


 さて、掲題番組の最後のほうになってきたら、赤組トリのドリームズカムトゥルーの曲では「人生の意味なんて知らない」というフレーズがあった。同じような励まし系の曲なのだろうが、言っていることは随分と違うものだ。