哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

『下流社会』

2006-01-16 23:31:05 | 
 新書のベストセラーになっている『下流社会』ですが、みんなが読んでいると気になるのが人の常。しかし池田さんも言う通り、みんなそうしているからと言ってもそれが善いこととはかぎらず、善い悪いは自ら判断できなくてはなりません。で、読んでみたのですが・・。

 そもそも、こんなデータ羅列主体の読みにくい本をみんな最後まで読んだのでしょうか。しかも著者自身が何度も表明している通り、データ数が必ずしも十分多くない点もあって、データ上有意な差異がないことでも、類書を使っての階層認識の解釈を行っています。

 つまりデータを使った客観的分析のようでありながら、主観的要素の方が強く、実質は著者自身の見解あるいは類書の説の確認の要素が強く感じられます。また、挿入されたインタビュー風記事は面白いとはいえますが、週刊誌によくある覗き見趣味的のようでもあります。

 結論としては、あまりお薦めできない本ですね。しいていえば、最後の「文献ガイド」は参考になるかも。