哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

サルバドール・ダリ

2007-11-11 18:18:30 | 知識人
 日本人で好きな人の多い、画家のダリですが、その奇行の数々は面白いというには、ちょっと異常過ぎる感じです。しかし天才には違いありませんし、自分で「自分は天才だ」とどうどうと書くことにかけては、池田晶子さんと共通だともいえます。

 実は先週の古本市で、以前から買うかどうか迷っていた、アマンダ・リアの『ダリ 異常な愛』を買って、読んでみました。そこで読むダリの異常さは微笑ましさも感じますが、しかし結構ダリの卓越した見識には驚きます。

 アマンダが自分の出身の英国の画家ターナーを、優れた画家だと言ったところ、ダリは「英国やロシアやハンガリーに画家などいない。国にはそれぞれ特技があるんだ。画家はスペイン、イタリア、ときにフランスだ。音楽といえば、イタリアにドイツだ。他方作家に関しては、君の国はそう悪くないな。シェイクスピアがいるし、バイロン卿もいる。」と言うわけです。極端な言い分ではありますが、言いえてます。

 また、ダリ生誕100年を記念して制作されたDVD『ダリ 科学を追い求めた生涯』も見ました。ダリは相対性理論や量子力学、カタストロフィー理論とかの科学書を読み、結構理解していたというのです。それらの考え方を作品に応用したり、科学書の挿絵を書いたりしたようです。

 面白かったのは、DNAの発見についてダリが興味をもったことを、発見した科学者がインタビューに答えていたところです。その科学者はDNAの発見で生命の起源・構造を突き止めたことにより、神が存在しないことを確認したつもりでいたが、ダリはそこに神の存在を見たと言っていたというのです。

 よく池田晶子さんが書いていた、科学的な見方の限界と同じ話ですよね。科学がいくら要素還元主義的に分析しても、なぜ物質が存在するのか、その答えは一切得られません。DNAの発見に神の存在を感じたダリの直感は、池田晶子さんの思考に通じるものを感じました。