サンデルブームのおかげで、入門的哲学書が随分出版されている。たいていのそのような本には、ソクラテスのことは紹介されている。その紹介された内容は、池田晶子さんに言わせるとどうなるであろうか、という観点からつい立ち読みをしてしまう。ソクラテスの話題は、当然ながら池田晶子さんの本にはよく出てくるし、そのソクラテスの言葉として「無知の知」は最も有名な言葉である。
44 「無知の知」、あれは、人類の認識の上がりではなく、常なる振り出しなのだ
わからないものに直面して、人は、驚きこそすれ、安心する道理はないはずではないのか。「わからない」と「わかる」からこそ、人はそれを「知ろう」と努力するのであり、わからないことさえもわからなければ、人が知ろうとして考えるなど、あり得るはずがないではないか。(『残酷人生論』「「わからない」から考える」より)
44 「無知の知」、あれは、人類の認識の上がりではなく、常なる振り出しなのだ
わからないものに直面して、人は、驚きこそすれ、安心する道理はないはずではないのか。「わからない」と「わかる」からこそ、人はそれを「知ろう」と努力するのであり、わからないことさえもわからなければ、人が知ろうとして考えるなど、あり得るはずがないではないか。(『残酷人生論』「「わからない」から考える」より)