哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

玄侑宗久さんの『現代語訳般若心経』(ちくま新書)

2006-11-06 22:26:05 | 
 仏教で扱われる「空」について考える、面白い本を見つけました。全般的に般若心経を口語に訳して会話体にした、ちょっと池田さん風のソクラテス会話体を思い出させるような、読みやすそうな本です。


 ただ、おそらく池田さんが読めば、「なぜいちいち脳なのか」というくらい、脳に関する科学的知見がちらとちらと紹介されていたり、ソクラテスの死がやや否定的に扱われたりしている点について、少し引っかかりがあります。しかし、それ以外については、池田さんの言葉に整合しそうな考え方が随所にあります。



 この本の中では、「空」とは何か?について、「自性がないこと」と説明されています。また、あらゆるものと関係付けられるものが「空」であるともされています。

 つまり、自ら有する性質がなく、どこにでもあるものが「空」ということでしょうか。そして、どこにでも在るということは、どこにも無いに通じると・・。う~ん、結局よくわからなくなくなってしまいました。



 と考えつつ、何気なく見たテレビ番組で、手塚治虫さんの漫画「火の鳥」の話をしていて、ふっと思いつきました。そうか、どこにでも在りながら、実体は無いようで、自性のない存在といえば、手塚治虫さんの「火の鳥」そのものではないですか。