哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

池田晶子さんの「考え」=「普通」に生きること

2005-11-09 08:01:22 | 哲学
 池田晶子さんの文は結構端的に表現されていますし、有名人の言葉であれ何であれ、論理的に間違った考えはばっさり斬りますから、その言い方に反感を買う人も多いようです。

 前回紹介した「占いと人生」について私なりに補足すれば、人生が何事でもないからと言って、実際に何事かであるようなことを全て捨て去るべき、とまで池田さんは言っているわけではないと私は思います。人生を物語っているにすぎないということを知ったうえで、「生きる」ということを「考えてみては?」と言っているだと思います。

 最近でも「日本は一つの民族」と失言した新外相がいたり、男系の世襲かどうかで議論される方々についての発言とか、これらも人生に物語を求めていることにすぎないのではないか、と考えることができます。そう考えたからといって、物語そのものを捨てるべきと言っているのではないのです。一体そもそも我々は何を議論をしているのか(物語ろうとしているのか)、ということを見失わないことが大切だと言っているのです。

 池田晶子さんの考えの仕方(哲学)を知り、そのように考えることができればどうなるか。それは、世間に渦巻く種々の(間違った)考えに惑わされず、これからは「普通に」生きられるという、ただそれだけのことだと池田さんは言っています。普通=普遍=真実ですから、まさに人生の真実は初めから私たちの傍にあったことに気づかされるだけなのです。ただ「それだけのこと」が、私たち凡人には困難な道なんですけども。