哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

池田晶子さんの「ズバリ言うわよ!」①占いと人生

2005-11-07 01:32:30 | 哲学
 ちょっと流行半歩遅れなタイトルをつけてしまいましたが、哲学の巫女たる池田晶子さんの言葉の紹介として意外にふさわしいタイトルだなと勝手に自負しております。以後この題で、過去の池田晶子さんの著作から、「これは」と思う言葉を紹介していきたいと思います。

 まずはくだんの「テレビで毒舌的予言を吐く女性占い師・・」の言葉が出てくる文からです。

「言葉で言う、言葉で語るということは、言葉で語らなければ何事でもないことを、何事かであるかのように語ることである。わからない先のことを言葉で語る(=占い)とは、言葉で騙(かた)ることである。では、人間はなぜ言葉で騙られたいのか。それは人は物語がほしいからである。物語がなければ、人生は何事でもないからである。人は、人生が何事でもないという自由に耐えられないから、言葉によって規定されたい、縛られたいのである。」(『勝っても負けても-41歳からの哲学』P.145~146)

 要は、人生の先は分からないから不安で、占いに、分からない先のことを吉だ凶だと言い当ててもらって安心します。しかし、言い当ててもらうということは、言葉にすることによって何事でもないことを何事かであることにするにすぎません。過去の人生だって、どんなに苦しかったことでも吉と思えば吉だし凶と思えば凶ですものね。将来の人生も一緒です。

 「人生は何事でもない」と思えば、日々の日常生活の数々の苦しみや悩みなんて、それこそ何事でもない、ということになります。ただ、そこから何事でもない自由を生きていくことは、なかなか私たち凡人にはハードルが高い話です。