察する力。

 NHKの週間ニュースの途中『緊急地震速報』が発令された。……以後、NHKでは午後一時過ぎまで地震の速報を流し続けた。私も週間ニュースからずっと見続けることになった。

 続々と入る現地の情報。奥州市のコンビニ店の店長への電話取材も早かった。おそらく発生から一時間半くらいだったろう。

 インタビューを終える時、アナウンサーは言った。
 「片づけなど大変な時間に、ありがとうございました。余震に気をつけて片づけてください」--さすがNHKのアナウンサーだと思った。
 相手はすぐに「ありがとうございます」と答えた。

 ともすれば情報だけを伝えることに主眼が置かれて、被災した相手の立場や状況を察する余裕などないのが普通だろう。かのアナウンサーの最後の相手への労りの言葉は、彼のお人柄ゆえの言葉なのだと思った。
普段からこのような一つの現実の裏側や周囲のことを察する訓練ができていないと、相手への慮(おもんだばか)りはできぬ。

 こういう対応ができるアナウンサーなら、こちらも番組を見ていて信頼できるものだ。
 刻一刻と変化する状況に、見事に対応するのはとても大変だったろうと思う。彼が帰宅して大きな役割分担を果たして飲むビールの味は、事件が事件だけに今日は美味しくないだろう。しかし、グッと飲んでゆっくり休んでいただきたいと思う。
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