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風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

イランでは

2017-05-22 01:06:55 | 時事放談
 19日のイラン大統領選には女性を含めて実に1600人以上が立候補したが、最高指導者ハメネイ師の影響下にあるとされる護憲評議会の審査の結果、正式に立候補者として認められたのは6人にとどまり、内2人は立候補を取り下げたため、結果として、穏健派の現職ロウハニ師と保守強硬派のライシ前検事総長の事実上の一騎打ちとなった。投票率73%と、選挙への関心の高さが示される中、ロウハニ師が得票率57%(約2,350万票)を獲得して当選し、ライシ師は2位で得票率38%(約1,580万票)にとどまって、とりあえずは安定が維持されたものと期待してよいのだろう。
 対抗馬となったライシ師はハメネイ師の「影武者」とも言われる人物で、ニューズウィーク日本版によると、「ハメネイ師の盟友の娘と結婚したことで出世が約束されたも同然」となり、「2006年、46歳の若さで聖職者86人からなる『専門家会議』メンバーに」なり、「昨年3月にイマーム・レザー廟の管理者だったハメネイ師の盟友が亡くなると、ハメネイ師はライシ師を管理者に任命」したことで、「ライシ師がハメネイ師の最有力後継候補だろうとの憶測が生まれた」という。しかしライシ師には政治家としての経験も、検察官としての評判も乏しく、ハメネイ師がなりふり構わぬ大規模な不正選挙を行いかねないことが懸念され、実際にロウハニ師は選挙戦の最終盤に、イラン国内に膨大な利権と大きな影響力を持つとされるイラン革命防衛隊を名指しして「自らの任務のために自らの居場所にとどまるように」と述べ、選挙を混乱させないよう訴えたほどだったが、有権者は最も穏健な候補者を選んだようだ。
 イランに対しては、核合意により昨年1月に経済制裁が解除されたが、イランの核開発を制限する趣旨であって、テロ支援やミサイルや人権問題に関する制裁は範囲外であり、アメリカは非米国人に対する二次制裁を解除しただけで、例えば米国の金融システムを利用した米ドル決済は一次制裁に抵触するため、日本をはじめとする欧米諸国のビジネスを事実上縛って来た。そのためイラン国民の間では経済制裁解除の恩恵が実感できず、不満が高まっていると伝えられている。イランの失業率は12%を超え、若年層に限れば25~30%にも達するらしい。
 イランは、ロシアとともにシリアのアサド政権を軍事支援して、アメリカと対立しているし、イエメンのシーア派組織ホーシー派を軍事支援して、アメリカが支援するサウジアラビアと代理戦争中でもある。核合意に反対するという点では、トランプ大統領とライシ師は妙に一致していたこともあり、中東に新たな波乱要因が投げ込まれないかと懸念されていたわけだが、とりあえず一難去ったとはいえ、前途はなかなか安泰とは言えそうもなさそうだ。
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