風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

イチロー電撃トレード

2012-07-24 23:18:58 | スポーツ・芸能好き
 欧州紀行の続きを書こうと思っていましたが、ショッキングなニュースが飛び込んで来たので、号外です。ご存じの通り、イチローがヤンキースに(実際には二週間前には決まっていたようですが、少なくとも我々には)電撃トレードされました。アメリカでの出来事ですから、ビジネス同様、移籍に関してネガティブなイメージはないでしょう。若い人を中心にチームの立て直しに取り組むマリナーズは、かつてイチローの憧れだったケン・グリフィー・Jrを手放したように、ドライに、イチローの実績は買うけれども今の実力からすればチームの戦力としてもはやペイ出来ないと判断したであろうことは想像に難くありませんし、3年ぶり28回目のワールドシリーズ制覇を目指すヤンキースは、何と言っても全米随一の金満球団ですから、制約なくトレードできる7月31日の期限を前に、俊足外野手ガードナーが戦列を離れてなおスピードを使った攻撃を担えるイチローは十分に迎え入れられると判断したのもまた間違いないことでしょう。所謂Win-Winの関係です。
 ただ、イチローの気持ちは複雑だったろうと思います。記者会見の後、僅か三時間で、ヤンキースのユニフォームに着替え、セーフコ・フィールドでのマリナーズ戦に8番右翼で先発出場したことには、アメリカのこととは言えさすがに驚かされましたが、3回の第一打席に入る前に、スタンディング・オベーションで出迎える観衆の声援にヘルメットを脱いで応えたのは、古巣ファンへの感謝の気持ちが強かったことと思います。
 こうして見ると、イチローにとって、二つの意味があると思います。
 一つは、10月には39歳になる彼自身が語ったように、環境を変えて刺激を求めたいという強い思いが芽生えた、それなら自分自身にとってもチームにとっても早い方が良い、というところです。昨年、200本安打の連続記録が途絶え、打率2割7分2厘に終わり、今年は更に打率2割6分1厘と一段と低迷し、打順も定位置だった1番ではなく3番でスタートし更に1番、2番と点々として、マリナーズとの5年契約の最終年で、いよいよ偉大なベテランとして持て余されつつあったであろうことが感じられて痛々しく思われる状況を、彼自身が一番、不本意に思っていたことでしょう。
 もう一つは、アメリカン・リーグ西地区で一番勝てないチームから同東地区で一番勝っているチームに移籍することのもつ意味合いです。弱小マリナーズでは、イチローがマークされていたであろうことは間違いありません。常勝・巨人で名球会入りの200勝を達成した堀内氏が、歴史にifは無いにしても阪神などの弱小球団に入っていたら、果たして名球会に入れたかどうか。
 これに関して思い出すのは、チームとして勝つということだけを求めて巨人に移籍した村田修一のことです。彼は、強い巨人で4番を任せられて戦えて、野球ってやっぱり面白いと、再認識させられたと言います。20年以上野球をやっていて、未知との遭遇だったとまで形容し、練習に取り組む姿勢も変わったし、後ろに阿部が控えているから、際どい攻めや死球が減って、(かつては自分のところで右に代えられたケースでも)左の中継ぎとの対戦も増えて、意識的には楽に打席に立てると語っています。
 さて、多くを語らないイチローには、いろいろな思いがあることでしょう。オリックスで日本一を経験し、WBCではまがりなりにも世界一を達成し、ワールド・シリーズに勝てるような状況になれば、あるいは痛々しいイチローを脱することが出来るのではないか。一ファンとして、秘かに期待しています。
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