風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

欧州紀行(上)ロンドン

2012-07-23 22:19:58 | 永遠の旅人
 先週の欧州出張で、最初にロンドンに入ったので、その印象を述べます。
 先ずは、27日から始まるオリンピックでさぞ湧いているかと思いきや、空港ロビーにこそ上の写真の通り五輪のマークがでかでかと掲げられていましたが(ダウンタウンも装飾は増えているようですが、よく分かりません)、同僚にも、タクシーの運ちゃんにも、excitedでしょ?と聞いても、道路が混むからね・・・なんて、表情が冴えず、余り熱意が感じられませんでした。
 怪訝に思って、ネットをいろいろ覗いてみると、公式報道とは裏腹に、ロンドンっ子の本音が見え隠れします。既に中央分離帯寄りの一車線は五輪関係者向けに交通規制されるという旨の表示が出ていて、さぞ不便でしょうが、それだけではありません。会場近くのアパートの屋上に地対空ミサイルが配備されるというので話題になりましたが(実は2005年7月7日、前日からイギリスで開催されていたサミットを狙って、ロンドン同時爆破テロが起こりましたが、同じ前日に、本命パリの予想を覆しロンドンのオリンピック招致が決まったのでした)、テロ対策にしてもそこまでしなければならないほどの厳戒態勢ぶりや、ただでさえ街が外国人で溢れかえるこの時期に更に妙な盛り上がりを見せること、また、地元でも人気の高いチケットは手に入りにくいだけでなく、チケットの値段も高いこと、更にどうせ開催国枠があっても金メダルはそれほど獲れそうにないこと、そして何よりこの不景気に90億ポンドとも言われる金が注ぎ込まれるのも、どれこもこれも開催地の市民にとっては有り難みが余り感じられないのかも知れません。
 それでもなお祭り好きで田舎者の私なんぞは、大英帝国にとっては日本人が思うほどの名誉とは思わないのか、通算三度目の余裕なのか、ゲームは五輪だけじゃないとの思いがあるのか(実際に、ロンドン五輪組織委員会は、サッカー男女の入場券約50万枚の販売を中止し、回収したことを明らかにしたことが報道されていました)と、僻んでもみたくなります。
 ヒースロー空港での入国審査の厳しさは、オリンピック前の厳戒態勢と言うよりも、そもそも9・11同時多発テロ以来のことのようです。入国時、職業欄には、伝統的に「Employee」と書いてきましたが、今回は審査官に「何の仕事をしているのか」と詳しく聞かれ、わざわざ狭い審査票に記入させられました。帰りにブタペストからロンドン経由(トランジット)で帰国するときにも、何を確認したのか解せませんが、入国審査の隣にある同様の審査官の審査を経ました。
 ロンドン・オリンピックに話を戻すと、日本での熱狂(と言っても一部かも知れません)が、なんだか不思議に思えますが、出張の記憶が薄れるとともに、いざ始まってしまえば、メダルの数を指折り数え、国旗掲揚に胸を躍らせ、国歌斉唱に涙することになるのでしょう。
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