保健福祉の現場から

感じるままに

変異ウイルスの監視体制

2021年03月31日 | Weblog
R3.4.2NHK「東京で拡大? 変異ウイルス「E484K」とは」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210402/k10012953591000.html)。<以下引用>
<イギリスや南アフリカなどで広がったものとは異なるタイプの変異した新型コロナウイルス「E484K」。免疫やワクチンの効果が低下する可能性が指摘されているタイプです。感染が確認された患者のうちの3分の1から検出された東京医科歯科大学附属病院の研究グループは、東京ではこの変異ウイルスが従来型から置き換わってきている可能性があるとしています。「E484K」の変異とは 「E484K」は新型コロナウイルスの変異の一つで「スパイクたんぱく質」のアミノ酸のうち、484番目のアミノ酸が変化していることを意味しています。この変異があると抗体の攻撃から逃れる性質を持つと考えられていて、再感染しやすくなる可能性やワクチンが効きにくくなる可能性などが指摘されています。これまでに南アフリカで確認された変異ウイルスとブラジルで広がった変異ウイルスでは「N501Y」と呼ばれる感染性を高めるとされる変異に加えてこの変異があることが知られています。今回、報告されたのは「N501Y」は無いものの「E484K」がある変異ウイルスです。国立感染症研究所によりますと同様のウイルスは先月3日までに空港の検疫で2例、国内では394例が見つかっていて、主に海外から国内に入ってきたとみられますが、慶応大学のグループは国内で変異したとみられるケースもあったと報告しています。この変異ウイルスの性質はまだ詳しく分かっていませんが、これまでのところ感染力が著しく高くなったり症状が強くなったりするなどの変化は報告されていないということです。また、現在、全国の自治体で行われている変異株のスクリーニングは「N501Y」の変異を見つけ出すもので「E484K」を見つけるためには遺伝情報を詳しく解析する必要があります。国立感染症研究所ではこの変異ウイルスについて遺伝情報の解析や監視を続けて実態を把握していくとしています。「E484K」とは 「E484K」と呼ばれる変異は「スパイクたんぱく質」の484番目のアミノ酸がグルタミン酸(略号E)からリシン(略号K)に置き換わっているという意味です。「N501Y」とは 「N501Y」と呼ばれる変異は「スパイクたんぱく質」の501番目のアミノ酸がアスパラギン(略号N)からチロシン(略号Y)に置き換わっているという意味です 変異ウイルスは、遺伝情報のどの部分に変異が起こっているかなどにより細かく分類されています。このうち、現在、WHO=世界保健機関が「懸念される変異株=VOC」として挙げているのは次の3種類です。イギリスで見つかった変異ウイルス 去年12月、イギリスで見つかり、その後、世界に広がった変異ウイルスです。国内でも最も多く報告されている変異ウイルスで、正式には「VOCー202012/01」と命名されています。このウイルスには「スパイクたんぱく質」に「N501Y」と呼ばれる(えぬ・ごーまるいち・わい)変異があることが分かっています。これは「スパイクたんぱく質」の501番目のアミノ酸がアスパラギン(略号N)からチロシン(略号Y)に置き換わっているという意味です。WHOのまとめによりますと、従来のウイルスに比べて、感染力は36%から75%高くなっていて、感染した場合に入院や重症、それに亡くなるリスクが高くなっている可能性があるとしています。ブラジルで広がった変異ウイルス もう一つが、南アフリカで見つかった変異ウイルスです。正式には「501Y.V2」と呼ばれています。この変異ウイルスにはイギリスで見つかった変異ウイルスと同じく、「N501Y」の変異があります。さらにそれだけでなく「E484K」と呼ばれる変異も起こっていることが分かっています。これは「スパイクたんぱく質」の484番目のアミノ酸がグルタミン酸(略号E)からリシン(略号K)に置き換わっているという意味です。WHOのまとめによりますと、従来のウイルスに比べて、感染力は50%高いとみられ、病院での死亡率が20%高いとする南アフリカからの報告があるとしています。ブラジルで広がった変異ウイルス そしてもう一つがブラジルで広がった変異ウイルスです。ブラジルから日本に来た人への空港検疫で初めて見つかりました。これは南アフリカで見つかった変異ウイルスと同じく「N501Y」と「E484K」の両方の変異が起こっています。WHOのまとめによりますと、従来のウイルスに比べて感染力は高いとみられますが、感染した場合の重症度については、調査中としながらも、影響は限られるとしています。>

R3.3.30東京新聞「神奈川県で変異株感染57人のほか「疑い」あり32人 検体少なく判別検査できず<新型コロナ>」(https://www.tokyo-np.co.jp/article/94793)。<以下引用>
<神奈川県は30日、これまでに発表した新型コロナウイルスの変異株感染者57人と別に、変異株感染が強く疑われる人が32人いると明らかにした。県によると、32人は既に変異株感染が分かっている人の濃厚接触者として検査し感染を確認したが、採取した検体の量が少ないなどの理由で、変異株かどうか判別する検査をできなかったという。また、変異株感染者として全国で初めて死亡が確認された70代男性は、英国由来株だったと発表した。同時に死亡が明らかになった50代男性は25日に英国由来株と発表している。>

R3.3.30東京新聞「変異株感染の70代男性死亡、都内では初 小池知事、病院長らに変異株検査への協力求める<新型コロナ>」(https://www.tokyo-np.co.jp/article/94807)。<以下引用>
<東京都は30日、変異株の感染が判明した都内在住の70代男性が死亡したと発表した。変異株感染者の死亡は都内では初めて。都によると、海外滞在歴はなく感染経路は不明で、市中感染の可能性が高いとみられる。3月中旬に発症して入院し、28日に死亡した。糖尿病の基礎疾患があったという。英国由来とみられ、国立感染症研究所で詳しく調べる。小池百合子知事はこの日、重症者を受け入れている都内の病院長らと意見交換。変異株を調べる検査への協力を求めた。>

R3.3.30FNN「34人検査したうち約74%の25人が「変異株」…30日も新たに16人に変異ウイルスの感染確認」(https://www.fnn.jp/articles/-/162614)。<以下引用>
<三重県では30日、新たに16人に新型コロナの変異ウイルスへの感染がわかりました。また、県によりますと3月22日から28日の1週間に新型コロナの新規感染者は75人いましたが、このうち34人に検査したところ25人、約74%が変異ウイルスだったということで、県は変異ウイルスの感染者が含まれる3つのクラスターを明らかにしました。3つは3月中旬から下旬にかけて発生した「県内のサービス業の店舗」「四日市市のラウンジ」「四日市市内での会社の食事会」のクラスターということですが、それぞれの変異株の感染者の人数は明らかにしていません。一方、30日は新たに17人に新型コロナウイルスの感染が確認されています。>

R3.3.31朝日新聞「「第4波とみていい」と知事 新型コロナ新規感染16人」(https://www.asahi.com/articles/ASP3Z72WZP3ZPXLB003.html?iref=com_apitop)。<以下引用>
<和歌山県は30日、新たに16人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。県内の感染者数は、再陽性1人を含む延べ1274人。これまでの感染者のうち、10人が変異ウイルスに感染していたことも判明し、県内で確認された変異ウイルスの感染者は計47人になった。県によると、16人のうち9人がこれまでに感染が判明した人の濃厚接触者で、全員が同居家族か同僚。このほかに、同居する60代の男女2人とその別居家族の小学生女児の感染もわかった。また、20代2人、40代2人の感染も判明した。県内の新規感染者数は、3月に入り、中旬まで0~2人で推移していたが、14日に6人となり、23日は9人、26日には11人と増加傾向にある。また、これまでにわかった変異ウイルスの感染者は全て3月に感染が判明した人という。仁坂吉伸知事はこの日の定例会見で、県内の新型コロナウイルスの感染状況について「第4波とみていい」と述べた。第4波について「感染地域で飲食をしてから発症している。また、家族同僚にうつりやすい傾向がある」との見方を示し、「感染が拡大している地域で会食や接待など飲食をしない」「症状があればすぐにクリニックを受診する」と改めて県民に呼びかけた。>

R3.3.31AERA「変異株3種「五輪開催」で流入加速の恐れ 英国株は死亡率6割増、南ア株はワクチン効果に懸念」(https://dot.asahi.com/aera/2021033000009.html)。

「新型コロナウイルス感染症」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html)(https://corona.go.jp/)(https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov.html)(https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019)について、わが国では、「新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00216.html)のリスク評価と、新型インフルエンザ等対策有識者会議(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/yusikisyakaigi.html)の「新型コロナウイルス感染症対策分科会」のリスク管理が行われている。「変異ウイルスに係る水際対策」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00209.html)が強化されているが、国内では市中感染が普遍化してきているであろう。R3.3.24「新型コロナウイルス感染症の積極的疫学調査における検体提出等について(要請)」(https://www.mhlw.go.jp/content/000758692.pdf)p3「変異株疑いの検体提出(N501Y 変異のある検体);管内の全陽性者数の約 40%分の検体(週)を目処に、変異株 PCR検査の実施を徹底ください。ただし、変異株に感染した者が確認された自治体で、可能な場合においては、さらに割合を上げてスクリーニングを実施するようお願いします。」について、自治体ごとの変異株 PCR検査実施割合はどうなのであろうか。新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00216.html)のR3.3.17「新型コロナウイルス感染症(変異株)への対応」(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000755158.pdf)p3「都道府県別の変異株(ゲノム解析)確認数 3月16日12時時点」はp9「変異株スクリーニング検査の実施状況【3/1~3/7】速報値 2021/3/16時点」とセットでみる必要がある。また、R3.3.24「新型コロナウイルス感染症の積極的疫学調査における検体提出等について(要請)」(https://www.mhlw.go.jp/content/000758692.pdf)p4「変異株疑い以外の検体提出(N501Y 変異のない検体);遺伝子検査で SARS-CoV-2 陽性(Ct 値が 30 より大きい及び Ct 値のない場合は除外)と判定された精製 RNA の残余液(20 µl 程度)を提出ください。なお、対象者から改めて検体を採取する必要はなく、検査後の残りの RNA一部の提出ください。」について、R3.3.8「新型コロナウイルス感染症に係る行政検査に関するQ&A」(https://www.mhlw.go.jp/content/000750111.pdf)p6「新型コロナウイルス感染症に係る行政検査以外の PCR 検査又は抗原検査の結果に基づき、医師が当該感染症を診断した場合であっても、感染症法に基づく医師の届出を行う必要があります。この場合に、あらためて保健所(行政検査の委託契約を締結している医療機関等を含む。)が行政検査を行う必要はありません。」とあるが、変異株発生動向調査の一環で、行政検査として変異株PCR検査が徹底されても良いように感じる。抗原検査(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00132.html#h2_free2)では、全国各地で、R2.10.28NHK「コロナ抗原検査 簡易キットで「偽陽性」全国で少なくとも125件」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201028/k10012684281000.html?utm_int=news_contents_news-main_001_relation_002)、R2.10.3朝日新聞「コロナ感染してないのに「陽性」 誤判定続く簡易キット」(https://www.asahi.com/articles/ASNB163F5N9ZULBJ019.html)、R3.1.29読売新聞「感染と発表した3人「実は感染していなかった」…県が取り下げ」(https://www.yomiuri.co.jp/national/20210128-OYT1T50320/)のような取り消しケースが続出しており、R3.3.3「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針第3.1版」(https://www.mhlw.go.jp/content/000747986.pdf)p6「抗原定性検査;使用上の留意点としてライノウイルス感染症などで偽陽性となる可能性が指摘され検討されている。」は認識したい。変異株検査につなげるためにも、偽陽性を防ぐためにも、抗原検査(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00132.html#h2_free2)陽性の場合の行政検査としてのPCR検査(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00132.html#h2_free1)を明確に位置付けても良いであろう。なお、R3.3.17「新型コロナウイルス感染症(変異株)への対応」(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000755158.pdf)p7「新型コロナウイルス感染症(変異株)の監視体制(全体像)」に示すように、「免疫やワクチンの効果を低下させる可能性が指摘されている変異株」は自治体レベルで検査できる体制になっていない。R3.3.5日刊ゲンダイ「コロナ死1万人増の最悪シナリオ 逃避変異に感染研が警鐘」(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/285974)の「厚労省は「感染性や重症度が深刻ではなく、ワクチンが無効になるわけではないため、都道府県別に(逃避変異株を)モニタリングする状況ではない」(結核感染症課)」(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/285974/2)とあるが、積極的なモニタリングと情報公開を期待したい。そういえば、R3.3.29「SARS-CoV-2南アフリカ変異株 (B.1.351)の分与について」(https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/10261-covid19-39.html)が出ている。様々な変異ウイルスの感染力はどうか、病原性はどうか、ワクチンの有効性はどうか、抗ウイルス薬の有効性はどうか、など、いろいろ気になるところかもしれない。
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