保健福祉の現場から

感じるままに

STSSと薬剤不足

2024年07月01日 | Weblog
R6.7.1国立感染症研究所「国内における劇症型溶血性レンサ球菌感染症の増加について (2024年6月時点)」(https://www.niid.go.jp/niid/ja/tsls-m/2655-cepr/12718-stss-2024-06.html)。
R6.7.2NHK「“劇症型溶連菌” コロナ5類移行後再び 妊産婦死亡の報告も」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240702/k10014499021000.html)。

R6.6.17衆議院「劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)に関する質問主意書」(https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon_pdf_s.nsf/html/shitsumon/pdfS/a213168.pdf/$File/a213168.pdf)のR6.6.28答弁書(https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon_pdf_t.nsf/html/shitsumon/pdfT/b213168.pdf/$File/b213168.pdf)で「「迅速な初期評価」として、「バイタルサインの異常を伴う発熱、局所の疼痛を訴える患者においては皮膚所見が明らかでなくてもSTSSを念頭において対応すべき」「「治療」については、厚生労働省のホームページにおいても示しているとおり、「適切な抗菌薬の迅速な投与、必要に応じて緊急手術による広範囲の病巣の除去、集中治療室での全身状態の管理、など」が実施されるところ、こうした治療は特殊な診断法や治療薬を要するものではないため、御指摘のように「過疎や地方」においても、「劇症型溶血性レンサ球菌感染症を発見・治療できる体制は整っている」ものと考えている。」とある。感染症疫学センター(https://www.niid.go.jp/niid/ja/from-idsc.html)の「IDWR速報データ」(https://www.niid.go.jp/niid/ja/data.html)の「全数把握疾患、報告数、累積報告数、都道府県別」の「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」をみておきたい。R6.3.29国立感染症研究所「国内における劇症型溶血性レンサ球菌感染症の増加について」(https://www.niid.go.jp/niid/ja/group-a-streptococcus-m/2656-cepr/12594-stss-2023-2024.html)が出ていたが、昨年をはるかに上回るペースである。なお、感染症法による届出(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/kekkaku-kansenshou11/01.html)では、5類全数届出である「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」の生存患者の届出要件(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-05-06.html)は、「病原体検出」のほか、「ショック症状」+「以下の2つ以上;肝不全、腎不全、急性呼吸窮迫症候群、DIC、軟部組織炎(壊死性筋膜炎を含む)、全身性紅斑性発疹、痙攣・意識消失などの中枢神経症状」である。実際には、届出要件を満たさないが、緊急の治療が必要なケースが少なくないであろう(ショック症状がない、規定の2つ以上がない等)。R6.5.14クローズアップ現代「危険な感染症「劇症型溶連菌」 命を守るためには?」(https://www.nhk.or.jp/minplus/0121/topic086.html)、R6.5.27テレ朝「“致死率3倍”『劇症型溶連菌』新たな変異株「M1UK」急拡大 治療法と予防法を解説!」(https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/900003477.html)は参考になる。我が国では、新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00424.html)のR4.8.2「限りある医療資源を有効活⽤するための医療機関受診及び救急⾞利⽤に関する4学会声明 〜新型コロナウイルスにかかったかも︖と思った時にどうすればよいのか〜」(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000972886.pdf)p1「症状が軽い場合は,65歳未満で基礎疾患や妊娠がなければ,あわてて検査や受診をする必要はありません.」と受診抑制が徹底して要請されてきたことが気になる。まさか、ショック症状が出るまで待つことはないであろうが...。厚労省「劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000137555_00003.html)のQ&A1「発熱や咳や全身倦怠感などで食事が取れないなどの体調が悪いときは、かかりつけの医療機関などを受診しましょう。」とあるが、どうなのであろうか。また、厚労省「劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000137555_00003.html)のQ&A4「ペニシリン系抗菌薬と呼ばれる抗菌薬が第一選択肢」とあるが、一方で、国際感染症センター「劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)」(https://dcc-irs.ncgm.go.jp/material/manual/stss.html)では「迅速な抗菌薬治療は必須であり、感染初期には敗血症性ショックの原因をSTSSと断定できない場合もあることから、経験的な抗菌薬治療は広域抗菌薬の使用を考慮するべきである。想定される初期感染部位に応じた想定される感染微生物をカバーし、医療関連感染のリスクがある場合には、医療関連感染に関連する原因細菌を治療対象に含める。加えてSTSSが疑われる場合にはA群溶血性レンサ球菌の外毒素とM-タンパク質の産生を抑制するためクリンダマイシンを追加する。」とある。「劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000137555_00003.html)のQ&A3「2023年の夏以降、A群溶血性レンサ球菌による急性咽頭炎の患者数が増加していることが要因の一つである可能性」はぜひ理解したい。医療保険部会(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28708.html)のR5.9.7資料3「こどもにとってより良い医療の在り方等」(https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001143707.pdf)p4「こどもにとってより良い医療を実現するための方策案」の一つに「小児抗菌薬の適正な使用」が打ち出されているが、「溶連菌感染症」(https://www.mizuho-m.co.jp/information/oyakudachi/strep/strep.html)(https://idsc.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/diseases/group-a/)に抗菌薬を使えないようではいけない。R6.2.27現代ビジネス「「東京一極集中で地域医療が崩壊」「前例のない薬不足」…日本医師会会長が語った「医療制度の課題」とは」(https://gendai.media/articles/-/124812)の「コロナの時は解熱剤がないということがありましたが、今は、普通に抗菌剤がない。子どもの抗菌剤が途絶えていて、命にもかかわる状況です。」(https://gendai.media/articles/-/124812?page=3)ではダメである。R6.7.1FNN「薬がない!3年余りに渡って続く“薬不足” 工場は24時間フル稼働・増築も…薬局の苦悩「選択肢が提案できない」」(https://www.fnn.jp/articles/-/721098)で「「抗生剤」は「もう全然入ってこない」と薬剤師の竹野将行さんが深刻な表情で訴える。治療のためには、“最も有効な”抗生剤を出すのがセオリーだが、“最も有効な”薬がないために第二の薬の選択を提案しなければならないのが現状」とある。R6.5.31「経口抗菌薬の在庫逼迫に伴う協力依頼」(https://www.mhlw.go.jp/content/001259615.pdf)の「経口抗菌薬が真に必要な患者に、円滑に供給できる状況を維持することが重要である一方で、医薬品の配分は過去の流通・販売実績に応じて行われることが多いため、経口抗菌薬の適正使用を遵守してきた医療機関ほど大きな影響を受けることが懸念されます。」とあるが、まずは安定供給が欠かせないであろう。まさか、医療費適正化のために薬剤不足が長期化されているわけではないであろうが...。R5.11.13Web医事新報「【識者の眼】「医薬品供給不足は後発薬不祥事の続発と厚労省の対応の遅さが原因」坂巻弘之」(https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=23088)の「厚労省の対応の遅さ」は意図されたものなのであろうか。5類全数届出である「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」の生存患者の届出要件(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-05-06.html)は、「病原体検出」のほか、「ショック症状」+「以下の2つ以上;肝不全、腎不全、急性呼吸窮迫症候群、DIC、軟部組織炎(壊死性筋膜炎を含む)、全身性紅斑性発疹、痙攣・意識消失などの中枢神経症状」であるが、要件を満たさないケースも含めて、至急実態が把握されても良いように感じる。届出要件(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-05-06.html)のハードルが高すぎると感じないではない。また、R6.5.31「経口抗菌薬の在庫逼迫に伴う協力依頼」(https://www.mhlw.go.jp/content/001259615.pdf)で現場の状況が改善するのであろうか。
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