保健福祉の現場から

感じるままに

保健所マターからの転換

2021年09月21日 | Weblog
R3.9.24NHK「新型コロナ 開業医が自宅療養者をケア 保健所業務も 大阪 堺」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210924/k10013275521000.html)。<以下引用>
<新型コロナウイルスの感染拡大で入院調整などを行う保健所がひっ迫し、自宅で療養する人が重症化するのを防ぐため、大阪 堺市の医師会は地域の開業医が保健所の業務も担いながら、コロナ患者のケアにも当たる取り組みを始めています。大阪 堺市は感染が急拡大した第4波の際、保健所の業務がひっ迫し入院調整や自宅療養者の健康観察などを十分に行うことができず、大きな課題を残しました。堺市の医師会は、府や保健所による入院調整が遅れて自宅で重症化したり死亡したりする事態を防ぐため、地域の開業医が直接自宅療養者のケアに当たる、保健所に依存しない新たな仕組み作りに取り組んでいます。具体的には、地域の診療所で行ったPCR検査で陽性と確認された患者が自宅療養となった場合、これまでは医師から連絡を受けた保健所が患者の容体を確認するなどしていました。新たな仕組みでは、診療所の医師が直接、患者の健康相談や電話診療に当たるほか、必要な場合は往診をしたり、薬を処方して患者のもとに届けたりするということです。堺市の一部の診療所がこの仕組みを通じてケアに当たっていて、参加する小田真医師は「医療崩壊を招かないためには、診療所などの身近な医療機関が自宅療養者の医療支援を行うことが重要だ。保健所や規模の大きい病院だけに任すのではなく、それぞれの医師ができることをやっていく必要がある」と話していました。>

R3.9.20朝日新聞「「第5波」で再びパンク状態 大阪市保健所 「入り口」見直す動き」(https://www.asahi.com/articles/ASP9L7QC4P9FPTIL01Z.html?iref=com_apitop)。<以下引用>
<大阪市保健所は新型コロナウイルスの「第5波」に備えて体制強化計画を立てたが、想定を上回る感染急拡大により再びパンク状態に陥った。大阪府は保健所業務のあり方を見直す必要があるとし、負担軽減策を打ち出すほか、患者が直接診療を受けられる仕組みづくりを急ぐ。感染症法により、保健所にはコロナ患者の情報を把握する役割がある。業務内容は健康相談、入院・療養の調整、感染経路や濃厚接触者などを確認する疫学調査、自宅療養者の健康観察など多岐にわたる。今春の「第4波」での大阪市保健所の逼迫(ひっぱく)は深刻で、保健所から患者への最初の連絡まで1週間以上かかる場合もあった。連絡がとれる前に3人が自宅で死亡した。患者対応の「入り口」の目詰まりは、その後の治療にも影響する。その反省から市保健所は7月、「第5波」向けの体制強化計画を策定。1日あたりの市内の新規感染者数を5段階に分け、疫学調査チームの人数を定めた。「第4波」は最大80人体制だったが、185人体制まで拡充した。また、患者の状態把握と入院・療養方法を決めるための最初の連絡「ファーストタッチ」を最優先し、感染判明2日後までの実施を目指すとした。しかし、8月後半に1日あたりの新規感染者が府内で2千人を超え、そのうち約1千人が市内に集中した。「第4波」ピーク時の560人を連日上回るなかで、保健所の業務は逼迫。ファーストタッチが4日後になることもあった。入院に要する日数は1~2日だったが、宿泊療養には遅れが生じた。府によると、7月26日~8月18日の感染者が宿泊療養施設に入所するまでの日数は市内で平均3・63日、他の地域は1・96日。8月1~17日の感染者で入所した人は、それぞれ16・8%、46・9%で大きな差があった。市保健所の担当者は「1日の新規感染者が1千人以上となることは想定していたが、そのピークが2週間以上続くとは想定していなかった」と話す。患者1人あたり20~30分と見込んでいたファーストタッチが1時間以上になることも。今月7日に疫学調査チームを約180人から約200人に増やしたが、松井一郎市長は「保健師や看護師は全国で不足している。募集してもなかなか集まらない」と指摘する。自宅療養者の健康観察については、一部を地域の訪問看護ステーションに依頼する。府が保健所の負担軽減に向けて整備した仕組みだが、市内の自宅療養者は1万人を超えるのに対し、依頼は約40人分にとどまる。市保健所の担当者は「ほとんどは電話の健康観察で対応できる」としたうえで、「どんな場合に依頼すればいいのか手探りの部分もある」と話す。府は保健所の負担軽減に向け、学校で感染者が出た場合、感染した児童・生徒らの行動や濃厚接触者などを確認する疫学調査を教職員が補助する運用もスタート。府医師会は保健所からの連絡がなくて不安になる患者を減らそうと、医療機関を案内する電話窓口を開設した。吉村洋文知事は、「第6波」に向けて保健所のあり方を見直す必要があると強調する。「保健所を介さずに早期に治療介入する仕組みをつくっていく。保健所が全く関与しないということではないが、保健所が(患者対応の)すべての入り口という議論はやめたほうがいい」>

R3.7.1女性自身「死者最多も“批判なし”吉村知事を支える大阪メディアの異常」(https://jisin.jp/domestic/1995826/?rf=2)、日経ヘルスケア(https://medical.nikkeibp.co.jp/all/info/mag/nhc/)2021年7月号の「大阪の“医療崩壊”はなぜ起きた?」(https://medical.nikkeibp.co.jp/all/info/mag/nhc/pdf/2021/202107_toku1_web.pdf)、R3.8.3Web医事新報「【識者の眼】「コロナ第5波:大阪の悲劇を忘れないで」細井雅之」(https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=17751)が出ていた。第5波では、第4波の関西圏の教訓が活かされなかったように感じる。R3.9.7朝日新聞「松井大阪市長「保健所は限界」 感染者への連絡、持ち越し3000件」(https://www.asahi.com/articles/ASP976TL2P97PTIL021.html)が出ていたが、ファーストコンタクトの遅れが医療ひっ迫につながることはないのであろうか。R3.8.3「感染者急増地域において可能とする新たな選択肢」(https://www.mhlw.go.jp/content/000817011.pdf)とともに、やはり、タイムリーなファーストコンタクトが欠かせないであろう。R3.7.16朝日新聞「大阪 第5波へ体制強化、2日後までに感染者に連絡」(https://www.asahi.com/articles/ASP7H73Z0P7HPTIL02X.html?iref=com_apitop)では「新規感染者数に応じて、疫学調査チームの人数を増やし、感染判明の2日後までには感染者に最初の連絡「ファーストタッチ」をとるようにする。(中略)第4波では保健所からの最初の連絡が感染判明から1週間以上かかる場合があった。市内で自宅・宿泊療養中に死亡したのは13人で、このうち2人には連絡したがつながらず、1人には連絡しなかったという。」とあったからである。以前から、R3.8.16Web医事新報「【識者の眼】「保健所マターから主治医判断への転換―0813事務連絡はCOVID-19現場対応を大きく変える」黒木春郎」(https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=17823)、R3.8.25夕刊フジ「【日本の解き方】漫然と延長された緊急事態宣言 保健所が介在する仕組みに限界、現場の医師の判断優先すべきだ」(http://www.zakzak.co.jp/soc/news/210825/dom2108250002-n1.html)が出ていた。新型コロナウイルス感染症対策分科会(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/taisakusuisin.html)のR3.8.12資料(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/taisakusuisin/bunkakai/dai5/gijisidai.pdf)p4「診療所の医師は、検査陽性者を確認した際には、保健所の判断が無くとも、さらにその家族等の濃厚な接触の可能性のある者に検査を促すこと。さらに、保健所の連絡を待たず、必要な治療や保健指導を行うこと。」とあり、R3.9.2「地域の医療機関等の協力による健康観察等の推進について」(https://www.mhlw.go.jp/content/000827144.pdf)が発出されているように、保健所マターからの転換が必要かもしれない。R3.8.25Web医事新報「【識者の眼】「感染対策の基本を知らない日本政府」渡辺晋一」(https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=17888)の「自宅療養と言っても、保健所の観察なので、自宅待機に近い。」の指摘を受け止めたい。R3.8.26「新型コロナウイルス感染症における中和抗体薬「カシリビマブ及びイムデビマブ」の医療機関への配分について(質疑応答集の修正・追加)」(https://www.mhlw.go.jp/content/000823678.pdf)p10「保健所の介入によらず当該施設で必要な対応を完結できるよう、事前に役割分担及び責任の所在を明確化すること」は大きなポイントであろう。ところで、R3.9.3東京新聞「濃厚接触者が追い切れない…保健所多忙で調査縮小 「陽性者見逃しているかも」と専門家」(https://www.tokyo-np.co.jp/article/128494)が出ていたが、インフルエンザのように、「症状がでればかかりつけ医療機関で早期検査・早期治療」を目指すべきと感じる。
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